徒然なるままにハノイ:ベトナム建設労働者事情
ハノイやハノイ近郊は、今、建築ラッシュである。
ハノイは、オフィスの賃貸料の高騰や、
中高級ホテルの不足が問題になっている。
実際、ハノイのオフィスの賃貸料が、
東京を抜いて、アジアでも一番に躍り出た、
という話があるぐらいだ。
さて、今日書こうと思うのは、建築の話。
これを書いている私も、
実は元々は、住宅の設計の仕事をしていて、
建築士の資格を持っている。
そんな私は、建築現場を見るのが大好きだ。
使っている材料や構造、デザイン、興味深いことが多い。
女性で、現場で働いていて、
セメントをこねている人もいる。
私は以前に、ラオスでも建築の仕事をしていたのだが、
現場には、多くのベトナム人がいた、たぶん、70%ぐらい。
カンボジアなどでも、同じように、
出稼ぎに来ているベトナム人建設労働者は多い。
ベトナム人の仕事の早さと、手の器用さ(小ずるさも)は
群を抜いていて、現地の労働者でも、かなわない。
特に、お金は出すから、期限までに完成させてくれ、と
言った時の頑張りは、日本人でも目を見張るぐらい。
彼らの仕事のスタイルは、日本のそれとは大きく違う。
まず、現場が決まると、最初の1,2日で、
現場の一角に小屋というか、
柱と屋根と竹のシートで作った壁の簡易的な建物を建てる。
そして、そこに住み込んで、共同生活を開始させるのだ。
作業員が、その現場に住み込み、
そこで寝泊りをし、飲食をともにし、水を浴び、
もちろん、作業も一緒だから、
完全に24時間一緒である。
これは、建築資材が盗まれる可能性があるのと、
現場ごとに、どんどん移動していくので、
部屋を借りて、定住してしまうと、
次の仕事にありつけないのだ。
これは、東南アジアでは、共通のスタイル。
聞くと、労働者の半分ぐらいは結婚していて、
1年に1,2回、田舎に家族に会いに帰る。
後の半分は、こんなスタイルでは、
なかなか出会いがないようで、
彼女がいる、と言う人は、ほとんどいなかった。
特例で、
その現場に奥さんも一緒に住んで作業していたり、
子供も一緒に住んで(住所不定だが)
その現場から、地元の学校に通う子もいるようだ。
(転校が多くて、大変そうだ)
これは、本当に珍しい例だけど、ベトナム建築事情?でした。
渡辺 藍(Ai Watanabe)