ベトナムの事実〜それでも成長する〜
ベトナム株式市場の近況と所見を思いつくままに記してみる
1)インフレ抑制や株価・不動産の行過ぎた価格形成を是正する動き
・預金準備率の引き上げ →市中金利上昇
・国債の市中強制消化(売りオペ) →市中金利上昇
・不動産担保貸付の一時中止 →不動産市場の沈静化(不動産不況?)
・証券担保貸付(信用取引)の規制 →株式流入資金減少
※実体経済以上の株式市場の高騰や、不動産バブルは1年以上前から確実な予兆はあった。
何もしなかったベトナム政府。ここに来て色々な政策を打ち始めているが、
成果やいかに??
2)投資不適格?国営企業民営化案件
日本で販売されていたベトナムファンドの触れ込みの多くは
”国営企業の民営化””第2の中国”で合った。
結果として国営企業の民営化案件で多くの人が利益を出せたのは、
ビナミルクぐらいでは無いだろうか。
それも案件が良かったから利益を享受したのではなく、
急速な相場上昇によるものであったように見受ける。
3)国営企業民営化案件の度重なる失敗
07年第2四半期、バオベト保険民営化 →IPO失敗
08年第1四半期 ベトコンバンクIPO →成功とは言えず
※国営企業民営化(他国通常のパターン)
→少々安めに株価を設定し、
→市場参加者を儲けさせる
→株式市場活性化狙い
ベトナムの場合
→高値で株価を設定し
→個人投資家に大きく損をさせる
→国家が利益
4)利権がらみのベトナム人分析
政府や一部利権がらみのベトナム人たちの考え方、言動を分析すると、
1、両天秤
2、価格吊り上げ
3、焦らし
といったプロセスで動いている。
当社も当初は利権を狙っていただけに、
この”焦らし”に付き合うことは相当の労力を要した(苦笑)
5)それでも成長するベトナム
色々な問題はあるが、各種データはベトナムの経済成長が続いてゆくことを物語っている。
貿易統計しかり、継続的な外国企業進出や、FDIしかり。
大きな問題があってもそれ以上の原動力があれば、物事は前に進み、成長するのだ!!
法律の整備やコンプライアンスをきっちり進めているのに、
全く経済成長しない亡国とは大違いである。
こんな悲観的な事ばかり書くので、
先日のセミナーで
”ベトナムは有望な投資先では無いということですか??”
という質問を受けてしまいました。
これだけ理解できぬ要素を抱えながらも大きく成長していること、
それだけは”ベトナムの事実”です(笑)
大木健司(Kenji Oki)
株式会社ブルーチップ・コンサルティング
URL http://www.bcc-jp.com/
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