投資信託 ベトナムの現状と今後
ベトナムで証券市場が誕生して8年。
しかしながら、ファンド(投資信託)は、
2006年法令改正以降、PRUBF1(Prudential保険)、
VF1、VF4(ベトナムファンド)の3本といまだ少ない。
以下、「現時点で、どのチャネルに投資(出資)するか」
というアンケート結果である。
投資チャネル | 回答数(%) |
証券(株式)投資 | 6,959 (41.5%) |
銀行預金 | 2,916 (17.4%) |
金・貴金属購入 | 2,328 (13.9%) |
不動産投資・購入 | 2,090 (12.5%) |
事業起業 | 1,079 (6.4%) |
外貨預金・投資 | 958 (5.7%) |
その他チャネル | 422 (2.5%) |
合計 | 16,752(100.0%) |
証券投資が、他を抑えて、ダントツ1位だ。
銀行預金は、超インフレ状態を除いて、
国や時代を問わず、
最も安全で身近な投資である。
貴金属や不動産も、一般的に人気は高い。
だが、ここ3年程、
ベトナム人の投資は、
証券チャネルが主流である。
日本と違い、債券などは取引単位が大きく、
ベトナム人は証券≒株式である。
投資信託 まだ道半ば
証券(株式)投資が人気のベトナム。
だが、「投資信託」となると、話は別だ。
06年からの2年間、
投資信託ブームはまだ起きてない。
ベトナムでは、具体的情報を持たない投資家でも、
噂や雰囲気で投資することが多く、
信託という概念が欠落している側面がある。
理由をいくつかあげてみる。
・信頼性
論理的に利益を出すことが難しい市場での、
アセットマネジメント業務は、
その成果をプロ-アマで検証することが難しく、
プロフェッショナルファンドマネジメントへの信頼性は非常に低い。
・流行
株式投資は、流行であり、「株は誰でも儲けられる」ので、
他人に任す必要はないという考え。
・認知度
証券投資に興味を持たない人は、
投資信託を知らない。
・信用
「投資は自分の判断でするもの」との意識が根強く、
「他人任せ」的な委託に抵抗がある。
将来的な有望性あり
認知度の低い投資信託。
実際、VNIndexも、
最もいい時期で額面の3倍、
現時点の時価総額は、
額面の3割程度と、
成績は思わしくない。
では、投資信託に未来はないのか?
ベトナム証券市場は
今後さらに成長すると見込まれる。
経済成長に伴い、
金融業界も、規模を拡大し、
さらに経験も積む。
これは、投資信託の
業務ノウハウ蓄積と、
投資判断精度の向上を促す。
また、
人気が高いといえども、
証券投資家は、全人口の
数%程度で、
これからも増加しよう。
投資人口の増加は市場拡大を意味し、
投資信託が注目される機会も増える。
そして、経済成長を背景に収入が増える中、
生活余剰資金の貯蓄ニーズは高まる。
利率が低くなりつつある銀行預金に変わって、
非投資家が投資信託を選択する可能性は高い。
ベトナムの投資信託。
まだまだ発展の余地はありそうだ。
(タン)