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2009年11月23日

長期展望なき行政地方分権化


ベトナムはWTO正式加盟後、
政府は直ちに(2007年1月11日)その活動計画を発表した。
その中には、外国投資、工業団地、加工団地等の
経済社会管理分野に関して、
行政改善と分権化、高等教育機関の管理を促進することが謳われている。


そもそもベトナム経済は、
地域の企画力の強化、専門性の高い工業団地の形成、
裾野産業の開発、教育・科学研究施設の整備など、
大きな問題を抱えている。
土地や資源が有効活用されていなかったり、浪費され続けていることも
一般に知られる問題となった。
質の高い労働人材の不足も、深刻さが浮き彫りになっている。
工業団地、伝統産業村の環境汚染も深刻化しており、
将来の安定的な成長を圧迫する恐れがある。
ストライキも急増し、さらに事前に予測されていないことがある。

特に、「競争力のイニシアティヴ計画」
及びベトナム商工会(VCCI)が発表したデータによると、
地方に対する分権化と競争力(PCI)がうまく関係していないという。

下手をすれば、逆に数値が悪化する場合もあった。
例えば、アンダーマネー(Under Money)が改善されていないことなどだ。
国家の競争力(世界経済フォーラムの発表)や
営業環境(世界銀行の発表)も2009年はレベルダウンしている。

今後政府は、この状況を厳粛に受け止め、
現状を客観的に評価し、改善案を模索する必要がある。

分野別、地方の投資状況

いくつかの地方で、関係分野に積極的な成長が見られる。
殆どの地方では、省レベルまで
5,000万USD以下の外国投資案件に対する、
投資許可発給の分権化を、支持している。
大方の地方が、投資貿易部を立ち上げ、
この分野に力を入れている。
例えば、投資誘致セミナーの開催や、
投資誘致のために海外出張を積極的に行っている。
これらの活動は、特定の成果を得ているものの、さほど高くない。

外国投資資金も急増した。
ただ、件数と投資申請額が急増した一方で、
実施額がさほど増加していないことや、
投資案件の質については、疑問の声が上がっている。

例えば、WTO加盟の2年後、
ゴルフ場への投資がブームとなった。
それにより、全国で166ゴルフ場投資案件が発生した。
その中で、145案件に土地供給が行われ、
83案件に投資許可が発給された。
供給された土地のうち、10,500ヘクタールが農作用地、
その中の2,900ヘクタールは米栽培用地であった。
WTO加盟の2年後に投資許可を発給されたゴルフ場案件は、
前14年間の件数の3倍に増加した。

工業団地の数もWTO加盟2年後に増加している。
15,800ヘクタールの土地に工業団地の建設が進められ、
11,000ヘクタールで82の工業団地から、
2008年末には、219団地に増加した
(建設用地61,472ヘクタール、54省・市、
 賃貸面積40,000ヘクタール)。

現行の予算法によると、米栽培の収益は非常に低い。
しかし、ゴルフ場や不動産投資案件からの収益はその何倍も高いため、
各地方ではゴルフ場や工業団地への投資を優先している。

Pham Khoi Nguyenー資源環境大臣によると、
この4年間で、資源環境省が発給した鉱山開拓許可は400件足らず、
その一方で、各地方が発給した鉱山開拓許可は4,000件以上に上る。
小規模鉱山は、その大部分が技術も未熟で、
資源の浪費と、環境汚染が進行しているという。

競争力に対する評価

上記のようなブームは、営業環境の進歩に比例していない。
VCCIとVNCIは、2008年、地方の競争力についての
評価報告書を発表した。

その中で、PCI(競争力の評価指数)は減少となっている。
Da Nang市が72.18ポイントで2位から1位に上昇した。
その他2007年に最高指数だったのはBinh Duong省
(2007年 77.2ポイント、2006年 77.61ポイント)であった。
他は、平均点も55.56から53.17ポイントに下がり、2.4ポイント減。
最低点が37.96から36.39ポイントに下落となった。

ここから、WTO加盟の最初の1年では、
改善に関する目覚しい成果は現れなかったといえる。
ポイント減少は、営業環境が改善されていないことを
如実に表しているうえ、数値は2008年より悪化さえしている。

一方で、省レベルの活発性(+12,25%)と透明性 (+8,4%)は改善されている。
主な理由は、地方が広報を積極的に発行したことである。
企業が裁判所を利用するケースも増えてきている。
土地利用や市場参入も一部では改善されてきている。
ただ、規定の経費は1%しか改善されておらず、課題は山積している。

特に、営業時間に関する経費指数は13.3%増、
労働人材不足に関する困難指数は15.3%増、
民間経済政策の指数は20.87%減となっている。
高等教育機関の急増が、労働人材の質の向上にまだまだ貢献できていない。
外国企業でも、質の高い人材の不足が深刻になっている。

こういった状況は、調査結果に合っている。
例えば、企業法による営業登記手続きは未だに簡易化されていない。
投資法、土地法、建設法の実施にも、まだ労力と時間がかかる模様だ。
民間経済セクターに対する政策も、まだ積極的に実施されていない。
例えば、資金源や投資案件の実施はまだ困難な状況である。

分権化政策の実施により、
地方は、経済運営、投資調達、資源開拓等を主導的行えるようになった。
ただこれらの変動は、競争力の強化や、
労働人材の質の向上にはまだまだ貢献していない。
逆に、長期的に見れば、専門性の未開発、
インフラ整備のバランス、環境汚染等が、
大きな問題として浮かび上がる恐れが浮上してきている。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2009年11月23日

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