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2011年06月24日

ベトナムの教育に理解不足な実情


多くの国では教育が「主力の輸出商品」になっているが、ベトナムでは
まだ「教育の営業」という概念がきちんと理解されていない。実際上は
各教育レベルで民間の投資が積極的に行われている。


ホーチミン市教育局の統計では、同市では私立高校が73校、保育園から
中等教育まで行っている外国関係の教育機関が33校、私立の専修学校は
27校、夜間教育センターが544箇所に増えた。ハノイ市では私立学校が
全体の21%、学生全体の11%を占めている。

高等教育レベルでは全国に80の私立学校があり、全国の大学生の15.7%を
占める。政府の計画では2020年までに国立・公立学校が学生全体の40%を
占めるとしている。また、国立大学のシステムにおいては、ベトナム大学と
外国大学の間の連携教育が形成されている。学費は国立の予算の約50%を
占めており、私立学校の予算の100%を占めている。

この一方ではベトナムと外国の投資家がベトナム教育分野に導入している。
「私立大学組織・活動規制」に関する2009年の政府決定No.61は企業の
営業に対する規定と同様の内容である。

投資金の増加導入による状況の複雑化…

たくさんの投資が実施されているが、私立教育セクターの教育クオリティは
まだ公立教育セクターより低い。2007年の私立教育会議で教育訓練省代表者は
「私立大学の教育について、施設と教育設備の不足が緊急の状態になっている。
学生と教師の比率が43/1で、多くの学校において結束が低い」と分析した。

2010年の国会常務委員会による調査結果では、私立の学校における教育状況は
改善されていない。多くの学校は看板だけで校舎がなく、他の学校の施設を
利用しており、教育現場の数が不足しており教育の質が良くないと評価された。

ホーチミン市にあるHong Bang国際大学は各地区に分校を設置している。また、
Van Hien大学は設立されてから13年が経過しているが拠点がまだなく、他校の
校舎を利用している状況である。Hung Vuong大学は1995年5月に設立されたが
現在ある8箇所の校舎は全て借用施設である。

さらに、投資家と教員の間に利益相反が発生しているため校内での結束力が弱い。

…「目に見えない部分」

教育訓練省を始めとする多くの私立大学が「非利益」の活動を実施しているが、
私立大学の財政活動は企業法の対象外であり、優遇された課税制度を得ている。
しかしながら、政府決定No.61は株主の所有権を認めており、各株主が企業法に
基づいて投資資金を換金し、株式を譲渡することが可能となっている。学校が
解体される場合は財産が企業解体法第31条に基づいて調整される。

およそ6年前に教育訓練省は「利益」と「非利益」の学校に関しての活動規制を
作成することを発表しているが、現在に至るまでこの規制は発行されていない。
このため、私立の学校における活動には「目に見えない部分」が多く、校内での
問題発生も多々あり、民間教育の分野が発展していない状況がある。

世界では各国の間で「教育輸出分野」で激しい競争が繰り広げられている。
オーストラリア国際教育機構の統計によると、2010年にオーストラリアで勉強している
110万人の大学生のうち61万9,119人が他の190カ国から来た留学生である。
外国人留学生はオーストラリアに186億オーストラリアドルを払って12万5,000人が
就職に付き、高い技能を持った労働人材を提供している。
現在では約2万3,000人のベトナム人がオーストラリアに留学している。
アメリカは外国留学生を受け入れている最大の国である。
ニューヨークにあるIIE (Institute of International Education) の統計では、現時点で
約70万人の留学生がアメリカで勉強している。2010年の統計によるとベトナムは、
1万3,112人で世界で9番目に大学生の留学生が多い国であり、2番目に公共高等専修学校への
留学生が多い国でもある。
イギリスにも34万2,000人の留学生がおり、学費は毎年15億ポンドである。
Universities UKの報告書では、学費以外に留学生が宿泊、生活、交通などの滞在費で
イギリスに年間24億ポンドを払っているとされている。
アジア地域についてはシンガポールやマレーシア、香港が質の高い格安な留学先になっており、
新たな選択肢にもなっている。マレーシアは留学生の人数を10万人に増加させたいとしており、
シンガポールでは2015年までに留学生を15万人に増やす計画が立てられた。
教育サービスは国家に利益をもたらす営業分野に成長したが、「教育輸出活動」を
積極的に行っている国では大多数の大学が現地の学生にとって非利益で活動している。
教育営業活動によって得た利益は学校の施設整備等で学校開発のために投資され、
投資家に還元されていない。
イギリスのUniversities UKでは国際教育サービスによって得た利益がイギリスの大学の
教育経費の一部を補填する。マレーシアにおいては教育輸出活動で得た利益が学校の施設に
投資され、マレーシアでは大学生が一番大きな利益を得ている。


サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年6月24日

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