ベトナム経済 10月のポイント
統計総局は2008年10ヶ月の経済社会状況を報告した。
物価下落など、明るい話題が豊富な一方で、
工業成長の減速、輸入超過額増など、問題も山積している。
全体を見ると、以下の10のポイントが挙げられる。
1. 工業生産の成長が減速
年初10ヶ月の工業生産価値は、
前年同期比+15.8%で、年初9ヶ月の16%より多少低下した。
うち、中央管理セクター +7.7%
地方管理セクター -1.7%
民間セクター +21.1%、
外国投資セクター +17.8%であった。
(原油、ガス-8.2%、その他分野+20.6%)
需要のある製品の生産は、全体の成長率よりも高い。
例えば、トラック製造は+64.2%、バス +53.3%、
紳士婦人服 +33.9%、洗濯機 +33.8%、
ミルク +28.7%、冷蔵庫 +25.6%、水産加工 +23.6%。
しかし、他の重要製品の生産の成長は鈍く、
前年同期より減少している場合もある。
砂糖産業は+5%、化学肥料 +4.4%、コットン繊維 +0.2%、
石炭開拓-1.2%、丸鉄生産 -7.7%、原油開拓 -8.1%。
2. 農業生産 順調な伸び率
2008年10月15日までで、
北部の米収穫は597,900ヘクタールが完了し、
前年同期の78.3%。
栽培能力は1ヘクタール当たり4,880Kgで、
前年同期より+50キロ。
(紅河のデルタ地帯の米の収穫は
317,600ヘクタールが完了、前年同期の82.1%。
北中部のデルタ地帯は87,200ヘクタールで、前年同期の63.3%。)
10月中旬までで、全国375,000ヘクタールで収穫が完了し、
前年同期の+10.5%となる見込み。
トウモロコシの収穫用地は185,900ヘクタールに及び、
前年同期より+4.4%、
サツマイモは39,900万ヘクタールで、+1.5%。
また、年初10ヶ月の水産物の漁獲量は、
約3,806,800トンで、前年同期の+9.6%、
養殖は2,060,000トンで、前年同期の+19.1%、
他が1,746,800トンで、+0.2%。
ただ、今月は北部から中部にかけて、
洪水が連続しているため、
7,200ヘクタールの米、3,000ヘクタールの果物、
水産養殖でも2,000ヘクタール、
4,400匹の動物、3万匹の家蓄にも被害が及んでいる。
植林面積は166,400ヘクタールで、前年同期の+1.9%。
木材生産量は2,760,900 m3で、前年同期の+4.5%。
3. 国家予算 収入は計画を上回る見込み
2008年10月15日まで、国家予算の収入は
今年計画の102.2%に達すると予想されている。
そのうち、国内収入は計画の96.5%で、
原油輸出による収入が計画の98.9%、
輸出入の収入が計画の121.7%に達する予想。
国内の収入については、
国営企業が計画の95.2%で、外国企業が87.3%、
民間の商業・工業・サービスが89.2%、
高所得者による所得税の税収が118%、
燃料費が77.9%、手数料等が83.5%。
年初より2008年10月15日までの、
国家予算の支出は計画の87.8%と予想されている。
そのうち、投資開発のための支出が75.5%(基本建設投資71.9%)、
経済・社会開発、国防、安全、国家管理等の支出が87.5%、
国債やその他支援の返済が86.6%。
4. 公的資金投資はマイナス FDIは依然増加傾向
この10ヶ月で、国家銀行の投資資金は75.6兆ドンに上り、
計画の77.1%に達した。
その中で、中央への投資資金が24.2兆ドンで、計画の72.9%。
地方への投資資金は51.4兆ドンで、計画の79.2%となった。
各省の、国家予算の投資資金実施額は、
農業農村開発省が1兆9,314億ドン、計画の115.9%、
商工省が1,908億ドン、計画の80.5%、
保健省が7,271億ドン、計画の78%、
文化情報スポーツ省が3,411億ドン、計画の77.3%、
教育訓練省が8,626億ドン、計画の77%、
交通省が4兆4,026億ドン、計画の70.1%、
建設省が1,003億ドン、計画の28.5%である。
外国直接投資は、2008年10月22日までの
新規登録が953件で、投資資金は583億ドルである。
件数は前年同期比-16.7%だが、投資資金は+497.7%。
既に実施されている投資案件247件の、
増資資金10億ドルを加えると、
この10ヶ月の全国での投資資金調達額は593億ドルで、
前年同期比+426.6%。
外国直接投資の実施額は91億ドルで、前年同期比+38.3%。
5. 小売・サービス分野 引き続き成長
この10ヶ月の小売・サービスの売上は、
782.3兆ドンで、前年同期比+30.7%。
その中で、販売が82.4%を占め、
ホテル、レストランが11.3%、
サービス業が5%、観光が1.3%であった。
物価上昇を除くと、小売・サービスの売上は
この10ヶ月で前年同期比+6.1%となる。
6. 消費者物価 下げ始め
2008年10月の物価は、先月の-0.19%で、
年初から始めての減少となった。
主に、食料品、ガソリン他、サービス業が下がっている。
今月の消費者物価は、2007年12月から+26.72%となる。
08年10ヶ月の物価上昇率は、
2007年より+23.15%。
7. 輸出は減少、輸入が増加傾向
2008年10月の輸出額は約51億ドルで、
主な輸出品の単価、輸出量共に減少したため、
先月の-3.3%となった。
(原油 20%値下げ、コーヒー 7%値下げ、
米輸出量-21%、米単価 20%値下げ)
2008年の10ヶ月の輸出額は、538億ドルで、
前年同期の+36.7%。
今月の輸入額は58億ドルと予想され、先月の+5.2%。
この10ヶ月では701億ドルで、前年同期の+42.6%。
今月は値下がりした商品も多い。
例えば、ガソリン 7.7%、鉄 5.1%、肥料 17.1%の値下がり。
ただ、先月までの物価上昇による影響から、
輸入額の上昇が目立つ。
その中で、肥料 83.4%、ガソリン 71.1%、
鉄 57.2%、部品、機材 33%の増加。
10月の輸入超過額は7万ドルで、先月の23,700ドルより高い。
今年10ヶ月では163億ドルで、前年同期の+66.2%、
輸出入総額の30.3%に上る。
8. 顧客運搬 順調に成長
この10ヶ月の運搬量は
49億3,100万トン、1,442億トン/Kmと予想され、
前年同期比、重量で+10.4%、距離で+41.2%。
陸路の物品運搬量は、3億5,320万トン、186億トン/Kmで、
前年同期比+11%/+14.9%。
海運量は4,280万トン、1,171トン/Kmで、
前年同期比それぞれ+2.1%、+1.2%。
鉄道運搬量は720万トン、360万トン/Kmで、
前年同期比それぞれ-2.2%、+11%。
9. 外国人観光客 引き続き増加
年初10ヶ月でベトナムに来る外国人旅行客は360万人となり、
前年同期比+3.5%となる。
ただ、観光客の増加率は約2.7%に留まる。
仕事でベトナムに来る外国人は72,330人で、
34.1%増加。観光客は延べ443,400人で、-12%。
航空便を利用する外国旅行客は280万人に達し、
前年同期の+2.7%。
陸路旅行客は678,800人で、+18.8%。
海の便を利用する旅行客は127,500人で、-32.4%となった。
以前から観光客の多い国で、客数の増加が続く。
中国は538,600人で、前年同期の+14.7%。
アメリカは357,300人で、+4.6%。
タイは154,000人で、+14.5%。
特に、など、急速に客数を伸ばす国もある。
フィリピンは39,000人、前年同期の+46.1%。
ポーランド 6,800人、+39.7%。
ノルウェー 12,900人、+34%。
スウェーデン 23,200人、+28.4%。
10. 郵政、テレコム 急成長続く
10月、電話登録数は210万件増加し、
年初10ヶ月で1,900万回線、前年同期の+4.5%となった。
2008年10月末までの、全国登録番号数は70,900件となる。
その中で、郵政テレコムグループ (VNPT)は3,930万件。
うち、固定電話が1,020万、携帯電話が2,910万件である。
インターネット登録は、
10月末までに640万件となり、VNPT回線は370万件を占める。
インターネットの使用者は2,090万人となる予想。
郵政・テレコム分野の、
純売上は54.9兆ドンで、前年同期の+24.4%。
VNPTは39.6兆ドンで、+15.9%。
テレコム売上は36.2兆ドンで、前年同期の+15.7%。
郵政は1.6兆ドンで、+26%。
Vneconomy.net 2008年10月29日