VN証券会社が日本人投資家を取り込めない深い理由
06年後半から07年前半にかけて、
世界的な新興国投資ブームはやってきた。
BRICsだけでなく、これから開発が始まろうとしているベトナムにも
その波は押し寄せ、日本では多くのベトナムファンドが設定された。
また、個人投資家によるベトナム間接投資も盛んに行われ、
ベトナム証券会社口座サービスなるツアーまで盛況を極めた。
しかしながらこの1年でベトナム株式市場は大きく変化(暴落)し、
日本からの間接投資は大きく減った。
また、外国人口座開設者の70%が日本人でありながら、
ベトナム証券会社からは、
”日本人はあまり売買をしない”
”日本人は口座は開設するだけ!”
といた声しか聞こえてこない。
なぜ、ベトナムの証券会社は日本人投資家を取り込み
収益を上げることが出来ないのか。
下記3点にまとめてみた
ベトナムサイドの問題
1)情報開示
上場会社であっても情報開示しない企業体質
⇒正確な情報無き所に投資資金は集らない
2)ベトナム企業
有利発行
一部経営者のみへ有利発行等を行っており、
フェアーであるとは到底言いがたい株式売買環境。
会計
国債会計基準とは程遠い会計基準と、その会計に対する信頼性のなさ。
3)証券会社
内部統制
⇒コンピューターで顧客管理や売買管理がされておらず、
人為的に管理されている
顧客サービスの問題
⇒日本対応者が各社対応するも、日本語のミスは多く
顧客が求めていることに早急に対応しない、
若しくはバックシステムがしっかりしていない。
国際社会(日本人)が納得する投資環境を整備すること、
サービスをきちんと提供できる体制を作り上げることこそが、
ベトナム証券に今一度活況を取り戻すだけでなく、
ベトナムが大きく経済成長することにつながる。
現在、VN証券市場は大きく下がり、且つ証券会社は乱立している。
市場規模1/200でありながら、日本の証券会社300社に対し、
ベトナムの証券会社数は約100社。明らかに過当競争である。
08年度末までに資本金を3,000億ドン(約18億円)まで増やせない証券会社は
総合証券(証券会社には現在4つのライセンスが付与されている)として
事業を行えなくなる。
淘汰と統廃合を目前としてベトナム証券会社は変わることが出来るのか?
しかし証券会社が変わったところで、それは小手先のテクニックにしか過ぎない。
ベトナム証券会社が日本人顧客を取り込めぬ理由は、
その社会構造に端を発し、意外と深い。
それでも、それでもベトナム経済は伸びているのだから、
ファンドビジネスは止められない(笑)
大木健司(Kenji Oki)
株式会社ブルーチップ・コンサルティング
URL http://www.bcc-jp.com/
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