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2011年02月09日

真の経済回復に向けて 求められるマクロ経済安定


ベトナム計画投資省元大臣-Tran Xuan Gia氏は、
「ベトナム経済は回復傾向にあるが、
 それが、経済の弱点を改善した成果かどうかは
 なんともいえない」と述べた。
以下はGia氏への、インタビューである。


ベトナム経済の、根本的な弱点はまだ克服されていない上、
国際金融危機と経済危機の影響から、
更に深刻な状況になる可能性が高い。

例えば、ベトナムの経済成長は、
主に投資資金の増加に頼る形となっているが、投資効果は低い。
工業生産価値は増加しているものの、
付加価値は低い。
(以前は工業生産価値が1.3~1.4%増加すれば、
 付加価値が1%となったが、今は2%が必要)
マクロ経済もまだ不安定な状況にある。

近年の経済成長は、一時的な経済政策の成果だが、
こうした対策は、2011年以降、
市場には悪影響を与えることになると考えられる。

Q:2010年、ベトナム経済は、
・為替レートの安定化
・インフレ上昇
・臨時の経済政策による回復
・環境汚染等の、さまざまな問題の中で
発展を遂げてきた。今後、どのような影響が出てくるだろうか?


A:うまくいった場合でも、「短期課題」の改善には、
数年を要するだろう。
「長期課題」に対しては、更なる時間が必要になりそうだ。
私は多くの国内外の経済専門家が意見するように、
安定かつスピーディーに経済成長を確保するためには、
前提として、マクロ経済の安定が、必要不可欠であると考えている。

ベトナムはアジア経済危機(1997―1999年)の際、
マクロ経済の安定により、うまく切り抜けることができた。
2006~2010年の5年間で、ベトナムは、
消費者上昇率年11%、経済成長率年7%に達した。
これは向こう5年の経済社会開発計画に対して、
重要な参考資料となるだろう。

Q:国営企業の業績の悪化が取りざたされているが、
 国営経済セクターへ導入される国家資金は多額である。
 これは経済成長を阻害した要因と言っても良いのでは?


A:2005年以降現在までの統計を見ると、
①国営経済セクターの成長は国全体の成長を下回る、
 当然民間経済セクターや外国投資関係の経済セクターより低い。
②国内経済に悪影響が出たとき、国営経済セクターは、
 他の経済セクターより深刻な衰退をした。
さらに、国際金融危機の影響を、
相殺、軽減させる役割も、果たせなかった。

1997年-1999年のアジア経済危機の時期にも、同様の状況があった。
例えば1999年、ベトナム全国の経済成長は、4.8%に達したが、
国営経済セクターでは2.6%、
民間経済セクターで4.2%、
外国投資関係セクターが17.6%、という内訳であった。

Q:国営企業の資産管理に関する法整備のために、
 課題とされることは何か?


A:国営企業の活動調整に関する法律には、
2010年7月1日施行の企業法がある。
国営経済グループの活動に対しては、
議定No.101/CPがある。

ただ、国営企業の資産管理には、
まだ大きな「法律の穴」が存在している。
また、国営企業の巨大な資産を管理するための法律は、
まだ整備されていない。

国営企業の資産は、誰が管理しているのか。
各関係省庁、地方行政も、国営企業の資産管理をしている
と言っていることから、
現在、国営企業資産の所有者が多くなりすぎて、
誰も管理していないような状態とも言える。

また、国営企業、国営経済セクターの
活動に関する法律は発行されたものの、
実施ガイド等の重要な書簡はまだ発行されていない。
例えば、今でもVinashinに関する条例、活動規定はまだない。
この様な巨大国営経済グループに、活動条例がない場合、
物質的損失が発生するのは当然である。
また、条例と活動規定が作成されている国営企業でも、
内容が曖昧すぎて管理できているとは言いがたい状況だ。

こうしたことから、状況の劇的改善には程遠い、といえる。



Vneconomy.net 2011年2月9日

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