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2010年01月08日

Vietcombank IPO失敗で投資家大損


株価最優先でIPOを行ったベトナム商業銀行(VCB)は、
現在、困難な状況に立たされている。
IPOでVCB株式を高値で購入した投資家が、損失を被ったのだ。
そして、転換債券を額面の3~4倍で購入した者は、
さらなる損失が見込まれている。


IPOの準備期間であった2007年末を振り返ると、
VCBの外国戦略投資家の候補は3社あった。
日本の野村證券、Goldman Sachs、General Electricである。

当初、候補の中からVietcombank側が、
2社を戦略投資家として選抜する予定であった。
しかし、外国投資家がVCBの株価を
45,000~60,000VNDで購入することを希望したことから、
両者の交渉は決裂。
そのため、VCBは外国戦略株主なしでIPOを行った。

また問題は、VCBの株価がIPOで103,000VND
(外国投資家が交渉した株価の2倍近く)に上げられたことで、
さらに複雑になった。中には200,000VNDで入札した者もいた。

それがIPO直後、OTC市場で株価が市況に合わせ連続的に暴落、
底値は30,000VNDにまで下がった。
VCBの外国戦略投資家選定に対する明確な回答はまだ見通しが立たない。
高値で売れないことは当然だが、
現時点でOTC市場の株価同様で売却すれば、
ベトナム人だけが損をさせられた、という状況になる。

2009年6月末、VCB株式は60,000VNDで上場したが、
その後、市場と共に下落、
現在は、49,000~50,000VNDで取引されている(2010年1月5日現時点)。

VCB株式と関係する最近の案件には、
同行が増資目的で、既存株主に対し、
資本金9.28%に相当する11,229万単位の株式を
追加発行する意思を示していることである。
財務省とSCICは、この計画に積極的な反応を示した。
2009年7月30日付書簡No.1672でSCICは、
既存株主として購入できる株式を全て購入申請したい、との意思を明確に表した。

これらの動きから、既に高値で株を購入した投資家は、
損失の軽減を期待している。
また、投資家の中には、有利発行で株式を購入した同行職員も少なくない。
現在の株価(49,000VND)で追加発行できる場合、
VCBの株価は45,700VND
(1,000 x 49,000 + 1,000 x 9.28% x 10,000)/1,092.8 = 45.700 VNDとなる。

追加発行後、VCB株価がさほど変動しなければ、
投資家は数万VND儲かることにははるが、損失と比較はできないだろう。

しかし、最終的に国家銀行は増資計画を認めなかった。
国家銀行はVCBに対し、増資の前に外国戦略投資家と提携する必要がある、とした。

IPO時にVCB株式を購入してしまった同行職員は、
2009年のボーナスで損失を軽減できる。
ただ、職員でない投資家は何時までこの損失を抱えていなければならないのだろうか。



VCBの株価(VND)損失率(%)
OTC市場で売却300000.7087
上場時点で売却600000.4174
現時点で売却490000.524


Vneconomy.net 2010年1月8日

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