既存国債下落による諸問題
現在、市場で流通している国債の総額は、約150億ドル(予)。
そのうち、外国投資家の保有総額は、約30億ドルである。
債券価格と金利
主に2007年中旬から08年第1四半期までに発行されたものである。
債券市場では、債券価格が急落する傾向があり、 利回り率が非常に高くなる。
「3ヶ月前に2年債投資した場合の年利は、7.4%だが、
現在、市場では国債の急落により、実質年利20%の金利を得ることが出来、
債券価格は30%下落したことになる。」
企業活動・政府資金調達に影響も
企業の債券発行(社債発行)にも悪い影響を与える。
「政府債権が金利20%では、
企業は、より高い金利(20%以上)で借り入れなければならず、
企業経営に大きな負担を強いる。」
現在の金利水準は、今後の政府の資金調達能力に影響を与え、
国債発行により、インフラ整備実施することを困難にする。
国債金利の上昇要因は?
2008年5月末までのインフレが、前年同期より20%増加し、
年初より15%増加した。
② 外国投資家
これは外国投資家の債券購入習慣により出てきたもので、
具体的には、外国投資家が「market to market」と言う会計方式を適用し、
毎日市場の値段と比べて債券取引状態を再評価。
この再評価時に、債券投資活動による赤字を計算。
この赤字が上限を超える(stop lost limited)場合は、債券を売却する。
一部の投資家は、流動性の圧力を受けて売却しなくてはならないが、
実際には、この対象となるものは少ない。
「20%という高金利で、流動性の高い、いくつかの銀行や投資ファンドが、
債券を購入することを考えたが、
この需要が、外国投資家の売却数(供給)に対応できない。」
この状態が、市場に不利な状況を作っている。
外国投資家は売却価格を提示するが、実際のところ、
外国投資家のベトナム債券保有率は20%しかないので、
この売却価格が、ベトナム証券市場の正確な価格ではない。
問題への回答は
債券取引会議と、財務省、国家銀行の会議では、
これらの債券問題が主題となった。
同会議では、
債券発行による資金調達ルートを封鎖しないためにも、
外国投資家による債券の再購入を検討し、
政府が直ちに干渉対策を実施することを提案。
ただ、この対策は、債券の金利をこれ以上高く上げられないため
今しか実施できないものである。
さらに、政府が市場に干渉すると、他の問題も出てくる。
それは債券の売却資金を、ドルに両替しなければならないということである。
これらの干渉策は、国家銀行と財務大臣が協力した上で実施しなければならない。
各専門家は、政府の回答待ちの期間の、
国債市場が企業の債券市場を確定する根拠であるといえる。
政府が市場で資金を調達できないと、
企業は、生産・営業のために資金を調達する方法がない。
銀行から資金を借りることや、債券発行による資金調達ルートが、
徐々に狭くなっており、企業の営業は益々困難を極めそうだ。
サイゴンエコノミックスタイムズ 2008年6月23日