インフレ 「頂点に達し抑制に向かう」
インフレと貿易赤字は外国投資家に不安を与えているが、
David G. Fernandez - JP Morgan Chase経済担当部長によると、
ベトナム政府は、2008年末までにこの問題を
徹底的に解決させる方針だ。
いつ終止符を打てるのか。
A. 私は、経済困難がほぼ頂点に達したのでは、と思っている。
外国投資家は、常に目の前の要素に焦点をあて、
インフレ、貿易赤字の問題など、不利な状況ばかりを見ているのだろう。
JP Morgan Chaseは、各要因を分析し、
2008年下半期に、貿易赤字はかなり改善されるという結論を出した。
インフレも同様で、すでに頂点に達したとして、
年末までに、この不況は徐々に落ち着くと見ている。
世間はベトナム経済に対し不信感を抱くことになったが、
同社によれば、ベトナムは早期にこの困難な状況から抜け出せる。
ベトナム政府が、貿易赤字とインフレを徹底的に解決するので、
バランスが取れた状態に戻るだろう。
Q. なぜ、今下半期にベトナムがインフレと貿易赤字の問題を
解決できるといえるのか。
A. インフレを作る主な原因は食料価格であり、
これを調整すれば、インフレは非常に簡単に抑制できる。
ただ、政府は農民に値段を押し付けたくないので、
市場の需給規則を利用してインフレを安定させたいとしている。
JP Morgan Chaseによれば、
今後、有期間売買契約が急減し、世界中でコメの価格が下がるので、
ベトナムにおける食料価格も当然値下がりする。
したがって、食料価格と共に、インフレの圧力も減らすことができる。
インフレになる原因は他にもあるが、
政府が、公的支出予算や巨大プロジェクトの実施額を削減しているので、
インフレや貿易赤字も改善できるだろう。
2008年5月のベトナムの貿易赤字は100億ドルであるが、
下半期は、この数字は40億ドルしか増えない見込みだ。
一番明るい点は輸出であるが、
2008年最初の5ヶ月のベトナムにおける輸出額が非常に印象的であり、
時に近隣国と比較されるほどだ。
問題は輸入で、鉄の輸入により、輸入額を上げてしまった。
この問題を解決するためには、輸入を抑えることが必要。
例えば、工事の建設資金を削減することで、鉄輸入のニーズを下げ、
輸出額と輸入額の差を減らすことだ。
Q. 噂によれば、間接投資資金(FII) が逆行して変動し、
為替レートに圧力をかける可能性があるので、
政府がベトナムドンのレートを切り下げなくてはならないそうだが、
このことについてどう考えているか。
A. ベトナムでこのようなことは起こらないと思う。
JP Morgan Chaseによれば、
現時点でベトナムドンのレートを切り下げることは
得策ではない。
実際、FII資金のベトナム市場からの全撤退が、
レート切り下げの原因にはならないし、
圧力をかけることもない。
現在の外貨予備資金が数百億ドルもあるので、
ベトナムはこの苦境に対応する余裕が充分にある。
Q. ベトナムと同様にインフレ状況になっている国は
どのように対策しているか。
A. インフレの抑制には、預金金利を上げるしか方法はないだろう。
それによって、ベトナムドンを管理でき、
急激な成長スピードを減らすこともできる。
2005年、インドネシアがそのような方法で成功した。
私は、ベトナムドンが弱くなる前に、
早く動き出さなければいけないと考えている。
Q. 政府が国際金融基金(IMF) や世界銀行(WB) の支援を利用するべきとの
国際機関による提案があった。
現在、ベトナムはこのような支援が本当に必要なのか。
A. それは良案ではない。
1997年、インドネシアがIMFの支援を得るために
IMFの119もの要請に対応しなくてはならなかった。
現在の背景においては、
ベトナムドンの価値を安定させるために
充分な外貨予備資金を用意することが最優先だ。
2003年から2007年末までの、
バランスシートにおけるベトナム全体の財政状況は良い。
外貨予備資金が200億ドル以上になったが、これは主にFDI資金である。
この経済困難が終息に向かえば、FDI資金が引き続き導入され、
ベトナム外貨予備資金が増えるだろう。
Vneconomy.net 2008年6月10日