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2011年10月10日

急落のVN-Index 安定回復の兆しは


2011年9月末、 VN-Indexは 11.77%、
HNX-Indexは37.53%相次いで暴落した。
市場の安定した回復が、未だ困難にあることを
露呈した形となった。


9月、ベトナム証券市場が急上昇したため、
市場回復に対する期待は大きく膨らんだ。
ただ、マクロ経済の問題は解決を見ず、
公的負債も増大していたため、
市場の回復能力の弱さも懸念されていた。

今年第3四半期末、VN-Indexは427.60ポイントで、
年初より11.77%下落となった。
また、HNX-Indexは71.34ポイント、年初から37.53%の下落となり、
2009年2月以降、最低値を更新することとなった。
この暴落により、ベトナム証券市場は、
世界一急暴落した市場となった。

この結果は、マクロ的指数が非常に悪いことの反映でもある。
物価上昇率は毎月増加しており、
8月には最高の23.02%を達し、
インフレ上昇率も2008年の上昇率を超えている。
インフレとともに金利上昇も激しく、
銀行ネットワーク全体が清算面で非常に直面していた。

第2四半期と第3四半期に為替レート事態は安定していたものの、
リスクは山積していた。
年初9ヶ月の経済成長率は5.76%に留まり、
年次目標の7~7.5%を大きく下回る結果となっており、
企業の経営状況も悪化が目立ってきている。

年初6ヶ月の上場企業の業績統計では、
54.21%の企業が売上減少となり、
12.92%の企業が赤字となった。

また、証券市場に影を落とした要因としては、信用の低下がある。
国会決定No.11を実施して7ヶ月が経過したが、
マクロ状況の改善は進まず、
投資家の信用が弱くなってきている。
その他、ベトナムに対する評価指数や、
競争力の評価指数も低くなっているため、
外国投資家が対越投資に懸念を強めるようになってきている。
この9ヶ月間で、外国投資家の純購入金額は2兆VNDに留まっており、
2010年の12%相当に留まる結果となっている。

今年に入って9か月間の中で、市場は何回か上昇したが、
主に心理的要素とIndex投資ファンド(ETF)の干渉によるものだった。
VN-Indexが2月9日に522.59ポイントを達し、
2011年4月末に急上昇したが、
主にBVH、MSN、VICの株取引が主因となった数値であった。

今年、ベトナム証券市場は2回回復したことがあった。
1回目は5月25日から6月12日にかけてで、
通達No.74の発表後、大量の資金が明確な目的をもって投入された。
ただ、国内のマクロ問題が解決せず、
世界の証券市場がまたも下落したため、
ベトナム証券市場も暴落することとなった。
2回目は8月16日から9月13日までで、
国家銀行が金利引き下げの対策を実施した直後であった。

山積する国内外の壁

証券市場は、経済の「顔」である。
最近、ある証券会社の専門家が、
2011年末、Vn-Indexは500ポイント超となり、
2012年半ばには650ポイントを超える、という予測を行った。
この判断は、金利引き下げとそれに伴う政策実施を背景に
下されたものである。

ただ現時点では、最高金利を抑えるという、
期待通りの効果は上がっていない。
調達金利が低く抑えられたことにより、
銀行ネットワーク全体の清算状況が困難となった。
国家銀行がOMOに20兆VNDを出したが、状況は改善されていない。
銀行の貸付金利は年17~19%に引き下げられたものの、
実行に移されたのはごく最近のため、
成果を見るには、まだ時間が必要だろう。

その他、懸念するべきことは、
外国投資家がどこまで我慢できるか、ということである。
2011年9月、外国投資家は合わせて1.200兆VND、
主にVIC、HAG、FPT、DPM等のBlue-Chipsを売却した。
外国投資家は、株式を大量売却する傾向が強く、
特にヨーロッパやアメリカの債務問題が解決されていないことで、
リスクを軽減しようとする投資家たちの判断に、影響を与えている。

また市場は、企業の経営状況にも大きな影響を受けている。
9月中頃急上昇したことで、証券市場に多少の利益を与えたが、
大分の生産系企業と不動産企業は、非常に困難な状況が続いている。

回復加速の可能性は

基本的に、現時点で市場が安定的に回復する見込みは薄い。
ただ、マクロ政策や投機の要素が、
今後の市場に積極的な影響を与えることも考えられる。

現時点では、金利引き下げの政策に大きな期待が寄せられている。
年末3ヶ月の資金貸付成長率の枠は6~8%しか残っていない。
しかし、国家銀行は金利を下げるため、
銀行システムに資金を供給する可能性もある。
これは不良社債の圧力を減らし、小規模の清算能力を支えることになる。
この資金が年末の証券市場を支えることになりそうだ。

また現在、株価はBook Valueより低く取引されており、
1株当たりのPERが平均9倍に留まり、
大半の株式PERは4~7倍となっている。
PERが低いため、マクロ経済に回復の兆しが見えれば、
市場が急速に回復する可能性も残されている。



CafeF.vn  2011年10月10日

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