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2010年09月16日

HSBCが斬る ベトナム経済・証券市場


2010年9月14日に発表された
Vietnam Monitor 30によると、
HSBCは、ベトナム経済が2010年後半に
さらに成長すると評価する。


1.経済
ベトナム経済は工業生産活動、
小売、FDIの急成長により引き続き発展する。
しかし、インフレと貿易収支の赤字の問題を
解決し、輸出の競争力を高めるためには
適切な政策を適用する必要がある。

ベトナム経済は各前年と同様に
2010年後半にさらに成長する可能性が高い。
2010年第1四半期の成長率は前年同期比5.8%、
第2四半期は同6.4%。
政府は第3四半期の経済成長率が
7.2%に達すると予測した。

経済がより良く成長することにより
経済政策の策定者が、2010年のGDP成長率の予測を
6.5%から6.7%に引き上げた。
ただ、この数字はHSBCの期待値の7%より低い。

2010年第2四半期、
資金貸付が年初8ヶ月より改善し、
成長率が前年同期比16.3%の増加と予測されるが、
政府の目標の25%よりかなり低い値である。

国家銀行はこれまで
資金貸付の成長を推進するために
各商業銀行へ貸出金利の引き下げを求めた。

各商業銀行は
製造業、商業分野を中心に金利を下げたが、
不動産、証券等のリスクが高い分野に対しては
資金貸出を制限する。
資金貸付は積極的に行われたが、
実際、貸付が制限されている分野は少なくない。

HSBCによると、
投資案件の実施を確保するためには
資金貸付を制限しないで
リスクを適切に分析するべきである。
また、多様的な開発方針は経済の発展を推進する。

商業に関するリスクは
不動産分野の成長に関するリスクと違わない。
工業生産活動がベトナム経済の短期発展に対して
重要な役割を持つ。

最近、工業生産活動が積極的に行われるのは
国内消費需要の増加と輸出の促進による影響である。
国内消費は資金貸付の成長によって
大きく増加しているが、
外国からの発注は減っている。
貿易の問題について注意するべきである。

長期間、貿易収支のバランスを取ることが
ベトナム政府の目標だ。
2010年の目標は、超過輸入額が120億USD以下で、
年初8ヶ月の輸出総額の20%以下に抑えることである。
年初8ヶ月の貿易収支の赤字が82億USDであり、
同期の輸出総額の18%相当。
今年の目標は達成するが、
輸出の減少及び輸入の急増のリスクについて
慎重に検討するべきである。


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インフレの抑制は、
他の重要な目標とともに行う必要がある。

CPI成長率の減少傾向が2010年8月まで続いた。
全体のインフレ (headline inflation)の上昇率は
5ヶ月連続低い。

政府は、今年のインフレの8%以下抑制の目標は
達成する可能性が高いが、
インフレ上昇のリスクはまだ大きい。
時期の要素も含めて計算すると、
8月のCPIが0.5%、7月は0.1%しか上昇しない。

食品の価格は7月の0.3%から8月の1%に上昇した。
季節の要素があまり良くないため、
食品の価格が引き続き高く上昇する可能性があり、
インフレ抑制の目標を達成することが困難になる。

その他、輸入価格上昇の可能性もあるので、
慎重に検討するべきである。
インフレが大きく増加することにより、
預金が減る。
預金金利が通常インフレより低いので、
人民は預金をしたがらない。
預金資金が少なく、
外国からの資金調達に大きく依存する場合は
外国の経済変動に多大な影響を受ける。
そのため、ベトナムの貿易とインフレに関する懸念は
まだいている。

2.証券市場に対する戦略
現在、証券の時価総額が低く、
魅力的だが、楽観と考えるにはまだ早い。

2010年8月、資金貸付の格付けが落とされること、
政府が驚きの政策を適用したことは
投資家の心理に多少影響を与えた。
年初から7月28日までの期間
ベトナム株価指数(VnIndex)は
480~560ポイントで変動し、
Fitchはベトナムの負債をB+からBB-に落とした。


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国家銀行のVND切り下げの決定により
VnIndexは大きな影響を受けた。

Fitchはベトナムの資金貸付の格付けを落とした後、
VnIndexが引き続き14%を下落し、
423ポイントに下がった時期もあった。
VnIndexはベトナムに来る外国顧客が増加する背景で
回復してきた(7月上旬の来客数が前年同期より35%増加)。
そして、PepsiとPoscoも増資したが、
取引総額はあまり改善されなかった。

8月のHOSEとHASTCでの
平均取引総額が9600万USDで、
7月より20%低い。

7月と8月には、HOSEとHASTCの上場社数が
35社に増加したが、取引総額はまだ改善されない。
理由は大方の会社が中小企業であり、
時価総額が1億USDにもならないからである。

今後、商業銀行が2010年10月1日まで
競争で増資するため、
証券の追加発行が積極的に行われる。

ベトナム国家銀行は銀行に
最低3兆VNDの資本金と資金安全率の9%を求めた。
そのため、幾つかの銀行が
他銀行と合併する状況に直面する。

証券市場の変動について
楽観的に考えられる要素は
政府が株価への不当な行為に対する処罰に
努力している点である。
政府は証券の上場及び取引活動に影響を与える
情報発表の行為に対して5億VND(2万6400USD相当)の処罰をする。
また、株価及び内部取引に対する処罰も設けた。
決定は2010年9月20日より有効になる。

現在、各株式はPERの11.9倍、
利益/資本金(ROE)の18.4%、
配当の2.4%で取引されている。

利益成長率が25%に達する場合は
PERが9.5倍になり、韓国の9.2倍より高いが、
タイの12.2倍とフィリピンの15.4倍より低い。
2010年8月時点、2億USD以下の時価総額を有する
上場企業は約30社である。

3.ベトナムドン: 最近、VNDが切り下げたことを関わらず、
今年の後半にVNDに対する切り下げの圧力がまだ残る。
貿易収支の赤字とインフレ上昇の問題を
事前によく改善しなくてはいけない。


Vneconomy.net 2010年9月15日

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