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2008年05月16日

経済危機を防ぐために


ここ数ヶ月で
ベトナムの財政・経済システムには大きな穴が空き、成長を圧迫している。
政府は、この下落傾向を改善するため、どのような動きを見せるか。

ベトナム経済の突然の下落は、金融システムを圧迫した。
特に、金融状況が徐々に悪化している。

良い情報:マクロ経済の基盤はまだ強い。
      また、ベトナムの借金率は今の所低く、輸出成長率が高い。
      近年、国家銀行の外貨予備資金が増加した。
      ベトナムは
      タイとインドネシアのように国際経済市場に参入していないため
      アメリカの信用危機による影響をさほど受けない。

政府は、国家の予算支出や国営企業による借金監査を通じ、早期回復ができる。

悪い情報:これらは成功しにくい。各国営機関が協力に応じない可能性も高い。

経済不安定に至った原因を知るベトナム人は少なくない。
ベトナムが直面している問題が、複雑という訳ではない。
ただ、政策策定機関の権限が統一ではない点が複雑だ。

金融政策の策定は、国家銀行の任務だが、インフレの管理は財政省だ。
金融政策も、国家財政委員会や国家金融委員会により監査され
他の政府専門機関も関わっている。
財務省は、課税政策や国家予算の支出額を算出するが
その投資は、計画投資省により実施されている。
この際、各財政グループは政府に報告する。

このため、政策策定の根本的な改善が必要だ。

各経済グループに規律厳守を要求
90年代初頭、各国営企業の効果的な活動が見込めなかったことから
政府は、日本の系列・韓国のchaebol方式で国営公社や経済グループを設立。
目的は、大規模なベトナム国営企業による国際市場での活躍だった。

これらの国営企業は
不動産・金融サービス・テレコム・観光等の分野に力を入れ、成功した。

輸出会社は、政府との関係を利用し、借金の保証を要求した。
借金を使いて、主な営業分野の以外に活動を拡大する。
Vinashinは、2006年の最初に発行されたベトナム国債により
10億ドル(スイスの借金)を調達した。
最近、ズン首相はドイツ訪問の際
Vinashinは、ドイツ銀行から債券発行による20億ドルを調達。
Vinatexも5億ドルを借金。

政府は、ベトナム国営機関に対する期待をあまりしなくなった。
1ヶ月前に行われた政府と国営企業との会議において
首相は、国営経済グループは各商業銀行の借金の60%を占めている。
このうち、外国からの借金は70%、GDPの40%を占める。

4月、首相は各国営企業や経済グループに対し
主な営業分野に最低70%の資本を投資しなくてはいけないとした。
しかし、各国営企業の反応はあまり良くない。

Petroベトナム会長によると、これはショックを付ける指導である。
「各国営グループが主な分野の以外の分野に資本金の40%、50%を占めると
直ぐに投資資金を回収できない。
そうすると、企業が倒産してしまう。

利益をシェア
ベトナムは諸国より、貧困削減や基礎教育の改善
新生児の死亡率改善や水源の使用について評価されたが
医療費や教育予算に関しては乏しい。
アジア地域中、インドネシアの次に医療支出が低い。

貧困者に対する制度も、改善が必要だ。
最近のUNDPの調査によると、医療予算の45%は
最裕福層から5分の1の割合で支出されるという。
最貧困層は7%。教育分野ではこの格差が35%と15%だ。

教育や医療の質にも問題がある。
Intelが、ベトナムTOPの理科系大学5校2000人の学生を調査した結果
Intelの最低基準を満たしたのは、40名程だった。
この結果は、これまでの国の中で一番低いという。

ベトナムは、子供一人を留学させるために1年間で10億ドルもかかるのは何故か。
ベトナム国内のシステムが、一般教育の質に対応できていないからだ。

これに対する改善は、多くの監察者の期待を超えた。
輸出成長率は、毎年20%増加したため、農村部の数百万人の仕事を安定させた。
この7年間の新しい仕事のほとんどは、民間企業や外国企業により作られた。

利益の低い分野で活動する国営企業に対しては、別のシステムがある。
これら企業は、主に資源の開拓や、国内市場へのサービス提供を展開するが
国営企業の借金の大半を占めており、外国から借金もある。
これを生かし、利益が高い金融や不動産に投資している。

これら企業に関する資料はあまりないが
利益率は、民間セクターや外国投資セクターよりもかなり低い。
これらのグループは、銀行の開設を初めた。
発展先進国では、企業の中で利益相反する例が多くあるため
各グループ間による資金の貸出が、あまり慎重に検討されない。
このため、金融状況の管理が不可能になり、結果、財政状況は不安定に陥る。

ベトナムのインフレやマクロ経済に対する不安は、悪い結果だ。
金融に対する管理が甘い。
金利を引き上げても、赤字の改善に繋がらないということは
民間企業の活動に大きな影響を与えるが
国営銀行や外国から特別な制度で資金を借りることができる
国営経済グループには、あまり影響を与えない。
政府が国家投資を管理できないと、インフレも抑制できない。
国営グループの活動をコントロールしないといけない。

長期に渡りベトナムを見てきた人によると
ベトナムの政策策定は常に困難だが、即効性のある方策を組み合わせる。
対策は「勝手」に作成される。
世論の状況に見合わなくても、最終的には正式な政策となる。

今回、ベトナム政府はより多くのことを同時に実施しなくてはいけない。
現在の問題は、各経済グループが「勝手」に銀行や不動産建設に投資することだ。
投資禁止に代わるような投資活動の監査をするべき。

金融の自由化によるリスクが大きい。
特に、透明性のある管理や信用実施制度が不足している。
経済セクターの管理や監査が、今後、ベトナムの役人にとって挑戦となるだろう。


ベトナム通信社  2008年5月16日


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