業界不況 資金難著しい証券会社
2006年の証券市場ブームにより、
数多くの証券会社が設立された。
しかし、2007年第1四半期より、市場は衰退時期に入り、
先日VN-Indexは400ポイント以下に下落した。
現在、各証券会社は存続の危機に瀕している。
国家証券委員会の統計によると、
2006年末から2007年第1四半期まで、
各証券会社の税引き後の利益が50%~70%変動している。
2006年の売上は、
1位 SSI 税引き後利益 2,420億ドン(売上3,780億ドン)
2位 VCBS 1,080億ドン
3位 HSC 910億ドン
以下、ACBS 840億ドン、BVSC 508億ドンであった。
2006年年初の、各証券会社が生んだ膨大な利益は、
証券会社の設立ラッシュを招いた。
しかし2006年末まで、各証券会社とも
多少の利益を出したが、
大手証券会社には遠く及ばなかった。
事実2006年、高稼働率の20万取引口座のほとんどが、
SSI、VCBS、BVSCの顧客であった。
2007年に入ると、第1四半期は活発だった市場も、
その後連続して下落。
ただ、最低まで下落する前に、各証券会社が大量株式を売却したため、
年間の売上自体は高かった。
その時点で売上は、
1位 SSI 税引き後の利益 8,585.5億ドン
2位 BVSC 2,140億ドン
3位 VCBS 2,50億ドン(前年より108%増)であった。
大きな利益をどのように得たか
各証券会社の調査によると、各業務、
自己売買、証券仲介、財政コンサルティング、
証券投資コンサルティングのうち、
最も利益が出ていたのが、自己売買部門であった。
その他の業務からは、あまり利益を得られていなかった。
自己売買業務で成り立つ証券会社の、
最たる例はSSIである。
2006年、SSIが長期案件に投資したのは
わずか1,478億ドン。
それに対し、短期案件への投資額は、
17,860億ドンに上った。
Kim Long証券も、この方法をとる会社のひとつである。
Kim Longは最初の資本金180億ドンで、
初めの3ヶ月のうちに50億ドンの利益を上げた。
設立当初のベトナム証券市場には、
4つの証券会社しかなかった。
しかし、1年後に14社、2006年末までには55社、
現在は87社が存在する。
Dong A銀行証券会社ハノイ市部の
M&A部長Nguyen Phi Hung氏は、
「この間、証券会社は
情報や市場の分析ができる人材を使って、
自己売買業務で大きな利益を得た。
しかし長期的には、
仲介部門こそが、本当の証券会社の強みとなる。
市場が自己売買に有利な状況となったため、
ほとんどの証券会社が大量に株式を保有した。
ただ、現在のように市場が大幅に下落すると、
中規模証券会社は生き残れない。」と述べた。
リスクと利益
証券会社には優秀な専門家があり、
企業が発展するかを予測できるため、
個人投資家より有利ではある。
発展能力有りと認めた企業の株式を、
大量購入し、その供給源が減少してくると、
高い値段で売買するのである。
これは、他が知らない情報を
正確にキャッチできるかどうかが成功の鍵となる。
例えば、今後どの外国投資ファンドがベトナムに参入するか、
どの分野に投資するか、
いくら投資するかなどだ。
参入前に情報を得ることが、
大量の利益を生み出すことになる。
しかし、この強みは長くは続かない。
管理体制の強化は、時間の問題である。
一方、新設証券会社の顧客数は、
既存の、特に大手証券会社とは比べようもない。
そのため、新設証券会社は、
口座開設フィーの無料化、取引フィーの削減等、
様々な方式を適用し、顧客確保に努めなくてはならない。
Nguyen Dinh Lam-ベトナム証券株式会社仲介取引部長は、
「市場の暴落が証券会社の発展に大きく影響している。
この状況は、年末まで続く可能性が高く、
財政能力の低い証券会社は、
国内他社に、1部または全て売却しなければならなくなる。
現在、多くの証券会社が外国パートナーと提携し、存続を図っている。
しかし、現在の状況で不安がないのは、
この3年間で数千億ドンの利益を得ている、
大手の数社だけである。」と述べた。
証券会社の倒産がいつになるかが、
専門家の間でも囁かれはじめている。
2006年、国家証券委員会は、
2008年末までに、証券会社の数は
2007年の3倍に達すると警告していた。
しかし、この1年間の急速な下落により、
この予想も外れる見込みだ。
今の状況では、自己売買部門で過去のような
大きな利益は得られない。
したがって、活動維持のための、
資金源が問題となる。
Bui Duc Thinh-Hoang Gia国際証券会社分析部長は、
「この半年、仲介部門の売上を作れないでいる。
コンサルティングサービスも、
現時点では、各企業ともIPO計画を延期するため、
他のサービスも提供できない。
自己売買部門についても、財政源が殆どないため、
保護のために以前購入した株数を同じ数で購入することができない。」と述べた。
Nguyen Phi Hung氏は、
「証券会社は今こそ、
コンサルティング・仲介活動業務を発展させなければならない。
証券市場が急速に発展し始めてから、
売上のほとんどを自己売買部門に頼っていたが、
これは両刃の剣である。
自己売買部門に資金が集中していると、
いま売却するにしても、赤字、
維持するにしても、活動資金がない、といった状況になってしまう。
特に、現在は各銀行も貸出を厳しくしている。」と述べた。
証券投資紙 2008年7月9日