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2008年12月28日

皮を切らせて骨を絶つ ~急がれる国営企業民営化~


国営企業の株式化は、
ベトナム経済の市場経済化のため、
WTO公約の重要施策である。
しかしながら、抵抗勢力の存在等、
なかなか進まぬ側面もある。

1992年に開始された国営企業株式化策実施から16年。
年240社、計3,786社が株式化を終えた。
しかし、年々減少傾向(2007年150社、2008年6月まで34社)で、
1,700社が未だ株式化されていない。
(出所:「起業フォ-ラム」新聞)
2010年7月1日までに、全国営企業の株式化という目標は
未逹となる可能性が高い。

阻害要因
1)法整備の遅れ

 株式化促進のスキーム(枠組み)は、2006年末に公布、
 指導文書も2007年末まで発行されたが、
 十分に機能しているとは言いがたい。

2)証券市場の影響
 資金調達市場である株式市場は
 2007年3月を頂点に下落傾向が止まらない。
 このような市況下では、有利な条件での資金調達が出来ず、
 関係者らは株式化に消極的だ。

3)煩雑な手続き
 株式化の際に、保有資産の再確認(デューデリジェンス)が不可欠。
 資産も莫大な大規模企業では、
 これらの業務完遂には、膨大な時間と人員がかかる。

4)抵抗勢力の存在
 国営企業の株式化=社会主義体制の崩壊といった
 単純かつ、やや誤ったイメージを持つ人。
 国営企業という「ぬるま湯」の中で、
 勤続年数の長さだけで高い地位に就いた人。
 国営ならではの利権に群がる関係団体など。
 これらのような、政策の趣旨を理解せず、
 自己の保身と利益のみを考える人々が、
 株式化を妨げている。

“皮を切らせて骨を絶つ”
 国営企業の株式化は、一時的に見れば、
 自国利益の海外流出とも受け取られる。

 しかし、経済や社会の発展には、
 資本はもちろん、技術やビジネスチャンスなど、
 外国からの投資や支援が不可欠だ。

 今の痛みは、必ず大きなメリットとして、ベトナムに還元される。
 目先の利益にとらわれず、長期的視野が必要である。

外国投資を呼び込むために
 外国企業や投資家を呼び込むには、
 フェアな経済体制と透明性の確保が重要である。
 国営企業の株式化は、その大きな柱である。

役割と責任をより明確に
 株式化促進策の一つとして、
 国有株式の管理を目的とした、
 国家資本管理会社が設立された。

 しかしながら、同社への責務移譲は遅々として進んでいない。
 今後、政府にはより強く具体的な施策が求められる。

 監督=関係官庁
 経営=企業経営陣
 といった、役割・権限・責任を明確にし、
 公共利益と経済利益を追求する体制への
 変革を目指す市場経済にとって、当たり前のことが、
 今、ベトナムに求められている。

 “当たり前のこと“これが一番難しいのであるが(笑)

(タン)


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