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2009年03月23日

ベトナム管理系人材確保と、その課題


期末のおかしな日本株高。
金融機関倒産回避のための年金資金出動が一部囁かれる。
ありえる!と、納得してしまうほど、世界的な景気減退・不透明感は払拭されず。


ベトナムも例外ではない。
08年度、事業大幅拡張&大規模採用をしていたベトナム大手資材会社や縫製会社は、
大幅な事業縮小、採用縮小を表明。

しかしながら、中途、新卒を問わず、優秀な人材の確保は、好不景気、日越、
また、時代を問わず、いつでも大きな経営課題である。

09年度雇用需給 供給過多
供給増 就労人口増(07年度 44,172千人)。
需要減 景気減退=失業率上昇

採用時期 通年可(高い流動性)
採用時期 ①2、3月(ボーナス後即退職、旧正月前後)
②6~8月(大学卒業時) 

ベトナム人の就労傾向
①標準偏差大 労働力の地理的、業界的分布のムラ
質(教育)
意識
②高い離職率 しかしながら、人材の確保は容易ではない。

以下、ベトナム人の就労実例から、優秀な人材確保のヒントを見出だしたい。

ベトナム人が働きたい3大条件
 1、高収入
  高い収入のための進学進路。
家計の苦しさから親が高収入の仕事を望むという傾向も珍しくない。
高学歴=より良い仕事(快適なオフィスワーク)=高収入という認識も根強く浸透。
学歴や経歴、本人希望額により同年齢でも2倍以上の差があることもあり、
人材の適正給与算定は非常に困難である。

2、企業イメージ
スーツ。きれいなオフィス。国際ブランドである外資企業勤務。
ホワイトカラー職に対する憧れは、就職希望と直結。
実際に外資企業はベトナム企業(国営でない)よりも給与や法律遵守の面で
安定しているというのが一般的な認識であるが、近年逆転傾向にある。
反面、「プロフェッショナルのイメージと違っていた」、「通勤が大変だった」、
という安易な退職理由も目立ち、イメージ先行感は否めない。
 
 3、自己価値の向上(教育)
自らが、会社に何を貢献できるのかではなく、会社は、私に何をしてくれるのか。
それによって、世間的な自己評価はどのようにあがるのか、といった関心は
高学歴学生の関心事である。
熱心な学ぶ姿勢とも取れるが、自己のプラスにならなければ「教育ポリシーが悪い」
ということで退職の理由となる。


企業選定の条件~外資系?ベトナム系?
「高給」と「企業イメージ」で支えられてきた外資系人気だが、
近年は外資系企業が競り負ける事例も。各国企業の特徴をまとめてみる。
 日系企業
   ・日本への憧れ
   ・製造、貿易、機械分野(理系・語学系学習者)で人気。
   ・厳しいルール、年功序列のマイナスイメージ強。
 外国(欧米)企業
   ・能力主義、自由なイメージ(頭脳系は欧米系企業が人気)。
   ・英語圏への留学が増えていることも人気を後押し。
 ベトナム企業 
   ・近年、国として国力アップに注力しているため、青田買いが目立つ。
   ・優秀な社員に対し、高額給与の支払いや、留学させる事での人材確保傾向。  
・企業は、留学後、数年の勤務を留学条件とするが、途中で退職。
保証金トラブルとなるケースも多い。


依然強い買い手市場~実際例
求人例①(08年3月)
  業種:製造(日系)
  職場:工業団地
  部署:エンジニアリング
  役職:エンジニア
  方法:大学でのセミナー開催
  参加者数:約500名(男女比=9:1)
  書類選考合格者数:280名(約56%)
  年齢:22 ~24歳 90%以上
  希望給与:US$300
  仕事開始日:卒業後、08年7月
  結果:30名(予定枠)採用完了

求人例②(09年3月)
  業種:コンサルティング(日系)
  職場:市内
  部署:PR&マーケティング  
  役職:スタッフ
  方法:ベトナムで最も有名な求人サイトへ登録
  応募数:100件以上(3日間)(男女比=2:8)
  書類選考合格者数:12名(約10%)
  年齢:22~26歳が90%以上
  希望給与:US$200~500(平均$350)
  仕事開始日:即日~2週間
  結果:1名(予定枠)採用完了   


優秀な人材を確保するために
安価な人件費が魅力とされるベトナムであるが、優秀な管理者なくして、
安価な人件費メリットを生かすことはできない。
以下、管理者レベルの人材確保方法のいくつかを明記する。

1、書類選考
職務履歴→転職癖は無いか(長期勤務の可能性を推し量る)
虚偽報告→性格
誤字脱字→性格、性質の見極め

2、人物本位の面接で測れ(学歴に惑わされない)
   面接が重要。事前の人材戦略(どんな人材を確保したいのか)を明確にし、
多様且つ面接者が事前準備できない質問を用意しておくことが重要。
面接のポイント
頭の回転、論理的思考、素直さ、自分で考える力を見極める
※多角的な質疑応答が必要。
 
3、まず、試用
  一度採用したら、解雇しにくいベトナムであるが、適正や正確等、
一緒に働いてみないとわからない点が、多々ある。2ヶ月の試用期間は、
ベトナム労働法で認められるところ。まず、試用期間を設けてみると、
いろいろなことがわかってくる。
 
4、期待せず、やめる事を前提とした採用を
幹部候補として採用。育ってきた、と思った矢先に退職。といった事例を良く聞く。
文化も考え方も違う事を認識し、大きく期待せず、いつやめても問題ない
余裕を持った採用と、人員配置を。
 
まとめ “郷に入りては郷に従え“
 人件費が安いにはそれなりに理由がある。
 その安さをマネジメント力で補い、収益に結びつける。
 このマネジメント力こそが、ベトナムビジネスの要である。
 
社員を大切にする、細やかな指導をする、礼儀正しい。
日系企業の家族型経営の魅力は一朝一夕では実感できないことかもしれないが、
「また働くのであれば日系企業が良い」と思ってもらえる企業作りが、
日系企業のブランド力を高め、今後の人材確保、
世界展開への競争力強化へとつながっていく。
社員も顧客。CS(カスタマーサービス)を社内でも実践し、
共に日系企業ブランドを築きあげてゆきましょう!



(福田)

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