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2010年11月05日

不透明な正確性 ベトナム統計資料


2009年のベトナム国家予算の支出超過は
GDPの何%であっただろうか?
ベトナム財務省は6.9%、
国際金融機構(IMF)は8.9%、
Economist Intelligence Unit (EIU)は9.6%とそれぞれ発表している。
一体どれが正確な数値なのだろうか?
加えて国の借金、外貨準備資金等基本的なマクロデータが
発表元によってまちまちとなっている。
原因はどこにあるのだろうか?


経済統計について、現状ベトナムは独自の視点で統計を行っており、
国際基準に基づいていない。
例えば、国の借金については、
国営企業が公的セクターに計算されるため、
国営企業の負債は国の借金として加算され、
企業に代わって、国が支払わなければならない、とされている。
しかし、これが財務省の見解では、
国営企業の負債を含めないのである。

また、国家予算収支の計算法も、世界とは2点ほどずれている。
1つは、借金が国家予算の支出項目として計算されていること。
もう1つは、国家予算以外の支出が
予算収支全体に含まれないことである。
そのため、ODA援助資金や国債発行による調達資金は、
国家予算には含まれていないのである。
これにより、政府のポケットは予算内と予算外の
2つに分けられることになる。
予算外の部分が発表されないのは、
2002年予算法に違反しており、
国家経済の実情を正しく反映していないといえる。

国際機関は、統一基準で統計指数を発表しているが、
ベトナムは独自の定義を持っている。
また、統計資料が不十分であったり、透明性が低かったり
(外貨準備資金額の非公開)するため、
国際機関の統計と、ベトナム政府の統計との間に
かなりのずれが生じてしまうことのは当然といえる。

市場は、情報公開を必要とするが、
正しい情報がなかったり、収集元によって
情報が異なったりしてくることから、
事業者は、どこから情報を収集するのか、
自分で判断しなくてはならない。
多くの場合、群集心理も手伝って
政府がマクロ要素を全てコントロールすることが出来ない。
政策策定者も経済の現状を正確に把握できなければ、
適切な政策を生み出せないため、
今後の改善が待たれる。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2010年11月5日

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