~日本の“技”で世界を牽引~ベトナム高速鉄道計画
新たな経済・社会的発展の期待を担う
ベトナム高速鉄道計画。
日本・JR東海の技術支援も決定、
着実に前進しつつある。
(湯之上)
ベトナム高速鉄道計画。
日本・JR東海の技術支援も決定、
着実に前進しつつある。
ベトナムの首都ハノイと南のホーチミンとの
両主要都市を結ぶ交通網は、
約1700kmにも及ぶ南北統一鉄道と、
空路や高速道路(陸路)が主体である。
だが、鉄道は時間を要し、高速道も部分開通で
両都市間は、物理的にも時間的、費用的にも
依然として遠い。
交通の大動脈整備
このような状況下で、
現在、高速鉄道計画が進行中だ。
計画実現に向けベトナム鉄道当局は、
日本JR東海に技術支援を要請、
2008年12月、合意にいたった。
(出典:ベトナム通信社)
JR東海は、台湾など海外に対して、
技術支援実績もあり、
今回もその経験が生かされるだろう。
だが、開発や開業後における課題もある。
その1:他国との競合
海外に対する高速鉄道の技術支援・導入では、
常に、TGVなど欧州勢との競合にさらされる。
最近の台湾新幹線の場合では、
一時は欧州システムを導入予定だったが、
地震対策がより強固な日本のシステムが
車両部分を中心に導入されたという経緯がある。
今回、技術支援で合意したが、
日本としても、まだまだ油断は禁物だ。
その2:莫大な費用
関係当局の試算では、
投資総額は約558億ドルに上る。
中長期的には必要な投資だが、
その負担は決して軽くない。
さらに費用が膨らむ可能性も高く、
プロジェクトの効率化と管理が必要だ。
その3:交通システム全体の整備
“大動脈”となる高速鉄道が開通しても、
“毛細血管”の都市交通が未完では、
経済の循環は十分に機能しない。
地下鉄や在来線といった都市内交通網は、
ベトナムはまだまだ未発達であり、
全体と将来を見据えた整備と計画が必要だ。
日本が担う二つの使命
一方で、このような対外支援は、
日本の持つ「技術と知恵」を
内外に示すチャンスでもある。
技術:開発と継承
長引く経済不況を背景に、
企業の人材、事業投資は抑制傾向にある。
だが、ベトナムでの活躍が期待される日本は
技術開発と人材育成も怠ってはいけない。
そんな中、2月に発表された
JR東海の国内リニア計画に関連した、
1000人規模の人材採用・育成計画は、
技術立国・日本の姿勢として評価に値するもので、
NHKや日経など主要メディアも取り上げた。
知恵:環境や地域への配慮
1900年代初頭に、
広大な鉄道網を有していたアメリカも
その後のモータリゼーションの波により
衰退の路をたどることとなった。
しかし、環境意識の高まりを背景に
長距離貨物輸送を中心に、
鉄道の環境優位性が見直されつつある。
また、安全性や効率に賛否はあるが、
フランスの原子力発電推進や
ドイツのクリーン発電奨励を例とし、
エネルギー自給率の低い日本も
取り組むべきテーマは多い。
そして、日本の“お家芸”ともいえる
既存技術の改善・改良を通した
省資源・省エネルギーへの取り組みは、
先進工業国の資源・環境問題のみならず、
新興国の今後の発展にも十分寄与するものであ。
京都議定書などで掲げられた環境対策だけでなく、
また、マネーゲームの類でもなく、
日本の持つ“技”で、世界を牽引する
技術面での日本のイニシアティブにも期待したい。
両主要都市を結ぶ交通網は、
約1700kmにも及ぶ南北統一鉄道と、
空路や高速道路(陸路)が主体である。
だが、鉄道は時間を要し、高速道も部分開通で
両都市間は、物理的にも時間的、費用的にも
依然として遠い。
交通の大動脈整備
このような状況下で、
現在、高速鉄道計画が進行中だ。
計画実現に向けベトナム鉄道当局は、
日本JR東海に技術支援を要請、
2008年12月、合意にいたった。
(出典:ベトナム通信社)
JR東海は、台湾など海外に対して、
技術支援実績もあり、
今回もその経験が生かされるだろう。
だが、開発や開業後における課題もある。
その1:他国との競合
海外に対する高速鉄道の技術支援・導入では、
常に、TGVなど欧州勢との競合にさらされる。
最近の台湾新幹線の場合では、
一時は欧州システムを導入予定だったが、
地震対策がより強固な日本のシステムが
車両部分を中心に導入されたという経緯がある。
今回、技術支援で合意したが、
日本としても、まだまだ油断は禁物だ。
その2:莫大な費用
関係当局の試算では、
投資総額は約558億ドルに上る。
中長期的には必要な投資だが、
その負担は決して軽くない。
さらに費用が膨らむ可能性も高く、
プロジェクトの効率化と管理が必要だ。
その3:交通システム全体の整備
“大動脈”となる高速鉄道が開通しても、
“毛細血管”の都市交通が未完では、
経済の循環は十分に機能しない。
地下鉄や在来線といった都市内交通網は、
ベトナムはまだまだ未発達であり、
全体と将来を見据えた整備と計画が必要だ。
日本が担う二つの使命
一方で、このような対外支援は、
日本の持つ「技術と知恵」を
内外に示すチャンスでもある。
技術:開発と継承
長引く経済不況を背景に、
企業の人材、事業投資は抑制傾向にある。
だが、ベトナムでの活躍が期待される日本は
技術開発と人材育成も怠ってはいけない。
そんな中、2月に発表された
JR東海の国内リニア計画に関連した、
1000人規模の人材採用・育成計画は、
技術立国・日本の姿勢として評価に値するもので、
NHKや日経など主要メディアも取り上げた。
知恵:環境や地域への配慮
1900年代初頭に、
広大な鉄道網を有していたアメリカも
その後のモータリゼーションの波により
衰退の路をたどることとなった。
しかし、環境意識の高まりを背景に
長距離貨物輸送を中心に、
鉄道の環境優位性が見直されつつある。
また、安全性や効率に賛否はあるが、
フランスの原子力発電推進や
ドイツのクリーン発電奨励を例とし、
エネルギー自給率の低い日本も
取り組むべきテーマは多い。
そして、日本の“お家芸”ともいえる
既存技術の改善・改良を通した
省資源・省エネルギーへの取り組みは、
先進工業国の資源・環境問題のみならず、
新興国の今後の発展にも十分寄与するものであ。
京都議定書などで掲げられた環境対策だけでなく、
また、マネーゲームの類でもなく、
日本の持つ“技”で、世界を牽引する
技術面での日本のイニシアティブにも期待したい。
(湯之上)