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2008年05月30日

Merrill Lynch ベトナムのインフレ状況を分析


Merrill Lynch投資会社は、アジア経済の状況に関する報告書を公表した。
その中で同社は
ベトナムを中心に、加速する同域のインフレ上昇について、分析した。

「Vietnam: Anatomy of an inflation shock
(ベトナム:インフレによるショックの分析)」というテーマを基に
Merrill Lynch専門家は
「ベトナムのインフレ戦略等の経緯は今後の参考になるだろう。」と考える。

国家銀行の動きについて
ベトナムは、アジア地域の中でも小規模な経済国で、GDPは700億ドルだ。
これは、日本を除くアジア全体のGDPの1%に留まる。
近年、ベトナムの好調な経済成長スピードは目覚しいが
このことによる打撃も大きい。

同報告書に掲載された資料によると
2007年、ベトナムへのFDIは57億ドル(GDPの8.1%)に達する可能性がある。
また、2007年の成長率も54%と、証券市場も活発だ。
「マクロ政策が、ベトナムの高いインフレ率に繋がったのでは?」
という疑問に関し、未だ明確な答えはない。
他のアジア諸国におけるインフレの原因は主に、食品価格の上昇によるものだが
ベトナムの場合は
食品以外の商品の価格が同年と比べ10%以上上昇していること
また、急速な経済成長により需要が高まり
資金の流動性が活発になったことが原因となっている。

インフレ抑制のため、国家銀行は様々な厳しい政策を実施した。
預金準備率や公定歩合を、12%に引き上げた。
Merrill Lynchの専門家の評価によると
国家銀行による対応は、インフレの抑制が目的だったが
ベトナムの経済成長へも影響を及ぼした。
また、インフレに関する不安も高まり、マクロ経済も不安定になった。

インフレによる「ショック」

同報告書によると、インフレの「ショック」は以下のように現れた。

1:インフレが大きく進んだため
  国家銀行は、金融政策による厳しい対応を余儀なくされた。

2:キャッシュフローの停滞、大幅な金利の引き上げ、成長見通しの悪化。

3:心理的要素による影響を大きく受けた商品(証券、不動産等)が急落した。

4:ベトナムドンは高くなったが、再び安くなる可能性もある。
  金融政策は厳しくなったが、マクロ政策による信用度が高まった場合
  ベトナムドンは高くなる可能性がある。
  逆に、発展の見通しが悪くなり、外国投資も撤退した場合
  ベトナムドンは急速に下がる可能性もある。

現在、ベトナムのインフレ状況は、インフレ「ショック」と例えられる。
2004年春や2007年秋の中国、2008年初めのインド
2005年夏のインドネシアも、このような状況になった。

最近、ベトナム経済は中国経済と似た点が多いと言われる。
例えば、両国とも、WTOに加盟したばかり。
高い成長率は、輸出及び投資による影響だ。
しかし、2国の最も異なる点は、
ベトナムのインフレ抑制は中国よりも強力なことだ。
また、ベトナムの経済規模を上回る大量の資金が導入された。

Merrill Lynchによると
ベトナムは、以下の基本的な部分が他アジア諸国と異なる。

1:ベトナムは、バランスシートが赤字だが、他アジアの発展国では黒字だ。
  黒字は、外国側の投資撤退に対する緩衛材となる。
  同時に、ドンの価格が上がりインフレの抑制につながるため
  金利引き上げの必要性もさほどなくなる。

2:昨年、ベトナムに投資された外貨は、GDPを大きく上回ったが
  他のアジア諸国への投資額は低かったため
  金融政策の実施がスムーズに進み、外国撤退による影響もさほどなかった。

3:ベトナム以外のアジア各国は
  高い外貨準備率、低い外国からの借金、健全な金融政策といった
  マクロ経済を安定させる要素を持っているが
  ベトナムにはそういった要素がない。


ベトナムエコノミックタイムズ  2008年5月29日


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