Goldman Sachs:ベトナム経済 成長持続 3理由
アメリカのTOPランクの投資銀行 Goldman Sachsは、
ベトナム経済に関する新報告書を公表した。
「Vietnam: Rising cyclical risks”
(ベトナム-周期的リスクの高まり)」の中で、
同行は、現時点で、
ベトナム経済状況に関して、楽観的な見方をしていると示した。
懸念の理由
(ベトナムのインフレと貿易赤字の増加が同時に高まり、
更に、ここ数週間はVND/USD為替レートが変動した等)は、
国際投資家に懸念をもたらした。
Goldman Sachsによると、短期的インフレのリスクは、
ベトナムのマクロ経済の安定に対する、最大の脅威である。
年初の5ヶ月で、ベトナムの貿易赤字は144億ドル(前年同期比70%増)
2007年の赤字額と比べても、20億ドルも高い。
原因は、ベトナム相場に入るドル資金の減少であり、
このままでは、ドルの輸入に用いる際に、不足する恐れも出てくる。
この状況において、Goldman Sachsは、
ベトナムが、インフレ抑制のために講じた一連の対策
(公的支出の削減、物価上昇のコントロール、
預金金利の増加、信用活動の監査等…)は
有効に働いたかどうか、定かではない、と述べている。
また、今後、ベトナムの政策策定者は
これらの政策の実施を強化する必要がある。
それにより、証券市場への圧力が強まるのは、
避けられないことだろう、とも言っている。
それに、ベトナムドン(VND)については述べると、
国家銀行がVND/USDを短期で引き上げる可能性は低い。
しかし、ベトナムドン(VND)は本来の価値より高くはならないので、
為替レートの上昇スピードを上げる 可能性がある、とした。
楽観視する理由
ベトナムでは、1997年にタイで発生した、
「清算バランスシートの危機」は起こらないとし、
以下の3つの理由を挙げている。
1:FDI、ODA、証券市場への投資資金、
外国のベトナム人居留民からの送金などを資金源とし、
これらにより貿易赤字を補填している。
今年最初の5ヶ月で、ベトナムに導入されたFDI資金は
147億ドル(前年同期より2倍増)に達した。
同時に、実施額も急速に伸びた。
様々な大規模プロジェクトが動き出し、
石油分野・IT分野には安定的な資金が投入されている。
このことから、Goldman Sachsは
今年後半にもFDI資金の投入は続く、と見ている。
さらに、ベトナム人居留民による送金額も急速に伸びている。
その他にも、証券市場の下落に関わらず、
外国投資家の各種株式の購入が続いている。
2: 1997年の危機直前のタイの状況と明らかに異なるのは、
ベトナムの、外国からの短期借金の割合が、
GDPの8.6%に留まっていることだ。
1996年のタイの26.3%に比べてもかなり低い。
それと同時に、ベトナムは
この短期借金を、貿易赤字の補填には当てることはない。
ベトナムでは、
外国借金や輸出信用に関する国家銀行規定が厳しく、
短期借金は少額に抑えられている。
ここ1年半の間も、この傾向に変化の兆しはない。
その他にも、ベトナムの外国からの借金総額は
外貨予備資金に比べ、わずかに多いが、
その主な割合は、中長期借金が占めている。
3: ベトナムにおけるドルのニーズの高まりは
主に輸出分野による影響からである。
Goldman Sachsによると、
厳しい信用管理政策の成果がある時には、
輸出額は急速に伸びる傾向になるだろう。
一方で、ベトナムの輸入港の使用能力は最大になっている。
同報告書の観点から見ると、
外国金融投資家の直接進攻は制限される。
しかし、インフレ上昇が長期的に続く場合には、
国内資金は金とドルに投資されるため、
ベトナム金融システムに圧力がかかる、と考えられる。
Vneconomy.net 2008年6月5日