中国株式、逆風強まるが処方箋はある
中国独特の動き。世の中の動きと少し違う動きが出始めた。
今回のオリンピックは久しぶりに面白いと感じた。
ワクワク感もさることながら役者が揃っており、どの種目も予選から全力で向かってきている。
記録ずくめの年になりそうだ。
ただ残念なことに、これまでのところ、周りはあまり見方をしてくれていないのか。
開催日に黒海のグルジアでロシアとの武力衝突。同日の上海A株も大きく下落。
本日11日現在、「末広がり」の月である8月に入ってから、すでに11%も調整。
NYダウが同期間に3.6%高してきているの比べると全く異なる動きをしている展開だ。
問題の原因は貿易黒字の大幅縮小であろう。
世界的に景気減速している中、世界の貿易総量が大きく鈍化し、
ブルーンバーグ社によると、7月の輸出量は2月以来の低い伸びになりそうで、
貿易黒字が4ヶ月連続で縮小する見込みとのこと。
海外での需要鈍化に対し、金利引上げの影響により国内でも消費などの鈍化現象が既に見られ始めている。
「四面楚歌」現象に対して、政府はまず人民元政策に打って出た次第だ。
インフレ対策も大事だが、目先の景気対策の手遅れにより、
足元で問題化しつつある潜在的失業問題を回避することが先決と判断したのであろう。
広東省近辺に2千万人近くいる繊維産業がいい例であり、
一般庶民の反感を抑えないと問題が積みあがるばかりで、八方塞がりになりかねない。
そのためには、人民元を低めに抑え、輸出産業にテコ入れをする必要があるわけだ。
人民元への投機回避に対しても功を奏すところはあるかもしれないが、
まずは目先に見えることに対応したいというのが先決と判断された。
目先事態への対処という意味では、まだまだ策はいろいろあると思う。
取りあえず、世界でまだ上昇幅が大きいと見られている「元」への管理強化という動きに対しては、
株式市場は嫌悪感で反応したわけだが、一時的に終わろう。
最低賃金の引上げや所得税対策で庶民にとってプラスとなるような政策は今後、
年末までまだまだいろいろ検討されてくると思われる。
そのとき、株式市場は大きく再びプラスに反応してくるのではないだろうか。
(大原 平)