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2009年07月07日

ベトナム成長機会をつかんでゆく、現地化と、それを支える人材採用


日系企業の進出トレンドが変化してきた。

6月中にプレスリリースを出した企業だけでも、
キューピー、ユニクロ。
シャープ、サークルK等は進出済。


ベトナム=安価な各種製造コスト(人件費、インフラ)
から、
ベトナム=成長機会=有望なマーケット
へと変化してきており、
それに伴い人事部、採用実務も大きく変化せざるを得ない。

現在(6~8月)。ベトナムでは新卒採用の時期。

階級意識が強いベトナムでは、オフィスワークはまだ憧れの対象。
”プロフェッショナル”を望む、積極的な姿勢が見られる反面、
「新人なんだから!」「勉強と思ってやれ!」という態度は厳禁。


今回は新卒を中心にオフィスワークの採用を紹介する。
手順
 1、募集方法
 2、採用試験
 3、選考期間と採用通知
 4、健康診断
 5、Offer Letterの発行
 6、その他 応募者が企業を見るポイント 4P

1、募集方法
①学校訪問(就職セミナー)
ある大学では、500万ドン(2.8万円)で
就職セミナー広告、プロジェクター、スクリーン、会議室等の手配を代行。

専門性(技術、経済、外国語、法律・総務)によって、
募集先大学、学部が異なる。

セミナーによる会社説明だけでなく、その場での選考、
会社見学ツアーが行われ、”金の卵”を丁重に扱う事が求められる。

②ジョブフェア参加
多くの大学が、複数の企業を集め毎年開催。
単独での学校訪問より安価だが、その場での採用は困難、
企業名の認知や、学生動向を知る等を主な目的としたい。

③求人ウェブサイト
定額にて求人情報を掲載、応募者は無料で閲覧が可能。
安価で多くの募集が期待される半面、
条件に適った人材の選出に時間が要される。

2、採用試験
筆記テストと面接の併用が一般的。
①筆記テスト
結果、受験態度、取組み姿勢に加え、特にカンニングに注意。
漏洩防止のため、ポジションごと最低3種類のテストを用意。
②面接
・自己紹介-本人であること、正しい経歴であることを確認。
・外国語能力-実践に疎いのはよくあること。
・問題解決能力-考える力、工夫する力を見る。
・理解力-わからないこともわかったというベトナム人。正しく理解しているかを確認。
経歴詐称や副業としての就職(短期労働目当て)が珍しくないベトナム。
面接の記録も詳細にとり、履歴書、筆記テストとあわせ管理をすること。
③注意点
 ハノイ人の傾向として
  ・言う事を聞く(積極的ではない、自ら考えない)
   自分より能力の劣る人材を採用する傾向。
  ・辞めなさそうな人材を採用する傾向(すぐに退社する傾向が強いので)
 スタッフに頼りきった採用をする事で、社内に派閥を生み、
 ”日本人管理者とベトナム人マネージャーが対立=部署全員の退職”
 を招く事があり、署内(社内)のパワーバランスに気を使う必要は
 日本で働くより大切である。

ベトナムの大学は専門性分野特化、知識(古い教科書暗記)重視。
専攻分野を生かした仕事希望。しかし、即戦力とは程遠い。
”新人”との割切り、人間性、頭の回転、
そして採用者の感性を重視したい。

3、選考期間と採用通知
学校訪問(就職セミナー)、ジョブフェア:1ヵ月半~2ヶ月
通常採用:約1週間
1週間程で連絡がない場合、応募者は不合格と認識する。
履歴書は毎日整理をし、有望な応募者には早急に対応すること。
同一日の筆記テストと面接が望まれている。

4、健康診断
ベトナム医療省の規定にも認められるところ。
B型肝炎患者(全人口の約10%)、HIV・麻薬中毒の恐れのある者、
妊婦(保険目当てであることが多い)は不採用とする。
2万~5万ドンで健康診断書を買えるので、
指定病院での診察(会社負担となることが多い)としたほうが良い。

5、Offer Letter(内定通知書)発行
任意ではあるが、プロフェッショナルらしさ=一流企業=プライド満足。
望まれる傾向にある。
一般的な記載内容(規定、定型はない)
・応募者の氏名、生年月日、身分証明書番号
・業務内容-部署及び「上司の指示に従う」等一般的事項
・給与-試用期間の給与含む
・仕事開始日
・勤務時間-勤務時間、休憩時間、休日等
・発行方法-Eメール、郵送、来社の形式は問わない。
・雇用者と労働者が2通に署名、各々1通保管。

6、その他 応募者が企業を見るポイント 4P
 Passion-熱意を持って取り組める仕事かどうか
 Place-職場はどうか
 People-同僚はどうか
 Pay-給与はどうか
新卒者の優先順位:給与―親からのサポートがなくなるため。
経験者の優先順位:仕事への興味や職場環境 
         -貯金ができ、より働きやすい環境を求めるため。

まとめ
基本的な採用の流れは日本と大差ない。
ポイント
・詐称や健康面での特有事情に注意。
・転職が一般的。将来の希望を聞き、教育(投資)価値を見極める。
・高等教育を受けているほどプライドが高い。“体育会系”は退職の元。
・経歴書が立派でも実践向きではない。素直さや基礎能力を見る。

まとめ2
新人とはいえ、高等教育を受けた自負、プライドは非常に高い。
日本で無い事を深く理解し、現地化することを常に心がけるべし。
また、日本の60年代、バブル期の採用がそうであったように、
完全な売り手市場。就職口はすぐにでもあることを採用サイドは理解しなければならない。

大卒といえども、教育レベルや家庭事情の格差が大きいベトナム。
新卒だからと一派一絡げにしづらい個人主義も根強く、
日本以上に個々人の人間性や能力の“見極めの目”が必要。

採用に合格すれば、新卒にとってははじめての社会経験となる。
一日系企業として、十分な準備を持ってベトナム人新卒を受け入れたい。



   (福田)

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