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2011年08月22日

返済できるの? 越海外融資急増の実態


ベトナムでの2010年末までの海外融資に関する報告が遅れ、
8月に入って、正式に発表された。


今回の報告の中で、最も注目すべき点は、
ベトナムの海外融資が急増しているため、
国家財政の安全確保と、マクロ経済の安定に関わる
2009年公的融資管理法を早急に見直す必要がある、ということである。

325億USD超え

報告によると、ベトナム海外融資
(政府融資、地方融資、政府保証のある融資を含む)が、
2010年末の時点で、前年の279.3億USDから、325億USDを超えたとのこと。

従って、2010年1年で、海外融資額は46億USD近く増加したことになる。
しかし、そこから返済額の10.6億USDを引き、
さらに、昨年ベトナムが締結した各協定や
借入契約で受けている融資額は56億USDであったことを踏まえると、
GDP(統計総局の予測:1,046億USD)の約5.3%を占めることになる。

国家予算の超過支出を補填するための海外融資が、
今年4月1日の時点でGDPの約5.6%を占めており、
国内融資を大きく上回る状況となっている。

加速する増加傾向

近年、この増加傾向は徐々に強まってきている。
(2007年 3.6%増、2008年 26億USD増、2009年 61億USD増)
さらに、外貨市場が停滞する時期に、
通常海外融資協定が認可されている。
2010年、ベトナム外国準備資金は大幅減となり、
40億USD近くなると予測されている。
ベトナムは2009年、88億USDの超過支出を出している。

昨年のGDP成長率が6.78%に留まったことと同様に、
この海外融資の急増は、早期の対応が求められる。

報告によると、ベトナム海外融資の金利は、年0%~3%と低い。
具体的には、278.6億USDが金利0%~3%で借入されており、
2009年より約11.1%増加している。

一方で、高金利での融資額も増加している。
21.5億USD以上が年3%~6%で借入されており、
これも2009年より43%増加している。
さらに18.9億USDが年6%~10%で借入され、
2009年の2倍増となっている。

こうした状況の中、政府の返済義務が大きく変わってきている。
最新情報によると、ベトナムは2015年までに
毎年約15億USDの元金と金利を返済しなくてはならない、とのこと。

返済額が最も多くなるのは2020年で24億USDとなるが、
2019年には約11.5億USDで収まる。

2010年だけで、元金と金利を併せて債務の返済に
約16.7USDが海外に送金されており、
これは、前年比30%近く増加となった。

その他、2010年には海外向け国債が年利7%で発行されており、
期限は10年間とされているため、
2020年にはこれらの返済期限も重なってくることになる。

また、国際市場で10億USDの国債も発行されており、
ベトナムの債務は増える一方である。
政府の融資構造は、JPYが最高額となっており、
次点でSDR、USDとEUROが続く。
具体的にはJPYが38.8%、SDRが27.1%近く、
USDとEURがそれぞれ22.2%と9.2%となっている。
そのため、VND/外国通貨のレートが変動する場合、
ベトナムの借入額も大きく変わりこととなり、
債務/国家予算の収入比率も変わることとなる。

求められる早急の対策

また、多くの海外融資における監査指数が、
2009年より悪くなっている。
比GDPの海外融資は42.2%を占めているものの、
世銀の基準には達していない。

ただ、海外融資の増加速度があまりに急で、
安全性の限界が近づいているのも事実である。
2008年から2010年までの3年間で、
この指数は約10%拡大している。

特に、外貨準備資金/短期融資が最低となっている。
この比率は2007年には102倍であったが、
2010年には2倍もならなくなった。

ここで二つの問題が生じる。
一つは外貨準備資金が少なくなること。
もう一つは、短期融資が急増していることである。

統計によると2009年、ベトナム全体の超過支出額は
88億USD近くを達し、2010年には約40億USDとなった。
そのため、外国準備資金も徐々に減ってきている。

また、多くの経済専門家が、海外融資の金利が高くなっていること、
返済期限が短期化していることなどに、強い懸念を示している。

海外融資が急増し、外貨準備資金が減少する一方で、
為替レートがベトナム債務リスクに貢献している。
政府の最新報告によると、2009年と比べて
2010年末期のVNDは、対USDレートが約10.26%低下、
対EURが11.14%、対SDRが約5.53%下がったものの、
対JPYで6.43%上昇している。

インフレが続き、外貨市場を安定させることが困難になっている。
また、債務の返済計画の見直しと、
国家予算の収入の拡大方法も検討しなくてはならない。
特に、ベトナム経済の短期回復の可能性が見込めない以上、
腰を据えた、長期的指標が示されることが望まれる。



Sanotc.com  2011年8月22日

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