ベトナム人の消費動向に変化の兆し
2009年のベトナム経済について、ベトナム人消費者は、見通しは暗いとする人がいる一方で、
国際経済危機による影響を受けずにさらに発展すると考えている人もいる。
Vneconomy.net 2009年3月23日
国際経済危機による影響を受けずにさらに発展すると考えている人もいる。
TNS-Gallup International Vietnamは、
テト前に、ハノイ市とホーチミン市の消費者調査を行った。
調査対象となった500人中86%は、2009年にベトナムにおける失業率が増加すると答えた。
調査対象になったアジアの12カ国中、ベトナムは失業率が増加すると答えた人が一番多い国である。
その次はシンガポール(78%)、フィリピン(76%)であり、インドとパキスタンが57%と最も低かった。
失業不安が徐々に拡大中
多くのベトナム人 (39%)は2009年には、失業しても直ぐに他の仕事が見つけると答えている。
この楽観性は、ニュージーランド(55%)と中国(47%)に次ぐ。
従って、多くのベトナム人は経済がまだ強いと考えていると言える。
ただ、2008年9月、国際金融危機が発生したばかりの時期に行われた調査結果や
2006年末の調査結果と比較すると、就職に関する楽観性はかなり減っている。
今後12ヶ月間の失業を不安視する人が、2006年には18%であったが、
2008年9月には9%であった。
しかし、これがその後4ヶ月で急増したのである。
ここから把握できる、職の安定性に対するベトナム人の思考変化は、注目すべき点である。
消極的な経済傾向
ベトナムの経済発展に対するベトナム人の自信は、複雑である。
これに関する調査項目6つのうち、今後12ヶ月間に悪化するとされたのは、
VNDの価値、就職、生活費の3つである。
(残りの3つは、ベトナム経済、外国投資、個人の生活レベル)。
2008年9月には今後1年間で生活支出が改善すると答えた消費者が39%いたが、
2008年に物価が20%上昇したことを受けて、
今回の調査では、28%の人が改善されないと考えている。
経済理論では、経済衰退の時期には失業率が増加、経済指標が悪化、消
費者物価上昇率(CPI)が低下する、というのが定説だが、
ベトナム人消費者はまだ国際経済についての知識が充分ではない、ということもいえる。
楽観的な心理に変化はあるのか
全体的に、消費者はベトナム経済状況について楽観的に見ている。
2009年のベトナム経済が2008年より改善すると答えた人は45%、
悪化すると答えた人は35%であった。
外国直接投資 (FDI)に対しては、積極的な答えが多い。
回答者の半数は2009年にFDIが2008年より良くなると考えている。
ただ、これは、世界的な金融危機という現状からすると、
ベトナム人消費者の知識が不足しているとも言える回答である。
ちなみに、2008年9月時点で、39%の消費者が今後12ヶ月間にFDIが良くなること答えていた。
最も注意すべき回答項目は「個人の生活レベル」である。
ベトナムの都会に暮らす人の1/3が2009年に生活レベルが向上すると答え、
半数が2008年と同様だと考え、17%が下がると回答した。
ベトナムでは2008年に初めて一人当たりGDPが1000USDを超えた。
ベトナム経済や失業に対する不安について、殆どの消費者が、
これが他人の問題で自分の問題ではないと考えている、と言える。
これに対する回答は時間しかない。
貯蓄傾向
国際金融危機により一番大きな影響を受けた点は、ベトナム人消費者の貯蓄習慣である。
この10年間で、消費総額に対する貯蓄率が1999年の17%から2008年の10%まで低下した。
多くのOLは月700USDの給与を貰い、「来月にまた給与が貰える」と考え、全額消費した。
ただ、今回TNSが行った調査では、消費者の半分は消費を減らしたと答えており、
その傾向は所得が低い人ほど強く、消費を減らした人の比率が56%
(ハノイ人では46%、高額所得者では49%)であった。
節約志向
ベトナム企業は国際経済危機により大きな影響を受けている。
最も影響を受けた分野はレストラン、サービス業で、44%の人がそのカテゴリーの消費を減らした。
今は、ベトナムで新しい映画館やレストランを開設するタイミングではないと言える。
回答者の1/3は消費を減らし、テレビ、洗濯機、他の電気製品の購入を見送った。
また28%の人が携帯電話、PC等の購入を控えると答えている。
従って、エレクトロニクス分野の企業は今後、
製品の利便性、価格等を積極的にPRしなければならないであろう。
また、28%の消費者が通信関連の支出を節約すると答えており、政府の収益源も減る可能性がある。
生活必需品である食品や飲料に関わる製造・小売業者は、さほど影響を受けないであろう。
嗜好傾向の強いシャンプー、洗剤に関しては、
23%がこれらの商品に対する消費を節約すると答えているが、
インスタントコーヒーに関しては、16%が節約するとしている。
経済が困難な時期にあっても、食品や飲料はなかなか節約できないものである。
医療分野と教育分野では、支出は安定的で多少増加する傾向である。
健康製品(漢方薬等)は特に安定しており、消費を控える人、増やす人ともに12%であった。
教育分野については1/4の人が消費を増やすと答えた。
まとめ
ベトナムの消費者の多くが、失業が2009年に大きな問題なるものの、
すぐに新しい仕事を見つけられると考えている。
また、国際経済衰退の影響に関する意識がまだ不十分なベトナム人は、
2009年に経済が2008年と同様発展すると考えているが、
必要のない商品に対する支出は2009年には控えようとしている。
(執筆: TNS Vietnam社長)
テト前に、ハノイ市とホーチミン市の消費者調査を行った。
調査対象となった500人中86%は、2009年にベトナムにおける失業率が増加すると答えた。
調査対象になったアジアの12カ国中、ベトナムは失業率が増加すると答えた人が一番多い国である。
その次はシンガポール(78%)、フィリピン(76%)であり、インドとパキスタンが57%と最も低かった。
失業不安が徐々に拡大中
多くのベトナム人 (39%)は2009年には、失業しても直ぐに他の仕事が見つけると答えている。
この楽観性は、ニュージーランド(55%)と中国(47%)に次ぐ。
従って、多くのベトナム人は経済がまだ強いと考えていると言える。
ただ、2008年9月、国際金融危機が発生したばかりの時期に行われた調査結果や
2006年末の調査結果と比較すると、就職に関する楽観性はかなり減っている。
今後12ヶ月間の失業を不安視する人が、2006年には18%であったが、
2008年9月には9%であった。
しかし、これがその後4ヶ月で急増したのである。
ここから把握できる、職の安定性に対するベトナム人の思考変化は、注目すべき点である。
消極的な経済傾向
ベトナムの経済発展に対するベトナム人の自信は、複雑である。
これに関する調査項目6つのうち、今後12ヶ月間に悪化するとされたのは、
VNDの価値、就職、生活費の3つである。
(残りの3つは、ベトナム経済、外国投資、個人の生活レベル)。
2008年9月には今後1年間で生活支出が改善すると答えた消費者が39%いたが、
2008年に物価が20%上昇したことを受けて、
今回の調査では、28%の人が改善されないと考えている。
経済理論では、経済衰退の時期には失業率が増加、経済指標が悪化、消
費者物価上昇率(CPI)が低下する、というのが定説だが、
ベトナム人消費者はまだ国際経済についての知識が充分ではない、ということもいえる。
楽観的な心理に変化はあるのか
全体的に、消費者はベトナム経済状況について楽観的に見ている。
2009年のベトナム経済が2008年より改善すると答えた人は45%、
悪化すると答えた人は35%であった。
外国直接投資 (FDI)に対しては、積極的な答えが多い。
回答者の半数は2009年にFDIが2008年より良くなると考えている。
ただ、これは、世界的な金融危機という現状からすると、
ベトナム人消費者の知識が不足しているとも言える回答である。
ちなみに、2008年9月時点で、39%の消費者が今後12ヶ月間にFDIが良くなること答えていた。
最も注意すべき回答項目は「個人の生活レベル」である。
ベトナムの都会に暮らす人の1/3が2009年に生活レベルが向上すると答え、
半数が2008年と同様だと考え、17%が下がると回答した。
ベトナムでは2008年に初めて一人当たりGDPが1000USDを超えた。
ベトナム経済や失業に対する不安について、殆どの消費者が、
これが他人の問題で自分の問題ではないと考えている、と言える。
これに対する回答は時間しかない。
貯蓄傾向
国際金融危機により一番大きな影響を受けた点は、ベトナム人消費者の貯蓄習慣である。
この10年間で、消費総額に対する貯蓄率が1999年の17%から2008年の10%まで低下した。
多くのOLは月700USDの給与を貰い、「来月にまた給与が貰える」と考え、全額消費した。
ただ、今回TNSが行った調査では、消費者の半分は消費を減らしたと答えており、
その傾向は所得が低い人ほど強く、消費を減らした人の比率が56%
(ハノイ人では46%、高額所得者では49%)であった。
節約志向
ベトナム企業は国際経済危機により大きな影響を受けている。
最も影響を受けた分野はレストラン、サービス業で、44%の人がそのカテゴリーの消費を減らした。
今は、ベトナムで新しい映画館やレストランを開設するタイミングではないと言える。
回答者の1/3は消費を減らし、テレビ、洗濯機、他の電気製品の購入を見送った。
また28%の人が携帯電話、PC等の購入を控えると答えている。
従って、エレクトロニクス分野の企業は今後、
製品の利便性、価格等を積極的にPRしなければならないであろう。
また、28%の消費者が通信関連の支出を節約すると答えており、政府の収益源も減る可能性がある。
生活必需品である食品や飲料に関わる製造・小売業者は、さほど影響を受けないであろう。
嗜好傾向の強いシャンプー、洗剤に関しては、
23%がこれらの商品に対する消費を節約すると答えているが、
インスタントコーヒーに関しては、16%が節約するとしている。
経済が困難な時期にあっても、食品や飲料はなかなか節約できないものである。
医療分野と教育分野では、支出は安定的で多少増加する傾向である。
健康製品(漢方薬等)は特に安定しており、消費を控える人、増やす人ともに12%であった。
教育分野については1/4の人が消費を増やすと答えた。
まとめ
ベトナムの消費者の多くが、失業が2009年に大きな問題なるものの、
すぐに新しい仕事を見つけられると考えている。
また、国際経済衰退の影響に関する意識がまだ不十分なベトナム人は、
2009年に経済が2008年と同様発展すると考えているが、
必要のない商品に対する支出は2009年には控えようとしている。
(執筆: TNS Vietnam社長)
Vneconomy.net 2009年3月23日