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2009年11月20日

外国借款の増加と外貨準備資金の減少


国会経済委員会の2009年10月16日付
「2009-2010年見込みの経済社会開発調査報告」の中で、
「貿易収支が-19億USDとなり、外貨準備資金は減少、
 外貨市場で需給バランスが取れないことから、
為替レートに圧力がかかっている。」
との問題が指摘された。


ここで注視したいのは、
なぜ外貨準備資金が減少するのか、どこまで減るのか、
為替レートがどんな圧力を受けているのかということだ。

金の圧力

2009年11月12日、
国家銀行は初めて6~7の企業と銀行に対し、
10tの金輸入の許可を発給した。
内訳は、ACB 2t、Sacombank 1.5t、
PNJ (Phu Nhuan金銀宝石民間会社)、Eximbank、SJCが各社1tである。
北部の最大金輸入窓口は農業農村開発銀行しかない。
そのため、11月の輸入超過は3,6億USD増となった。

USDは現在、他の新興国や東南アジア地域において、
下落しているのに対し、
ベトナムでは、国家銀行が発表する毎日の為替レートや、
自由市場の為替レートによると、USDがVNDよりも上昇している。

金の輸入期間が終了する11月27日の後、
金市場はどのように変動するだろうか。
政府は外貨の準備構造を変更するための、タイミングを計っている。
輸入された金により、
政府は金市場に干渉することが出来るようになり、
金ブーム過熱を抑制することができるようになる、と見られている。

外国借款が増加、外貨準備資金が減少


2009年4月29日付財務省の報告書によると、
2008年の外国借款は218億USDで、
2007年の192億USDより増加している。
去年、外国借款の返済額は11.04億USDで、
前年の8.86億USDより増加している。

2009年10月の「経済回復・成長」報告書の中で、
Dragon Capitalは、IMF、IFS、財務省のデータについて分析している。
その中で、政府の外国借款は230億USDと予測され、
短期借款は16億USDに留まる。
この増加率は、2004年-2008年の期間と比べても合理的になっている。

ただ、国会経済委員会の検査結果は上記と異なる。
「政府の借款が増加し、2008年にGDPの36.5%、
 2009年にはGDPの40%、
2010年にGDPの44%を占めることが予測される。」としている。
「政府の借款」とは外国借款と国内借款を含んでおり、
国債発行を通じて調達された資金、としている。
去年は、国内で発行された債券が大きかったが、今年は違う。
年初9ヶ月で、財務省の債券(外貨国債を含む)発行は、
20.870兆VNDに留まっており、今年のベトナム国内借款は大きくはない。
この数字は126兆VNDの目標にはまだ遠い。

外国借款は増加しているが、ベトナムの外貨準備資金は減少している。
2008年6月19日、
国家銀行総裁は、外貨準備資金が207億USDに達することを発表した。
アジア開発銀行(ADB)によると、ベトナムの外貨準備資金は、
2008年11月末の230億USDから、2009年6月末の173億USDに減らした。
ADBのデータが正確な場合、
この6ヶ月間で、ベトナムの外貨準備資金は57億USD急減したことになる。

外貨準備資金が減るワケ

間接投資ルートの外貨資金は2007年より少ないが、
去年に比べて大差はない。
計画投資省外国投資局によると、
年初10ヶ月のFDI実施資金は80億USDを達した。
去年、証券と債券の売却を通じ、外国間接投資資金が大量に換金された。
今年に入り、証券への外国投資資金は増加している。

Dragon Capitalによると、
外国間接投資資金は、債券売却を通じ30億USD換金された
(2008年頭の80億USDを 下回る)という。
外国銀行の貸出資金は約85億USDを達しており、
その大部分が長期的なFDI案件に対象する借金であるという。
これは為替レートに対する潜在的なリスクである。

財務省は、2009年在外ベトナム人の送金が、
約68億USDとなり、2008年の72億USDと大差がないと予測している。
ただ、銀行側の統計はあまり楽観的とはいえない。
農業銀行ホーチミン市支店によると、
年初10ヶ月の在外送金は26億USDで、前年同期の60%に留まるという。
(ホーチミン市の在外送金は全国の半分以上を占める)。
そして、その26億USDが銀行に流れることになる。

外貨の需給バランスに直接影響を与えてはいるのは輸入超過だ。
統計総局は、年初10ヶ月で輸入超過額87.8億USDを達すると予測している。
今年の総額は100億USDを超える可能性も出ている。
2009年10月までで、ACB銀行の外貨調達資金は10億USDを達しており、
2008年の2倍増、この10年間で最も高い数字となっている。
銀行業界は、企業と各信用機関の外貨調達資金が、
約180~200億USDに達すると予測している。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2009年11月20日

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