”人”を育む次代への投資~ベトナム初等教育編~
ハノイに住む、小さな子供を持つ家庭の多くは、
子供を幼稚園に預けている。
私の娘も私立幼稚園に通っている。
入園時には、いろいろと悩んだものだ。
もちろん費用も含めて、
どの家庭もいろいろ検討するが、
多くは、公立幼稚園を選択する。
公立幼稚園の特徴
長所:安い学費(40万~50万VND/月)
教室が比較的広い
短所:生徒が多い(50人~70人/教室)
先生が少ない(2人/教室)
教室への教師の配置数が少なく、
生徒一人ひとりに
目が行き届かない可能性があり、
親としてはいささか心配な面もある。
また、「自宅から遠い」、「定員オーバー」などの理由で
公立幼稚園に入れないケースもある。
このような場合、私立幼稚園を選択することとなる。
私立幼稚園は乱立状態
2003年頃は、ハノイには
私立幼稚園が5校ほど
あるだけだった。
しかし今では、需要の増加と多様化を受け、
何百もの私立幼稚園がある。
まさに、「雨後の竹の子」状態だが、
いくつかのカテゴリーに分けられる。
グループ1 | グループ2 | グループ3 | |
生徒/教室 | 10~15人 | 20~30人 | 多い |
先生/教室 | 3人 | 3人 | 少ない |
費用(月) | 190USD~ | 200万~ | 80万~ |
300USD | 300万VND | 100万VND |
グループ1の特徴:
食事や送迎など、サービスも充実し、
英語教育や対人対応トレーニングなどの
きめ細かい教育が施される。
いわゆる、「ハイグレード」を売りにしている。
質を保つため受け入れ人数を制限し、
「需要>供給」状態で、
高い費用にも関わらず人気は高い。
グループ2の特徴:
「グループ1」と公立幼稚園との中間的存在。
特別な付帯サービスはほとんどないが、
公立通園への制約(立地や定員)がある場合
こちらを選択するケースが多い。
グループ3の特徴:
経済的な面や住民登録上の問題などで、
公立幼稚園に申し込めない家庭などが多い。
最低限の教育・管理体制も維持されていないなど、
品質面で問題を持つところも少なからずある。
選択肢は多いものの・・・
幼稚園といえども、私立となると
経営面での「利益」追求は必要だ。
消費者(親)のニーズを満たすため、
そして、他社との差別化を図るべく、
「ハイグレード」、「格安」など、
それぞれの特徴を打ち出している。
しかし「看板に偽りあり」な、
名前だけのハイグレードや、
低コストを追求するあまり、
最低限必要な質を維持していないなど、
「業界」に不満や不安を感じることもある。
将来を担う子供が主役
親は、できるだけいい教育環境に
子供を通わせたいと思う。
高い学費を捻出するため、
一生懸命に働き、節約を重ねる。
そのニーズを満たすべく、
よりよい教育環境の提供は、
ビジネスとしても十分成立する。
だが、この「幼稚園業界」が扱うのは、
「もの」ではなく、「人・子供」である。
この大切な将来を担う社会の宝に
少しでも安心な成長環境を与えることを、
われわれはもっと真剣に考えるべきだ。
対策1:行政としてすべきこと
1)公立幼稚園の環境向上と整備
2)補助金・低金利の貸付など、財政面での支援
3)不適切な機関の指導監督など、管理の徹底
対策2:業界としてすべきこと
1)低年齢児童の教育についての検討と研究
2)最低限の業界内ガイドラインの策定と周知徹底
3)悪質業者を指導・排除する業界としての取り組み
子を思う親の気持ちと同じように、
社会も、子供の大切さと可能性に
目を向けたい。
必要な保護と補助は
未来の可能性に対する投資であり、
将来、社会に還元をされるはずだ。
それを怠ってはならない。
Huyen