ベトナムの経済状態全体に 目を向けよう
一般人に対して
「なぜ証券を売買しないのか。
不動産に投資しないのか。
高い車を購入しないのか。」という質問があった。
その一方で、
「なぜ一般人が、今の困難な状況の一端を担わないといけないのか。」
という質問もある。
金融機関は、
自分の顧客である投資家の権利を確保することに
重点をおいて行う。
国から利益を得ない、
又は、ドル及び株式を持っていない一般人の利益に重点をおいて
、 経済状況を分析する人が果たしているだろうか。
このような質問をすると、
我々は、様々な情報を頭に入れ、
異なった心理的反応をする。
外国金融機関の報告書では
金融状況が中心に分析されるが、
我々が必要なものは、
基本的要素で分析された、経済全体の状況である。
そんな中で、外国の専門家、国際的な機関、コンサルティング会社の分析は
より深く幅広いものである。
超輸入について
2008年の年初に144億ドルの記録に達した後、
様々な要素により、超輸入の状態が減ってきている。
去年、株式が急騰したため、
多くの人は、消費生活のために、かなりの額を費やした。
それは車の増加台数、高い輸入消費製品の数に表される。
今、現金が不足し、
年初のように大量な商品は輸入しないであろう。
不動産市場が固まっているので、
建設資材のニーズも下がると思われる。
輸入車があまり売れないこと、
輸入した鉄が再輸出されることが、
この状況を物語っている。
ベトナム国内で組み立てられている車もあまり売れず、
5月の売却台数は、4月より1800台減少し、
組み立て用の部品の輸入も減少していると思われる。
ドルがベトナムドンより高くなっていることで、
輸入業者は、なかなかドルを購入できず、
輸入製品が高くなっていくので、輸入も減少するであろう。
そのような状態で、
超輸入を削減するために
輸出を促進しなくてはいけないが、
その一方で、輸出製品の原料は輸入しなくていけない。
そう考えると、
為替レートの柔軟性は、
外国におけるベトナム製品の競争力を高める要素となる。
ベトナムドンは、ドルだけでなく
他の外貨とも、柔軟的に価値を確定させるべきだ。
厳しい金融政策及び公的予算の支出政策が、
上手く実施される際には
年末の超輸入への圧力は少なくなるに違いない。
実際、超輸入額は
3月 33億ドル、
4月 28億ドル、
5月 26億ドル(出典: Barclays Capital)である。
このような減少は、
他の指標及び清算バランスに対して
積極的に影響を与えるために、
もっと促進されなければならない。
インフレについて
世界中で、ガソリン、石油、食糧の値段が、高騰している背景があり、
ベトナムは、インフレ抑制に対する対策が実施しにくいだろう。
ただ、良く言われように、
ベトナムのインフレは、
この数年の緩い金融政策で、より進んだ。
今、信用取引が厳しく制限され、
資金の供給が、あまり増加しなければ、
インフレは、今後、少しずつ止まり、物価も下がるだろう。
世界銀行(WB)の資料によると、
資金供給が、前年同期より10%減少するのは
輸入増加の減少と、ぴったり合う。
ベトナム支援国中期会議においての
「Taking Stock」の報告によると、
WBは、食糧要素を除くと
物価上昇が、3月より少しずつ減っている、とのことだ。
ここで注意すべき点は
一般人によるインフレ上昇率に関する考え方が
物価上昇の傾向を決めていることだ。
したがって、金利政策は、
インフレ抑制と、より密接に、実施されなくてはいけない。
金利が、実際、インフレより高く引き上げられると、
人々は安心して銀行に預金できる。
したがって、金融政策は、すぐ効果が出てくる。
他の指標について
農業、林業、水産の生産業は、前年同期より2.9%増加している。
ただ、ベトナムは、
世界中で、食糧、食品が、急速に増加する機会を
上手く利用できなかったので、
農業従事者は、あまり大きな所得を得ることができなかった。
その一方で、輸出業者は、購入資金が不足することで影響を受ける。
また、建設分野を除いては、
工業生産が、引き続き、高い成長率(年初5ヶ月で16.4%)を維持している。
ここで注意すべき点は
上記の報告書内で、WBが
「ベトナム政府は、GDP成長率を7%に抑えたがっているが、
昨年からの急成長に続き、
今年のGDP成長率も、期待値より高い。」と強調した点だ。
「建設分野の発展成長率は年末で0%だが、
他の分野は、第1四半期と同様の成長率を維持しているため、
今年のベトナムのGDP成長率は7.5%になる。」。
ここで、インフレ抑制の対策のために、
様々なところで、労力が割かれなければならない。
短期では、成長のために割かれる労力は、それほど大きくはないが、
政府は、各分野及び
各地方による高い成長率を維持する意欲を持続させなければならない。
心理的要素は、市場を安定させるためには、重要な役割を持つので、
我々は、金融要素について、できるだけ客観的に見ないといけない。
清算バランスシートについて
ズン首相の報告によると、
David Fernandez JP Morgan Chase経済担当部長との会談において
2008年年初にベトナムの全体のバランスシートは
10億ドルの黒字になり、
2008年のバランスシートで見ると、20〜30億ドルの黒字になる。
現在、FDIプロジェクトの実施額は、
毎月10億ドル以上になっている。
WBの報告にも同じ様な数字が掲載されており、
(貿易赤字が非常に低く予想されている)、
2008年の勘定口座バランスの赤字の113億ドルは
資金口座の黒字(148億ドル)により、補填され、
清算バランスシートの黒字は34億ドルになる。
これはベトナムの市場のバランスシートの危機に関する噂を覆すのには、
必要な値である。
ただ、一方で、
市場が超輸入を減らすために、
また、ベトナム商品の競争力を高めるために、
さらに、FDIセクターの労働者の収入を改善するために、
柔軟的な為替レートが必要になってくる。
そのような点から、
為替レートを調整する時には、
インフラの要素も参考にしなければならない。
一般人に対する影響について
金融機関といった、利益を受ける代表のグループは、強い立場を持つが、
貧困層、農民等といった、利益を受ける代表グループは、
存在しないようである。
したがって、各政策が、
直ぐ一般人及び外国投資家に悪い影響を与えないか、
注意すべきである。
ベトナムドンの平価を、急に切り下げることは、
インフレに強い影響力があり、
厳しい金融政策は実施しにくくなる。
また、一番大きな影響を受けるのは、貧困層である。
これらの人々は、
毎月の給料及び食糧品の収穫による収入で生活している。
人口の73%が農村に住んでいるので、
政策が農民の消費力を高められるように、実施されると、
国内市場は、中小企業の堅実的な支えになる。
外国間接投資資金について
現在、外国投資家は、上場企業の資本金の25%分しか保全していない
(これは、上場市場及び未上場市場を含む)。
したがって、間接投資資金が約70〜80億ドルしかなくても、
その殆どが、ファンドの投資資金であるため、換金できない。
現在、外国投資家は、25億ドルの資金と50億ドルの債権を保全している。
この数字を公表した際、
Dragon Capitalは
「外貨予備資金は、外国の短期借金の360%である。」と評価した。
NDF形のVND/USD為替レートの上昇に関する各種の情報は
実際の為替レートとは関係がない。
これらの為替レートは、単に自由市場のドル売買のために使われる。
この一連の情報について、人々に詳しく説明する必要がある。
証券市場、為替レートの変動は、
ベトナム投資家の心理によるものが多い。
ここで、我々は、現在の状況となる原因に気が付いた。
それは、各国営経済グループの金融政策及び投資政策が
国家の政策と一致しないことである。
また、金融活動による実際の営業・生産活動に対する影響も
少なくしないといけない。
この二つの活動は、非常に密接な関係があり、
ベトナムでは、金融活動は、この2年で発展している。
そんな中で、どんな分野を優先するか確定しないといけない。
ベトナムエコノミックスタイムズ 2008年6月13日