« いずれに投資すべきか: 株?債券? | メイン | 男の子が欲しかったのに・・・ »

2009年02月16日

プロフェッショナルの育成~社会的ニーズを満たすビジネス~


労働力が全人口の7割を占める
開発途上にあるベトナムは
多くの外国投資家を引き付ける。
社会的問題点も解決されつつあるが、
特に専門分野の人材・スキル不足といった点は、
まだまた課題が大きい。


世界との結び付きが強まりつつある中、
ベトナムにおいても、
世界水準の教育リソースに
アクセスするチャンスが増えてきた。

だが、そのリソースとチャンスを
すべての人と機関が
有効に活用しているとは言いがたい。
これら、職業訓練システムにおいて
質と量の2つの側面に問題がある。

1)質の問題:旧態依然のトレーニング

あらゆる分野において、
技術やスキルは日々進歩している。

だが、ベトナムでの大学専門教育や、
基本的な職業訓練での、
カリキュラムやシステムは、
積極的なレベルアップを図ることなく、
社会が求める水準を満たさない。

2)量の問題:不足する機会と場所

高等教育機関で知識を学習しても、
それらを実社会で応用・活用するには、
より実践的なトレーニングが必要だ。

それらを提供するのが、
教育機関の職業体験訓練や
専門の職業訓練センターである。

しかし、実施回数や機関も少なく、
トレーニングの機会が圧倒的に不足している。

雇用者の不満は募るばかり

経済発展と共に成長してきた
ベトナム経済を支える多くの企業。

多くの人材が、
これらの企業に職を求めて訪れるが、
雇用側はいい人材に巡り合えないと嘆く。

有名大学で学んだ人でさえ、
企業でさらなるトレーニングが必要であり、
卒業生と彼らを育てた学校とに
多くの企業が苦言と疑問を投げかける。

これらの問題の根本的原因として
大きく2つ考えられる。

原因1:変化に対応できていない

ベトナムの教育システムの基本は、
経済改革実行前の
社会主義的思想をモデルに構築されている。

一部では改善された面もあるが
経済や社会が方針転換した今日において
全体が古い教育システムそのものは
社会のニーズを満たさない。

原因2:バックアップの不足

一口に「職業訓練」といっても、
その実施には、ハード面とソフト面、
それに経済的な問題といった多くの制約がある。

だが、支援や援助、協力体制は
整備されていない。

このような現状において、
個人レベルでの努力だけでは
やはり限界もある。

この教育という社会的問題に
ビジネス的発想を適用すれば、
いくつかの解決策が見出せる。

対策1:企業・行政による先行投資

将来の利益のために、事前の投資は必要である。
若年層のスキルの高まりは、高収入につながり、
社会全体の経済力も強化され
消費として企業利益に還元される。

行政による教育訓練費用の補助制度や
企業での訓練機関の設立など、
整備・充実を図るべき点は多い。

「人は雇うもの」という従来の発想を
もう一段ステップアップして、
「人を育てる」という
投資の視点をプラスしたい。

対策2:事業提携・協力体制の構築

新たなシステム整備には
時間も費用も必要である。
ならば、今あるものを組み合わせては
どうだろう。

実践的職業トレーニングであれは、
大学が企業に学生を派遣する形で実施すれば、
費用を抑えながら、より実践を体験でき、
大学と企業の交流も深まり、
意識のギャップも埋められよう。

また、海外の教育機関と提携するなどして、
交換留学や情報交流を促進すれば
教育のレベルアップにつながるだろう

対策3:ビジネスとして確立

人材育成システムが未整備のベトナムにおいて
職業的専門教育分野は未開拓市場といえる。

日本や海外企業の持つ
独自のトレーニングやノウハウの
ベトナムで提供するというサービスは
ビジネスとしても投資としても
成立する可能性は十分ある。

優れたカリキュラムとシステムを備えた
訓練センターを設立して人材育成を実施する。
そこで、高度なスキルを取得した受講生は
内外の企業において活躍が期待できる。

今後、企業・経済活動が活発化すればするほど、
このような専門的職業訓練のマーケットは
拡大するだろう。

金融投資のように、決して派手さはないが
“人・企業・社会に貢献する”
そんなビジネスモデルとなり得る。

だが、いかに優れたサービスが提供されようとも、
もっと大切なことを忘れてはならない。
それは働く者一人ひとりの
“向上心と意識と責任感”である。



Cuong

« いずれに投資すべきか: 株?債券? | メイン | 男の子が欲しかったのに・・・ »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー