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2009年08月04日

購買担当者の不正はビジネスチャンスです! 新ベトナムビジネス戦略


ベトナム人たちにとって”購買担当者”となることは、
蓄財への大きな一歩である。
裏を返せば、日系企業はこれらの人たちに有効な対策を打てないが為に、
大きく損失を出している現状がある。
いくつかの事例を挙げながら、彼らの商慣習を探ってみよう。


欧米系大規模小売店舗 ~商慣習事例~

 購買担当者に見積もりを出したとところ、再提出と以下のプロセスを要求された。
 ①30%高い請求書を提出する事
 ②浮かせた30%は購買担当者に支払う事。
 ③支払い方法 個人のTAXコード明記の上、税引後入金の事。
上記のような方式では、会社が不正を発見する事は不可能に近い。


日系企業 ~不正蓄財の手口~

 ①日系A社購買担当者
   知り合いに卸すので、個人で購入したい。
   ただし、A社工場内に納品、一時保管させて欲しい旨。
   帰社時には持ち帰るので、との申し出、副業社会ベトナムを考慮し快諾。  
 ②A社との直接取り引きは皆無だったため、日本人責任者へ営業。
   しかし、既に取引があるとの事。
   確認するも、取引納品は一切ない。
 ③A社購買担当者は、個人的な購入では無く、
   A社工場内に一時保管品=伝票を切り替えてA社に全て納品。

場合によっては数千点数万点の部品や備品を購入する工場等で
一つ一つ部品の値段を確認する事は現実的に不可能である。


日本でも業種によっては、こういった事態を防ぎきれない。
例えば、本部一括仕入れではない飲食店。
担当者が仕入れ業者と結託し、
季節や天候によって価格変動が激しい食材仕入れ時にリベートを。
随時その正確な仕入れ値を経営者が知る事は難しく、不正の温床となる。
また、売上1000億円を超える外食チェーン店。
POSや券売機を導入し、スタッフがお金を触る機会を減らしたところ、
導入月からの売上の伸びは2桁%であったという・・・

日本においてもこの状況。
社会情勢やインフラ未整備から日本以上に不正を暴きにくい背景があることも、
不正蓄財を助長させる。

インフレ
 毎月仕入れ値段が変わる
商慣習
 どこの担当者もこのように蓄財。
構造的
 日本での一般的な流れは、
  1、生産者
     大量少品種
  2、問屋
     少量多品種
  3、物流
     全国ネットワーク
  4、最終ユーザー
  5、決済
     銀行等使用
ベトナムでは、問屋、物流といった社会インフラが不在であり、
決済も銀行を使わぬ現金取引も日常茶飯事である。 

日本人担当者もこういった事実を認識するも、
明確な防衛策を打ち出せずにいる現状がある。

ホーチミンにこれらの現状を逆手に取った日系文具製造卸会社がある。
Nhanh Nhanh社である。

彼らのビジネスはいたって明瞭。
”ホーチミンのアスクル”である。
 ・定価販売(物価上昇も月内に価格が変動する事はない)
 ・小ロット購入可能
 ・文具等消耗品一括購入可能
 ・写真付きカタログの定期無料配布
日本的に考えると、目新しい事は何も無い。
しかしながら、現在のベトナムの社会情勢を考えると、
この当たり前を実行してゆく事が非常に難しい現状がある。

なくならぬベトナム購買担当者の不正蓄財。
不正をとことん嫌う日系企業。
そんな意識の隙間に、ベトナムビジネス成功の鍵が隠されているのかもしれない。


(大木)

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