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2009年03月17日

状況証拠と数字の“まやかし”~懐浅い経済構造~


政府の景気刺激策を受け、
2月末から一部の銀行金利が上昇を始めたが、
企業側に劇的な変化が起こったようには見受けられない。


不動産賃貸と需給関係
ハノイでは2年前に比べて家賃が15~20%下がっているにも関わらず、
オフィスの空室が10%を超えた。
しかし、大企業が借用スペースを縮小、
中小企業は家賃の安い郊外へ移る中、
更に建設計画だけは着々と進み、供給量は今後も増え続ける予定だという。

無根拠、驚きの楽観

海外観光客も1~2月は前年同期10%↓
失業者も08年末までに3万人、
09年末までには15万人に達すると予想。
しかし、そんな中でも巨大リゾート案件は次々実施されているほか、
ベトナム人の在職者のうち3分の2が、
自分が失業するとは思っていない上に、
更に3分の1はすぐに再就職できると考えている。
その楽観さは驚嘆に値する。

実質大幅な貿易赤字

09年1~2月輸出 9億1,800万ドル(2億9,400万ドル貿易黒字)
理由 好調すぎる金輸出が作り出した“まやかしの数字”
実質 金輸出除外後 6億4,500万ドル貿易赤字

貿易黒字と、金海外流出

金取引のレバレッジ率はきわめて高く、
1日あたりの取引金額が10億ドルを超えることもある。
(ベトナム証券取引所の取引額は、1,000~1,500万ドル/日)
投資家の関心は今、金市場に集中している。

ベトナムの金取引は国内現物取引と海外現金取引とで、
決済価格に大きな違いがある。
そして現在、
1、海外現金取引の決済価格のほうが高い
2、ベトナム政府が金輸出を許可
結果、国内で安く調達された金が海外流出し、
9億ドル強という貿易黒字の原因となっている。

この数字は、ベトナムが世界的な不況にもかかわらず、
輸出好調である、という誤解を招きかねないものの、
少なくとも金融市場の流動性を高め、
USドルを呼び戻す効果は期待できそうだ。

懐の浅さ

中長期的な経済発展には、
人材育成、裾野産業開発は必須である。

バイク関連以外の製品の国内生産が極端に少ない“ベトナム”。
高度な工業基幹製品を輸入せざるを得ないならまだしも、
製品を包装するビンや缶まで輸入している現状には、閉口する。

ベトナムの国際的な魅力、競争力

 ベトナムが国際的な競争力を持てる分野、持ち続ける事ができる分野は
 そう多くはない。
  1、人件費
  2、若い労働人口
  3、内需拡大期待
  4、鉱物資源
  5、水産資源

人件費の安さ、若年労働力がメリットとされる今のうちに、
工業技術・経験を積み上げ、人材と裾野産業の育成。
産業集積地としての機能を持ち、輸入赤字を減少させる。
“敵(国際社会)を知り己(自国の強みと弱み)を知る“ことが、
安定した経済発展を見込める礎となるだろう。



(森口)

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