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2008年06月16日

【経済】ベトナム経済を読み解く


一般国民は、証券投資も不動産投機も贅沢な車の購入もしないにもかかわらず、
なぜ現在困難を負っているのか?

海外金融機関の経済分析レポートは、彼らの顧客の権利を守る前提で状況を評価するが、
誰かは国の共通利益、及び、ドルを持たない国民のために経済展望を分析するだろうか?

このような問題を出す時、我々は違う心理反応を与えている多くの情報を簡単に受取れるだろう。
海外のレポートは主に金融問題に集中しているが、現在我々に必要なことは
より基本的な要素に基づく経済の全体絵画である。
ここで言いたいことは、海外の金融機関、及び、コンサルタント会社のアナリストの分析は
より多くの情報に基づくため、より詳しく、また変わったところもある。


1.貿易赤字

2008年初5ヶ月の貿易赤字は記録的である144億ドルに達した後、
多くの要素によって減少する傾向である。
去年、株が大きく上昇したため、多くの人は消費に大きな金を使った。
これは輸入された車や贅沢品等の量で表されている。

現在は、金が足りなくて皆は年初のように品物を大量に輸入することができないだろう。
また不動産市場の低迷も建設資材の需要を縮小するはずである。
輸入車はあまり売れなく、輸入鉄鋼は再出される等の情報はこのことを証明した。
5月の国内製造車の販売台数は、先月と比べ1,800台減った。
これは輸入部品の量を減少させるだろう。

一方、ドル・ドンレートは上昇しているため、輸入会社はドル買いが難しくなり輸入品の価格が上がっている。
よって、主要な傾向は輸入減少である。
しかし、多くの輸出製品は輸入する原材料に依存するため、
どうすれば輸出を拡大し、貿易赤字を抑えるか?という問題である。

為替レートを柔軟にさせるのは、ベトナム製品の海外での競争力を高める方法である。
為替レートの柔軟というのは、ベトナムドンの価値を米ドルのみでなく、
外貨バスケット(ベトナムが貿易関係ある国の通貨を含む)に基づき確定するという意味である。
財政引締め政策、及び、政府支出の引締めは、
積極に実施されれば、今年後半の貿易赤字の圧力を低下させる。

実際には貿易赤字は減少している傾向である。
3月の貿易赤字は33億ドル、4月は28億ドル、5月は26億ドルに減った(出典:Barclays Capital)。
他の指標(特に国際収支)へ積極的な影響を与えるため、貿易赤字の減少をより強く促進すべきである。


2.インフレ

全世界でオイル・ガソリン代と食品・食糧価格が上昇し、多くの国でインフレ問題を起こしている背景、
ベトナムにとってインフレ抑制の適合的な政策を出すことは、本当に難しいことである。
しかし、多くの人の意見通り、この前の財政緩和政策によって
ベトナムでのインフレは、他国よりかなり高くなった。
現在、財政引締め政策が適用され、金供給はあまり増加しないため、
数ヶ月後、この政策が効果を出しはじめる頃にインフレが下がるだろう。

世界銀行(WB )のデータによれば、金供給は前年同期比10%下がったということである。
このことは輸入の増加率が低くなっていることに一致する。
スポンサー会議で発表された、WBの”Taking Stock”というレポートによると、
食糧・食品の価格上昇という要素を除けば、ベトナムのインフレは3月より下落しているということである。
注意したいことは、国民のインフレについての期待は、物価傾向を決定する役割を持つ。
よって、金利政策をインフレ抑制に付けなければならない。
国民は安心して銀行へ預金するため、実質金利は+レベルへ引上げられなければならない。
そうでなければ、財政引締め政策は早く効果を果たせないだろう。


3.他の指数

農業・林業・水産の生産高は前年同期比2.9%上昇した。
しかし、ベトナムは世界の食品・食糧価格が大きく上昇しているチャンスをまだ利用しないようである。
よって、農民は価格上昇からあまり受益せず、
逆に輸出企業が彼らの農産物を買う資本が足りないため、困難にあっている。

工業生産価値(建設産業以外)は、去年の成長率(年初5ヶ月の16.4%)をまだ維持している。
WBは上記レポートで、ベトナムは今年のGDP成長率を7%へ好意的に引下げたにもかかわらず、
去年の高い成長率(8.4%)の慣性があるため、
2008年のGDP成長率は、ベトナムが希望する数字より高いだろうとコメントした。

“今年後半に建設産業の成長率は0%へ下落し、他産業は第1四半期の成長率を維持するにもかかわらず、
 2008年のGDPは約7.5%に達する”
と、このレポートは書いた。
ということは、インフレ抑制は成長率が低くなることで交換されるにもかかわらず、
成長率はそれほど大きく落ちない。
政府は各産業、各地方から高い成長率を維持する圧力には決して拒絶しなければならない。

心理は市場を安定させることにおいて大きな役割を持つため、
より客観的な見方があり、我々は幾つかの金融・財政要素を検討すべきである。

1 国際収支:グェン・タン・ズン首相と、
  JP Morgan ChaseのチーフエコノミストであるDavid Frenandez氏との間の会談からの情報によると、
  ベトナムの2008年初5ヶ月の全体収支バランスは10億ドルを余剰しており、
  2008年で20~30億ドルの余剰であるという。
  現在、FDI事業は毎月10億ドル以上を投入している。
  WBのレポートも同様な数字を見せている(貿易赤字はあまりに低い予想にもかかわらず)。
  このレポートによれば、2008年の経常赤字は113億ドルと予想されるが、
  資本勘定の余剰(148億ドル)で補助され、
  国際収支は外貨準備の形で約34億ドルを余剰するということである。
  これは、ベトナムの国際収支の危機についての噂を拒絶するため、
  市場が要っている数字である(以下の表を参照)。
  しかし、この角度では、貿易赤字を縮小しベトナム製品の競争力を高め
  外資企業のワーカーの最低給料(ドルで計算されている)を上げ
  海外金融業界の投機武器を除外するするため、
  市場は為替レートを柔軟に調節することが必要だ。
  為替レートを調節する時、インフレも検討される必要である(米ドルのみでない)。

2 国民への影響:公開も非公開も、金融に関するSIG(Special Interest Group)はかなり強い。
  逆に低所得者(特に農民)を代表するSIGは殆ど存在しない。
  よって、政策を実施する際、目先の影響及び海外投資家の圧力を受けないために留意すべきである。
  急にベトナムドンを切り下げないという発表はそのためである。
  ベトナムドンを切り下げれば、財政引締め政策の実施がより難しくなり
  最も強い影響を受けるのは低所得者である。
  我が国の人口の73%は農村で住んでいる。
  政策は農民の購買力を高めるために基本的な形に戻れば、国内市場は中小企業の強いサポートとなるだろう。

3 海外間接投資:現在、海外投資家はベトナム企業の25%のみ(上場市場とOTC市場を含む)保有している。
  よって、海外間接投資の総資本は70~80億ドル位であり、
  その殆どは退出できないクローズ型ファンドの資本である。
  現在、海外投資家は約25億ドルの株式と50億ドルの債券を持っている。
  これらの数字を出す時、ドラゴンキャピタルは
  ”外貨準備高はホットな対外債務の360%に相当である”
  というコメントを出した。
  ノンデリバルブル・フォワード契約(NDF)のドル・ドンレートが大きく上昇する等の情報は
  実質為替レートに関係ない。
  これはあくまでもフォワード契約でゲームのようなものである。
  満期の際、敗者は勝者へ為替レート差のみを支払する。
  証券市場、及び、外貨市場での変動は、主に国内投資家の心理に起因するため、
  これらの情報を国民へ詳しく説明する必要がある。
  我々は、現在状況の原因は金融・財政政策と国営企業の投資であると確定したため、
  最も重要なのは、出した対策を一貫するべきことである。
  また、資産運用の実際生産経営活動への影響を縮小することに注意する必要がある。
  この2つの分野は密接な関係がある。
  しかし、ベトナムでは資産運用はあくまでもここ1、2年で流行ったばかりである。
  心理問題を解消するには、この2つの分野のうち、
  まず優先すべきことは何かを確定することである。

ベトナムの国際収支(単位:百万ドル)


2007年2008年
(予想)
A. 経常収支-6.992-11.346
  貿易収支-10.36-16.207
  運送、保険、サービス-894-908
  FDIの利益移転-2.168-2.432
  海外からの送金6.438.2
B.資本勘定17.54114.847
  FDI(投入済み)6.555.8
  中長期ローン2.0452.468
  短期ローン794
  間接投資6.2431.985
  預金2.6244.5
C.誤差-3810
D.全体バランス(A+B+C)10.1683.501
  (うち外貨準備高の増加)10.1443.475
出典:国家中央銀行(2007年数字)及びWB(2008年の予想)


Vneconomy.vn  2008年6月15日


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