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2010年03月12日

大手ビール企業が民営化できない理由


業績が黒字、ネームバリューがあるにも関わらず、
民営化を行った国営企業が、未だに上場できないケースがある。
その典型例は、ビール会社大手のSabecoとHabecoだ。


Trinh Tuyet Minh-Sai Gonビール会社(Sabeco)は、
上場が遅れる原因について、以下のように語っている。

まず、政府に認可された民営化計画によれば、
企業が上場するためには、新戦略パートナーに株式を譲渡する必要がある。
しかし、民営化が3年を経過した今も、
Sabecoはまだ戦略パートナーを見つけるに至っていない。
原因の一部には国際金融危機の影響もあるが、
より深刻なのは、戦略パートナーへの譲渡株価が、
IPOの平均株価を下回らない、ということである。
落札平均株価は70,003VNDだったが、
この株価で戦略パートナーと交渉することは、今の状況では困難である。

さらに大きな原因として、
Sabecoは上場のための公衆化率の基準に、まだ達していないことが挙げられる。
証券法の規定には、上場企業においては、
表決権を有する株式の20%が、最低100人の株主に保有されていること、とある。

6.412兆VNDの資本金のうち、
国家株主が5.745兆VND、全体の88.59%を占めている。
残りは職員と社外株主が保有している。
第1回株主総会の後(2008年4月)、
Sabecoは国有率を減らす予定であったが、
現時点で、この計画はまだ実現できていない状況である。

もう一つの原因は、殆どの株主が、IPOの折に高値でSabeco株式購入したため、
低い株価で上場する場合、投資家の権利に与えることになる。
そのため、戦略投資家を探すことは、
企業経営、商品開発、ブランド力向上等の政府の要請に対応すると共に、
株価を支えることにもなる。

その他、Sabecoには子会社、合弁会社、連携会社の数も多く、
ネットワークも密であることから、
情報公開の規定に対応できるかどうかも、疑問視されている。

これらの問題から、Sabecoは何回も上場を延期してきた。
この問題は今も株主総会で協議されており、今後上場承認された場合、
Sabecoが更に延期することは明白である。

Sabecoの弟分にあたるハノイビール会社(Habeco)は、
戦略パートナーを見つけることに成功している。
現在、デンマークの Casbergビールが、
Habecoの16.07%を保有しているのだが、
Habecoが直面しているのは、公衆化の割合、という問題である。
現在、国家株主が資本金の81.79%を、
残りの1.88%を戦略株主が所有している状況である。

Le Ba Co-Habeco会長は、
引き続き現在も、Casbergとは株式売買について交渉中であるという。
2009年末に合意した内容は、
CarsbergがHabecoの所有率を
30%に引き上げることが可能になる、というもの。

一方、Habecoは職員や外部株主に対し、
国有株式を一部売却する計画を立てている。
これによって、国有率は全体の65~70%に低下することになる。
国有資金換金後、Habecoは上場を検討することになっている。
これらは、4月に行われる株主総会で報告される予定。

実際、ベトナム商業銀行(Vietcombank)は、
100%国営企業として民営化したが、
上記の2社と同様の問題に直面している。
ただ、Vietcombankの場合、特別に政府から上場の許可を受けている。

SabecoとHabecoが上昇するためには、二通りの方法がある。
1.現状の課題を解決すること。
2.政府に特別許可を申請すること。
どちらを採っても課題は多く、
両社とも今年中の上場は期待できないと予想されている。

現在、この2社の取引は、主に社内で行われ、取引株数も、額も低い。
上場した場合でも、初値株価は大きな問題である。
自由市場でのSabecoとHabecoの株価は、
現在43,500VNDと35,000VNDで取引されている。



サイゴンエコノミックスタイムズ 2010年3月12日

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