IMF 2009年のベトナム経済予想
12月3日から18日にかけてハノイ市訪問を行った
IMF代表団は、2009年のベトナム経済について、
以下の見解を示した。
― 経済成長率 5%、
インフレ率10%以下に低下、
貿易は赤字減少 ―
現在のベトナム経済について、IMFは次のように分析する。
「ここ数年の急激な発展の後、様々な課題に直面している
現在政府が行っている経済安定化政策により、
2008年の経済発展はスピードダウンしている模様。」
政府のマクロ経済安定化策は、これまで高く評価されてきた。
しかし、最近の世界的な経済危機により、
ベトナム経済も悪影響を受けはじめている。
特に、貨物の輸出額減少は、
ベトナムの主な貿易相手国の経済衰退を表している。
2007年の経済の主な資金供給源であった
ベトナム嬌の送金やFDIは、世界経済の悪化により、
減少傾向となっている。
さらに、多額の貿易赤字、銀行や企業の弱体化により、
困難は深まっている。
このような状況の下、
IMF代表団は、ベトナム経済の展望について、
以下3点について評価した。
① 世界経済悪化に伴い、ベトナム経済成長率は
2007年 8.5%から、2008年 6.25%、
2009年は 5%となる。
②加工製品の価格低下に伴い、
一般インフレが、2009年末 10%以下に下がる。
しかし基本的なインフレ(食品・エネルギー商品を含まない)の
下落スピードは、一般インフレより遅い。
③貿易赤字は減少する。
輸入額の減少は、輸出額減少や
ベトナム嬌の送金の減少よりも大きいが、
2009年輸入額は、依然GDPの9%を占めると予想。
外貨準備資金は多少減少する見込み(輸出総額の3ヶ月相当)。
IMFは、世界経済が今後数週間で更に悪化すると見込んでいる。
長期化、深刻化する世界経済の悪化は、
輸出や、外国からの送金にも影響を与え、
今後の経済活動や貿易バランスシートにも打撃となるだろう。
IMFは、「世界の金融状況がさらに悪化した場合、
事態はさらに深刻となり、直接投資(FDI)・調達資金が減少することになる。
経済活動を活性化させなければ、
企業や銀行に大きな損害がでる。」と警告した。
金融緩和政策について
IMFの代表団は、政府との間で
ベトナム経済安定化の方法についても協議を行った。
協議の中で、貿易バランスのリスクが、
これまでのインフレ上昇から、
経済成長率の低下に移行してきたため、
金融政策緩和の必要性が示された。
また、ベトナムの経済力が他のアジア地域と比べても
まだまだ弱いことなどから、
緩和政策の実施には限界があること 、
経済成長率低下を防止するためには、
需要を高める政策が必要となるが、
政策実施は慎重に吟味し、
損害を受けやすい分野を優先するべきであること、
などを強調した。
一方で、銀行分野については、
2008年に引き続き、2009年も厳しい状況が続く、と予想している。
この2年間に調達した資金は、銀行活動(特に大規模銀行)を
大きく支えてきた。
しかし、今後は低迷する可能性が大きい。
各政府管理機関が、経済被害増加に対して
どのような対策をとるべきか、ということについて、
IMF代表団は国家銀行に対し、管理対策のアドバイスを行った。
中期的に見て、
ベトナム政府が、競争力強化に向けた政策の実施を続ければ、
ベトナムの経済発展は明るいものとなるだろう。
この困難な時期において、
改革政策を続けることについてIMFは、
投資家の信用確保のため、
また経済衰退回避のため、非常に「重要な」要素である、
としている。
Vneconomy.net 2008年12月19日