ベトナム証券市場、アジア証券市場との連動性は
「ベトナム証券は世界の証券市場とつながっているか。」
この質問に対し、アメリカ市場とベトナム市場に参加した投資家は、
次のように見る。
中には、A市場とB市場のつながりがある場合は、
この2つの市場が同時に上昇/下落するという見方をする者もいる。
この考えは各証券市場のつながりについては
充分に理解していない。
このように考える人は、VN-Indexの動向が、
いくつかのアジア市場と同様であった時期があったため、
ベトナム証券市場はアジア地域とつながりを持つと考えている。
実際、2つ、複数の証券市場がお互いにつながると言われる場合は、
A市場に影響を与える要素が
B、C市場に一定の影響を与える可能性があるため、
A市場の動向がB、C市場の動向と同様又は逆になる場合もある。
証券市場に影響を与える主な要素は政治、経済の健全さ、
金利の決定、企業業績、投資家の信用等である。
A市場がB、C市場とつながるかどうかを分析するために、
A市場に影響を与えるこれらの要素が
B、C市場に影響を与えるかを確認する必要がある。
VN-Indexが世界の証券市場とつながりを持っているか
という問題には、このように様々な見解がある。
主な四つの要素
残りの主な要素(経済の健全性、金利の決定、上場企業の業績、
投資家の信用)を見てみよう。
経済の健全性
アメリカがGDPの成長率、失業率、
小売の売上等の資料を公表することは、
アメリカ証券市場に大きく影響を与える。
当然、それもアジア、ヨーロッパにある発展国の
証券市場に与える要素に影響を与える。
ただ、これらの要素はベトナム証券市場にとってあまり意味がなく、
さほど影響を与えない。
理論面でいえば、今、アメリカ経済が下落することは、
ベトナム輸出商品の需要に影響を与える。
このため、アメリカ市場へのベトナム商品の輸出が
期待通りならない可能性がある。
ベトナム証券市場に参加する投資家は、
殆どが経験不足、あるいは投資分析経験がない。
そのため、これらの要素は投資家の判断に
あまり影響を与えないだろう。
金利の決定
アメリカの資金予備局(FED)が金利の決定をする直前、
アメリカ市場、アジア市場、ヨーロッパ市場の投資家業界は
積極的な取引を実施しない。
金利が公表された後、市場が大きく変動する。
通常、公定歩合を引き上げると、アメリカ証券市場が下落する。
ただ、日本、ヨーロッパ市場にとって、
FEDが公定歩合を下げる場合は、USDが円とEUROより安くなる。
したがって、アメリカ市場への輸出利益が急激に下がるので、
日本、ヨーロッパの大手輸出企業の株式が暴落する可能性がある。
これらの輸出企業の株式が市場に圧倒的な影響力を及ぼす場合、
日経225, FTSE, DAX, CAC 40が下落する可能性が大きい。
したがって、FEDが公定歩合を引き下げると、アメリカ市場は上昇するが、
日本、ドイツ、イギリスの市場が下落する可能性がある。
ただ、アメリカの公定歩合の引き下げ決定が、
ベトナム市場には殆ど影響を与えない。
実際、アメリカではドルの公定歩合が
2007年9月15日より連続して下がったが、年間2%を維持している。
ベトナムの金利は逆に変動し、年間7%で維持されている。
したがって、アメリカの金利政策や
ヨーロッパの金利の引き上げ、引き下げが、
ベトナムの金利政策に影響を与えないので、
当然この要素もベトナム証券市場に影響を与えない。
また、ベトナムドンが、各発展国で両替できる外貨ではないため、
ベトナム国家銀行の金利政策が各発展国に影響を及ぼさない。
近頃、ベトナム国家銀行がVNDの金利を高く引き上げたことで、
証券市場がもっと暴落すると予測されたが、
実際には、ベトナム証券市場は10日連続上昇した。
上場企業の業績
アメリカ市場では、大手グループの業績が
証券市場に大きく影響を与える可能性あり、
ヨーロッパや日本市場にも影響を及ぼすが、
ベトナム証券にとってはまだ遠すぎる。
また、原油価格が急上昇すると、
多くの国際グループ(Intenational Group)の利益が急落し、
マクロ要素がもっと不利になる。
当然、アメリカ、ヨーロッパ、アジア証券市場が
この影響を受ける。
ただ、現在ベトナムがガソリン代の値上げ期限を延長し、
ガソリン価格を支えている。
同様に電気代、石炭代等のエネルギーの値段が
政府により支えられている。
したがって、エネルギーの値段が上がると、
この商品に直接及び間接的に関係する企業の利益が
直ぐに減ることとなり、同時に株価も下がる。
世界の証券市場がこの15日間連続で下落した原因の一つは、
エネルギー価格の上昇である。
原油は146ドルに上がったが、
多くのベトナム企業(輸入専門会社を除く)の利益が
世界のエネルギー価格の上昇により下がると言えないだろう。
ベトナムはこの数ヶ月間、安定したガソリン代を維持している。
世界経済に加盟することにより、
鉄、肥料等他の商品価格が世界と同様に変動するのは当然である。
他方、各発展国で資材の値段が高騰すると、
分析業界が直ぐに多くの企業の予測利益に関する記事を出すため、
株価に影響を与える。
ただ、ベトナムでは、株価と業績の規律が実際の状況と反映しない。
投資家の信用
各発展国では投資家の信用が経済の健全さや将来への期待を
多少なりとも正確に反映している。
公表された情報が正確であり、情報に対する信用性が高い。
プロの投資家が上手くこの情報を取り扱っている。
ベトナムでは情報が充分に公表されておらず、
企業情報に正確さがないため、信用性を確認できない。
個人の投資家は公表された情報を見ないで「噂」を聞くことを好み、
また、多くの場合、正式な情報は、
株価が続伸または続落した後に公表される。
それは情報が公表されず、平等性がないことを現す。
この状況が続くと、ベトナム証券市場に対する信用は急に変わる。
今、マクロ要素が証券市場に対し不利な影響を与えているにも関わらず、
この数日間、取引電子版が青くなっている(上昇の株式が殆ど)。
結論
ベトナム証券市場は経済の代表とならない。
別の言い方をすると、証券市場は経済の健全性を反映するものではない。
したがって、外国証券市場とのつながりは、
ベトナム証券市場にとってはまだ先のことだ。
ただ、ベトナム証券市場が他の市場とつながるようになる要素は
ベトナム経済がアジア地域及び世界の経済に幅広く深く介入することである。
Vneconomy.net 2008年7月8日