貿易環境評価表から見るベトナム
6月18日、世界経済フォーラム(WEF)は
初の貿易環境評価表(Ranking Table)を発表した。
ベトナムは118カ国中、91位であった。
「全世界貿易環境(Global Enabling Trade Report 2008)」の
研究報告が、各国の研究機関協力のもと、実施された。
ベトナムでは、
中央経済管理学院とホーチミン市経済研究院が
この調査に協力した。
同報告書の目的は、
1、各国の国際貿易環境に与える影響を分析し、
2、世界経済のより良い関係を築くため、
政策を改善。
各国の成長と繁栄に貢献することである。
この中で、
1位 香港
2位 シンガポール
3位以下8位まで、カナダとニュージーランドを除き、
ヨーロッパ勢が占めている。
ベトナムの評価は
ベトナムは118カ国中91位。
アセアン諸国中、ベトナム以下なのは、
カンボジアだけである。
以下、低評価の理由と考えられる主な4点。
1.市場の分析及び対応
2.関税の管理
3.交通・情報インフラ
4.貿易環境等
上記4点中、最も低かったのは
「市場分析及び対応」(112位)で、
中でも、「関税及び非関税」の項目は114位であった。
これは、アセアン諸国中最下位。
アジア全体では、ウズベキスタンとキルギスを残し
ワースト3位である。
その一方、高評価は以下の通り。
・安全 46位
・運搬サービス 48位
・郵便サービスの効果 33位
・警察サービスの信用 45位
・企業の技術理解能力 43位
報告書の矛盾
報告書内には、いくつかの矛盾点も見られる。
1 「交通・情報インフラ」110位に対し、
「運搬サービスの効果」48位と高く評価されている。
2 「輸出入手続きの効果」50位に対し、
「関税管理の透明性」100位、
「輸出入に関する「異常」経費について」104位、と低位置。
3 「国際市場に接する能力」47位
「地域内の貿易促進」49位
と、市場の多様化について高く評価されたものの、
「多国貿易法のオープンマーケット」については100位に留まった。
WEFは、貿易関係の多様化に関して、
注意すべき点も挙げている。
2006年の資料によると、
輸出全体の中で、アメリカが18.3%を占めていた一方で、
輸入では中国(台湾含む)が全体の30%を占めていた。
4 この調査票は世界中に適用されているが、
ベトナムに適用する際には、
「関税サービス」と「交通渋滞」に
「情報源がない」と書かれている。
そしてこの2点が、最も低い評価に繋がってしまっている。
主な評価
全体の評価(118カ国) 91
市場の接し 112
関税及び非関税 114
貿易傾向 66
関税管理 76
関税効果 79
輸出入手続きの効果 50
関税管理の透明性 102
交通・情報のインフラ 75
交通インフラの質 100
交通サービスの質 48
ITの適用 71
営業環境 62
政策環境 83
物質の安全 46
報告以外の大きな矛盾
2007年貿易赤字 141.2億ドル(前年比70%増)。
※ 国家収入の20%が、貿易赤字。
輸出額 485億6000万ドル
輸入額 626億8000万ドルであった。
出典 中央経済研究所の報告
ここには、二つの要因が説明されている。
1 国際貿易能力が低く、主要産品がない。
2 課税を下げる(WTO加盟の約束)と、
輸入増加に繋がり、貿易赤字を克服できない。
WEFの分析では、
ベトナムは長い海岸を持つため、
内陸国より有利であるとされた。
しかし、ベトナムより低位の国は、全て内陸国である。
したがって、地の利を加味しなければ、
ベトナムは更に低い評価だった可能性もある。
同報告は、完全に正確ではないが、
今回の評価を通じ、
世界での位置を認識し、今後、
改善のための政策がとられることだろう。
Vietnamnet 2008年6月19日