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2008年12月27日

現状打破に向けて 今求められる経済政策


Truong Dinh Tuyen-ベトナム元商業省大臣は2009年のベトナム商業について
以下のような見解をしめした。

2008年はベトナム経済を始め、全世界の経済にとって特別の年であり、
複雑で予想以外な変動が多かった。

2008年の主なベトナム経済と市場の動き
・インフレ、エネルギーの危機、食糧の危機 上場市場も影響受ける。(2008年初頭より)
・物価上昇 (特に原油、食糧の価格が上昇)
・アメリカの金融危機による世界金融市場の低迷(2008年9月)
(過去80年間(1929年-1933年の金融危機より)で最悪の金融危機)
 →全世界は経済衰退危機。(特に、アメリカ、日本、EUの上位工業発展国)
 →2010年の前半になっても回復しないだろう。
 →ベトナム経済にも大きく影響
 (ベトナムのGDP成長率は2009年に2.5%を過ぎない、
 2008年の3.5%と2007年の5%より低いだろう)
 →貿易活動、輸出入活動にも影響
・ベトナム輸出総額急速な増加(10年間で最高)
 背景 価格の上昇(70%増加)、輸出市場の拡大(30%増加)(商工省の報告による)
 第1、第2、第3四半期輸出総額   4857.5万ドル 前年同期比39%増加
 2008年輸出総額予想額       6350万ドル~6400万ドル(2007年同期比31%増加)
 →輸出展望不安要素も
 予測 年末の4ヶ月の輸出額が年初8ヶ月の平均額より月4億ドル減少の可能性
     2009年も引き続き深刻化するかもしれない。
 背景 世界金融危機により、2008年第3四半期よりガソリン、食糧、各種の農産物の価格が値下
     ベトナムからの輸入需要が減るため。
・輸入額大幅な増加 
 輸入総額、820億ドル
 超過輸入額 約180億ドル(輸出額の30%、GDPの24%に相当)
 背景 輸出商品の競争力が弱い、裾野産業が投資開発されないため、
     多くの商品、生産用の原料は大量に輸入しなくてはいけないが、
     これらの原料が高く輸入額の上昇につながっている。
 今まで一番高い輸出総額
 今後、清算バランス及びマクロ経済の安定につながる。
・超過輸入額一時減少も
 背景 9月、政府の対策またはガソリン、オイル、肥料、各化学物などの
     輸入商品の値下げのため、超過輸入は減少。
     また、金融危機で需要が少なくなり、国内生産・投資が高い金利で減少し、
     資金源が難しくなるので、輸入需要も下がったといえる。
・インフレの周期性及び国際的な金融危機はベトナムの経済及び貿易に強く影響

困難な目標

ベトナムの輸出額はGDPの80%と相当し、経済成長に対して重要な役割を持っている。
ただ、ベトナムの輸出額の50%以上を占めるアメリカ、EU、日本は経済衰退時期に入り、
輸出額の40%以上を占めるアジア、大洋州は国際経済危機による大きな影響を受け、
残りの輸出市場のアフリカと中東諸国は余り影響を受けていないが、輸出額の割合が小さい。

Tuyen元大臣によると、輸出値が下がっていること、輸出市場は急速に縮小しているため、
13%の輸出成長の目標は高すぎるという。

1997年の東アジアの経済危機の頃、
ベトナムの経済及び輸出額の成長率が急激に下げた。
1998年の輸出額は0.4%しか増加せず、1999年が11.6%であった。
このとき、経済危機が東南アジアを中心に東アジアや韓国、香港で起こった。

今回の経済危機はこのときよりさらに深刻であり、大きく飛び火している。
ベトナム経済も世界経済に深く参入しているため、国際的な経済危機の影響はもっと大きい。

従って、急速な経済衰退を抑制するため、努力が必要である。
全国規模では輸出指標が経済発展のために重要な要素であり、
GDP、貿易バランスシート、経済全体のバランスシート等のマクロ的な
指標を計算する根拠となっている。
従って、輸出を促進するため、指標を調整することを考えてはいけない。
ただ、各企業にとっては合理的な調整が必要である。

ニューチャンス

今後、各企業を始め貿易分野は大きな挑戦に対面しなくてはいけない。
ただ、2009年は企業にとってチャンスがまったくないわけではない。

激しい競争は様々な面で行われるが、経済危機の中で価格の競争が一番激しいである。
簡単に説明すると、人民の収入、企業の収入、国の収入が減少すると、
皆が自分のお財布に合う商品を買い、価格と購入数が比例する。

外国市場における競争はもっと激しくなる。
生産活動を維持するため、経済衰退を防止するため、どんな国も輸出を促進する。

2009年にベトナム国内の競争はより激しくなる。
1月1日より外国小売サービス企業に対して市場をオープンするので、
このような企業はベトナムで販売ネットワークを拡大することができ、
当然、外国製品をベトナム市場で販売する。

国際的な経済危機は中国にも大きく影響を与えた。
中国の紙幣が安くなったので、安い中国製の商品は今後大量にベトナムにでまわるるはずである。

ただ、2008年と比べ、2009年にベトナム企業は次のような
新しいチャンスがある。.

・簡単に銀行の信用資金を借入できる。
 背景 
 信用貸出金利は低くなり、引き続き下がるため
 銀行システムの流動性が良くなったため
 対企業資金貸出に関する新しい2つの規定が発行されるため
 ①中小企業に対する信用貸出保証規定、
 ②効果的な営業生産案件に対する貸出金利の交渉規定。

・政府による企業財政支援政策実施予定
 特に各生産企業、人数が多い企業に対する免税、減税、納税期間の延期等の制度を適用。

・政府 インフラ整備のため、国債を引き続き発行
 17兆ドンの資金を、インフラ整備(農業、農村、医療、教育、社会福祉等を含む)への投資をする。
 引き続き国債も発行する。
 目的  経済衰退を防止するため、投資及び消費を引き上げる。
 →これらの資金は多額ではないが、重要な役割を持ち、企業の投資市場を作ち、
  各経済セクターの投資を先導し、幅広い影響を与える。

政府の「経済救助予算」について、多くの人が17兆ドン(10億ドル)の資金ばかり着目するが
免税、金利を支えること、信用保証のための予算についてはあまり注目されていない。
それらをいれると、ベトナム政府の「経済救助予算」は10億ドル以上になる。

上記の政策に加え、ベトナム政府は基本建設手続き等の行政手続を簡易化するため
積極的に指導している。
50億ドン以下の工事について、入札を指定することができる。
各企業の取引手数料を減少するため、有利な営業投資環境を整備するために
様々な政策が適用されている。

-ベトナムと日本との経済協力協定(EPA)の交渉が終了し、
今後、日本のベトナム商品に対する輸入税金が急激に切り下げられるので、
ベトナム商品がこの大きな市場に導入しやすくなる。
この協定はアセアン首脳会議で締結され、2009年より有効になると見込みである。

従って、2009年はベトナム企業にとって激しい挑戦もあり、
新しいチャンスもある年である。ベトナムは安定な政治社会環境を有し、
中長期の発展潜在力は大きく、外国投資家にとって安全で魅力的な投資対象である。

何をすればよいか。

今ある機会を利用するため、挑戦問題に対面するため、
Tuyen元大臣はベトナム企業が以下のことをするべきと考える。

・現在、価格競争が一番注目するべきことである。
従って、製品の単価及び流通コストの切下げは不可欠な問題である。
各企業は生産及び流通過程を良く監査し、徹底的に原料費、エネルギー、
他の運営費を節約する必要である。

これらのことを良く実施できると、各企業の生産、管理体制が整い、
経費を節約し、生産能力を高められる。

・アフリカ、中東諸国、ラテンアメリカ市場等の新市場を開発する。

・企業は実力及び強みに合う市場、顧客の対象を正しく確定するべき。
ここで顧客の対象を具体化することが非常に重要である。

Micheal Porterによると、競争は自分と合うもの及び自分の特徴を作るが、
最良なことを作らない。なぜか。
最良なものは最高の価格のものであるため、あまり売却できない、
特に今のように失業率が増加する不況だからである。
ただ、最良な価格を作ることはどの企業でもできることではない。

従って、市場に合うことを選択するべき。
Wall Mart等の世界の有名な小売販売業者は売上が数百億ドルであるが、
最良な商品の販売を注目しない、中級クラスの人を対象する商品を販売する。
適切な商品を選択した後、各企業が頑張って自分の特徴を作る。
これは経済危機の重要なことではなく、長期的で重要なものであるが、
経済危機の時に最も重要になった。

・国内市場を把握することを重視する。
ベトナム市場は8400万人の人口で大きな市場であり、
2008年11ヶ月の小売販売及び消費サービスの売上が8720億ドン(約500億ドル)に達した。

A.T.kearneyコンサルティング会社は
偶然にベトナム小売市場を中国市場、インド市場より高く評価することではない。
また、外国小売会社はベトナム市場に参入希望をだしていることは偶然ではない。
ただ、現在、ベトナム企業(大企業の含む)は国内販売ネットワークの拡大について
あまり注目していない。

ベトナム企業は正しい開発戦略を作成するため、もう一度、自分のことを検討しなくてはいけない。
ベトナム企業は、外国市場で成功に競争できるために、まず、国内市場で勝ち抜く必要である。
ベトナム企業はベトナムの消費者の習慣、文化を良く知り、
多様的な販売方式で市場を作ることができる。
その点でベトナム企業が外国企業より有利の点である。

目の前の困難状況に対応するための対策ではなく、長期的な戦略である。

・企業のオーナー、経営者、労働者の間で困難問題を良く相談し、利益を適切に配分する。
困難な背景において、企業のオーナー、経営者、労働者の収入は減少される可能性があるので、
経営者が労働者に対して良く説明し、労働者より大きな損害を受ける。
それを通じて、労働者は企業の状況を良く理解し、新しい精神的な動力があり、
新しい企業の文化基礎を作る。

・ 商品の販売、原料の供給源を安定させ、幅広い関係を構築する。
市場経済では競争と協力が同時に存在している。

また、各政府機関はベトナム企業に対して投資案件の実施のための
土地を入手できる機会を与える。
現在、多くの地方は熱心に外国投資家を歓迎しているが、ベトナム企業を歓迎していない。

この接遇は合理的な対応仕方ではない。国は強くなるためにまず企業が強くなる必要がある。
ベトナム企業は国際市場で競争できるためにまず国内市場で競争力を高めないといけない。
これは国の「ソフト」の力を上げるための重要な課題である。

Vneconomy.net 2008年12月23日


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