M&A 金融分野に集中
Stephen Gaskill – Pricewaterhouse Coopers Vietnam
コンサルティングサービス社長は、最近のベトナムの
M&A活動について以下のように語った。
最近のM&Aはすべて金融分野の案件だが、なぜ外国投資家は
この分野で活動している企業に関心を示しているのか。
A: 金融サービス分野は、外国投資家にとって魅力的である。
ベトナムの金融サービス分野が外国投資家に注目されている理由は、
ベトナム銀行に現代技術がまだ導入されていないためであり、
小規模の金融機関が外国戦略株主から新たな投資資金を得たいと
考えている。特に、現在国内の流動性が停滞し、証券市場下落により、
国内の資金調達は大変困難になっている。
ベトナムは主に現金を扱う国であるが、現代の銀行サービスの
需要が急増し、より大きく発展する機会が与えられている。
研究報告書によると、ベトナム銀行分野が10年前から今日までに
毎年20%成長し、現在の総資産は約800億ドルに達している。
最近のM&A傾向は、ベトナムの証券会社とも関係している。
多くの企業は証券市場の暴落、取引量の減少、
IPO及び直接投資による影響を受けたため、財政環境が
困難になっている。
証券分野で活動している企業は、財政の圧力、多くの証券会社が
設立したことの圧力、資金力不足の上場企業の圧力を受け、
多くのベトナム投資家が同分野から離れていったため、
これらの企業は財政状況改善のために倒産。戦略投資家や
他社に企業を売却している。
Q: 現在、多くのベトナム中小企業は困難な状況に陥っている。
M&Aはベトナム中小企業にとって最良の選択か。またその理由は。
A: 外国投資家に株式を売却するM&A取引は、現在の経済状況で
困難に陥っている中小企業にとっては、生き残りの戦略である。
これらの取引は倒産の危機に瀕している企業が営業活動を
復帰するのを支える。
他の企業と合併することや特定のパートナーに株式を売却することは、
企業の創立株主および役員にとって頭の痛い問題である。
ただ、これらの企業は生き残るために戦略的な関係を構築する必要がある。
そのような関係を通じて企業は経費を節約し、効果的に競争するための
専門知識を高めるのだ。
従って、支配権の一部を譲渡して、より強い機関、より有名な機関の
一部となることは企業にとっても必要な動きである。ただ、株式を
売却することが唯一の解決策ではない。
中小企業は経済の急変に流されやすい。自社と合う市場を見つけ、
この市場のリーダーとなることに集中し、競争力を高めるための商品や
サービスを開発することが重要だ。
Q: 現在の背景において、マクロ的に見るとM&Aはベトナムにとって
良い影響をもたらすか。その理由は。
A: 総じてM&Aは市場経済にとって非常に重要で有益な役割を持っている。
ベトナムも例外ではない。正しく実施されたM&A案件は、売却側、購入側、
消費者や政府などの各側にとって有益となっている。
多くの企業は効率的に活動していない。合理的な価格で販売される質が高い
商品は作られているが、これらの企業のオーナーは、資金力が不足して
営業活動を拡大できないのだ。
M&Aは技術の導入、運営の技能を高めるための新しい道を開き、
企業の発展を支え、競争力を上げる。
ただ、M&Aが特定の分野にしか集中しないと、限られた企業が市場を
支配することになり、競争性を下げ、国の発展を抑制する。
ベトナムではまだこのようなことは起きていないが、管理機関が
考えねばならない問題である。
Vneconomy.net 2008年9月9日