xe om(セ・オム)の運転手
皆さんは、この「セ・オム」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
これはズバリ、バイクタクシーのことで、本当に街の至るところに待機している。
もし皆さんがベトナムに来て、大きく手招きをしている人を見掛けたら
それはほぼ100%、セオムの運転手だろう。
セオムの「セ」はバイク、「オム」は抱くという意味だ。
運転手は圧倒的に4、50代と見られる男性が多いが
時々、学生風の若い男の子もいる(小遣い稼ぎだろうか)。
そして最近は何と、女性の運転手も見掛けるようになった。
セオムに乗るには値段交渉が必要だが
通勤通学のラッシュ時、夜や雨の日は比較的高い。
ちなみに私の住む辺りでは、値切って値切って(笑)
5キロ2万ドン(約140円)程度だろうか(かなり大まかだが)。
一般的に、街の中心部へ行く程、相場は高くなるのだが
まれに法外な値段(10ドルとか)を吹っかけてくる運転手もいるので
そういう時は潔く、次の運転手を探すのが賢明だ。
また時々、交渉炸裂で次を探していると
交渉再開を求め、バイクで追いかけて来ることもあり
こういう時は思わず、心の中でガッツポーズをしてしまう。
さて、このセオム
普段、私はあまり利用しない。
理由1.値段交渉が面倒
2.危ない
一番の理由は絶対的に2で
運転手によっては、かなり無謀と思われる運転なのだ。
(信号無視・脇見・猛スピード…)
私はベトナムに来て、これで何度寿命を縮めたことか…。
それでも
どうしても急いでいる時は、意を決して利用させてもらっている。
確かに車より早く、値段も手頃なので、沢山の人が利用している。
その分、探している時に限って一台もいないこともある。
昨年の12月15日より
ベトナムでもヘルメットの着用が義務化されたのだが
この日私は、ちょっと急ぎの用があったので、セオムを探すことにした。
上で書いたように、日頃バイクにはあまり縁がないので
義務化がその日だということを、すっかり忘れてしまっていた。
街に出ると、ヘルメットでカラフルになっており
公安があちこちで取り締まっている。
そんな日にヘルメットを被っていない人なんて、一人もいなかった。
ここで私は初めて、今日が何の日であるか気付いたのだ。
もちろん、ヘルメットの購入なんてしていない。
途方に暮れつつも、とりあえずセオムを探す。
しかし運転手は、お客用のヘルメットもしっかり用意してくれていたのだ。
この時は本当に助かった〜。
と、話が長くなってしまったが
市民から充分な支持を得ているこのセオム。
私もなんだかんだ言いつつ、かなりお世話になっている。
経済だけでなく、交通事情も含め、全てが大きく変わりつつあるこの国で
セオムはどういった形で生き残るだろうか。
実は心の中で、小さく応援している、なんだかんだ言いつつも…。
渡辺 弥生