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2011年05月06日

FDIの導入はどんなタイミングで?


ベトナムのFDI調達目的は付加価値がある産業分野、ハイテク産業分野を
中心に開発するためだが、近年はFDIが短期的で単純な投資の傾向にある。


時間をかけて調査研究を行ったTran Dinh Thienベトナム経済学院所長は、
最近の宿泊・飲食、不動産投資分野がFDIにとって優先的に投資された分野で、
この二つへの投資比率は40.9%と35.4%だと述べた。Thien所長はさらに
「この投資傾向の移転はベトナムがWTOに加盟した後で発生する。これこそが
短期的で投機性の高い投資への方向である。付加価値の高い産業に対する
投資が減っている」と続けた。

Thien院長の研究結果によると、飲食・宿泊サービス分野へのFDI案件の規模は
1件当たりで平均1.6億USDとなっており、不動産分野への投資規模が同じく
1件あたり1.5億USD、鉱山採掘分野への投資規模は7,00万USDという内容だが、
加工産業・製造産業への投資規模は1件当たり1,00万USDしかなく、科学研究、
教育、技術分野に対する投資の規模が非常に小さい。

このような投資傾向は無視することができない。2008年におけるFDI実施額の
115億USD中で80億USDが外国からの送金であり、残りはベトナム側の投資
(土地等の財産)である。

この調査研究結果は地方競争能力(PCI)に関するベトナム商工会議所(VCCI)の
研究結果と同様だ。不動産分野に投資したFDI企業の数は正しく計算されないが、
鉱山採掘等の分野に投資したFDI企業は大きな利益を得ている。残りは大手外国の
会社から仕事を請け負う小規模な会社である。そのため、ベトナムで活動している
FDI企業のバリューが生産チェーンの中で1番低い。PCI報告書は「ベトナムでは
全国の5%にあたるFDI投資家が現代工業生産分野やIT・通信分野に導入しており、
5%の投資家は科学技術サービス分野に導入し、さらに3.5%が高級人材を要する
保険分野または財政分野に導入している」と分析している。

また、競争力の評価で生産能力が一番重要となる固定資産や長期投資資金について、
現在活動している約5,000社のFDI企業が所有する長期投資資金は390兆VNDで
1社当たりでは790億USDの長期投資資金しか持っておらず、規模は民間企業より
大きく国営企業よりは小さい。主な増資案件は不動産投資案件と鉱山開発案件で、
加工工業や農業の案件と投資規模が当初とほとんど変わらない状況である。

その一方でFDI企業は現地人材の質が低いと頻繁にコメントしているが、実際は
賃金の支払額が一番低いため、一般の労働者しか採用していない状況である。
また、企業活動が加工や組み立ての作業主体なので、技術移転や人材養成等の
活動をあまり行っていない状況となっている。

ベトナム商工会議所(VCCI)によると、現在66%のFDI企業が今後の2年間で
ベトナムでの生産活動拡大を望んでいるが、これらの分析を見ると特定分野への
FDI導入を厳しく管理するべきではないだろうか?


サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年5月6日

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