« EVN Telecom Viettelと合併 | メイン | 運営担当者との給与格差は100倍のベトナム »

2011年11月24日

TNK-BPがベトナム石油に注目する理由


11月2日、TNK-BPグループはベトナムに対する投資を許可し、
ベトナムとベネズエラの両国における英国BPグループの資産を
18億USDで買収したことを正式に発表した。


ONGC(インド国家石油グループ)、Petro Vietnam(ベトナム石油グループ)を
押さえたTNK-BPが決断を表明した。

同グループがBPに代わってベトナムへの参入を果たす目的は何なのか?
それはベトナムにおけるBPの存在感がTNK-BPと比較して小さいからである。
また、今までTNK-BPの資産は陸上のものに限られていたが、ベトナムでの
資産がガスを主体に海上のものも含むからである。

TNK-BPの取締役によると、ベトナムとベネズエラにおけるBP資産を
買収することは伝統的な市場以外に活動を拡大する戦略の一環でもある。

TNK-BPとは何者なのか?

つい最近ベトナムで行われた記者会見での紹介情報によると、TNK-BPは
ロシアで3番目に大きな石油会社であり、世界の原油開発民間企業の中でも
10番目の規模を持つ企業である。

TNK-BPは2003年にロシアにおけるBP資産とAAR Consortium グループ
(Alfa Group, Access Industries, and Renova)の資産合併によって設立され、
BPとAARがTNK-BPで同程度の所有率となっている。

TNK-BPはロシアとウクライナの加工産業、精製産業、PR産業に加えて
東シベリアとボルガの資産開発会社の投資品目を統合する企業である。

DeGolyer &MacNaughtonの会計検査結果では2010年末時点でTNK-BPの
石油貯蔵量は131億バレル、2010年の生産能力は1日当たりに換算すると
174万バレルとなっている。

他にもTNK-BPはロシアとウクライナに1,490台規模のガソリンスタンドの
ネットワークを所有している。

TNK-BPとBPの合意においては、BPがTNK-BPにベトナムでのBPの財産
(石油鉱山、ガスパイプ、発電機を含む)を引き渡すこととなる。

具体的にはTNK-BPが今後06.1オフショアブロック(Lan TayとLan Do鉱山)、
Nam Con Sonガスパイプの32.67%、Dinh Coガス整理場、Phu My 3発電所の
33.3%を所有する。

ベトナムを選んだわけは?

現在、TNK-BPはTNK ベトナムを通じて活動している。 TNKベトナムによると、
ベトナムでのBP資産を引き継いだ後、TNK-BPのベトナムにおける生産能力は
1日1万7,000バレル(投資資金回収と利益配当に基づいた数字)に達する。
これはTNK-BP全体の1%に過ぎないが、ロシアとウクライナ以外の国に活動を
拡大する戦略を実施するためのきっかけとなる。

また、営業の有利性も評価に値する。BPからの資産は採掘・運搬・発電ともに
円滑な状態となっている。現在、Phu My3発電所はベトナム全体の電気生産能力の
約6%を占めている。

Lan Do鉱山における約3億USDの投資額は、年間で約3億USDとなっていて、
ガスの採掘能力は毎年20億㎥である。TNK-BPではPhu My3の電気生産能力を
ベトナム全体の約10%まで引き上げる計画がある。

もう一つのメリットは、このガス鉱山の調達が長期契約となったため、TNK-BPの
調達先に対する不安材料がなくなることである。

生産能力はグループ全体の約1%相当だが、なぜTNK-BPが他を圧倒したいと考え、
そして新たな市場を開発したいのかは、まだ大きな疑問と言わざるを得ない。
だが、TNK-BPのChris Einchcomb副会長はベトナムの報道機関に「生産能力の
1日1万7,000バレルは小さいものではない」と述べている。

ここで注目すべきはTNK-BPが伝統的な市場と相違点の多い市場に活動を展開し、
その分野を調査から採掘に変えたことである。成功の確率は72%であり、主な製品は
ガス化させた原油である。

TNK-BPのMichael Friedman 会長は「2010年にTNK-BPは今後5年間での天然ガスの
生産能力拡大戦略を立てた。この目標達成のため、ロシアのガス鉱山開発を継続し、
ロシアと外国での新案件に参加したい」と述べた。

TNK-BPが陸上から沖合の海上に活動を展開するには、ベトナムが重要なきっかけに
なるものと分析されている。

2010年のTNK-BPの財政報告書では「我々は陸上における豊かな活動経験を持っており、
これを他で活用できる可能性は十分にある」との見解が述べられている。

TNK-BPのBill Schrader –専務はInterfax報道社(ロシア)のインタビューに対して
「ベトナムとベネズエラの資産はTNK-BPの生産能力に1日4万~4万5千バレルの
貢献度があり、TNK-BP全体の生産能力と比べればまだ小さいが、両国に企業の発展や
経験を与えてもらえる。ベトナムでは海上において3億USDの大規模な投資計画があり、
ベネズエラでは重油精製の新たな技術を研究することができる」と述べた。

一方、TNKベトナムもプレスリリースを報道機関に送った。内容は「ベトナムにおける
開発戦略が沖合の天然ガス採掘活動を安全かつ効果的に実施し、TNK ベトナムが
TNK-BPの一部として海上の石油採掘技術指導センターになりつつ、東南アジア諸国で
新たな開発チャンスを握る」というものである。

TNKベトナムはベトナムにおける活動の拡大を継続し、Petro Vietnamとともに
アジア地域と世界の新規投資案件に参入する戦略を立てている。

Vneconomy.net  2011年11月24日

« EVN Telecom Viettelと合併 | メイン | 運営担当者との給与格差は100倍のベトナム »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー