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2011年06月29日

ベトナム農業開発 計画性なき現状


これまでの数十年間、ベトナムの開発方針は、
農業主流から工業化することで、
長期社会経済開発戦略の中でも、最重要課題に位置付けられてきた。
ただ実際には、工業開発と農業開発は反対の状況になっている。
農産加工産業が、農業生産の開発に比べ、かなり遅れているのだ。
また、農業開発も工業開発には追いつけない状況となっている。


目標達成にはまだ遠いものの、
ベトナムの環境に適合した農業生産の開発は、着々と進められている。
しかし、農産物加工産業は、まだまだ未開発の状態で、
農業農村開発省によると、加工産業と言っても、
ごく簡単な加工品が、全体の90%を占めているのだという。

ベトナムは2000年、コーヒー輸出で世界第2位になった。
また、ゴム輸出分野では世界第4位、
紅茶の輸出分野でも世界第5位になっている。

こうした簡単な農産物加工品の特徴は、
輸出量が大きくて安定しており、
輸出単価が安いことである。
上記農産物の輸出量が、10年間世界上位で
維持できたことを見ても良く分かる。
ただ、この10年間の農産物輸出単価については、
世界平均輸出単価より高く設定できたのは、ゴムの+8.8%のみで、
コーヒーと紅茶は平均単価の51.5%相当で輸出されている。
こうした簡単な農産物の加工工業を開発することは、
ベトナムにとって重要問題である。
農業の発展とともに農産物加工の精度も上げていかなければ、
いつまでたっても付加価値の低いものしか輸出することができない。
農業がまだ工業と追いつけない。
典型的な例は繊維産業である。
統計によると、2009年の輸出額は90.66億USDで、
繊維商品は、原油を超えてベトナム最大の輸出商品となった。
ただ、2008年から綿の栽培面積は減少が続いている。
現在の栽培面積は約5,800ヘクタールで、
1976年の6,800ヘクタールに比べるとかなり減少しているのがわかる。

そのため、綿の輸入量が急増、
1976年の40,100トンから、
2010年には357,400トンに増え、8.9倍増となった。
1986年から2000年までの綿輸入量と輸入額が、
それぞれ1.6倍と1.1倍増だったものが、
この10年でそれぞれ4.3倍と6.7倍増となった。
近年のこの状況について、
ベトナムの農民は、特に関心を示している様子はない。

この様に工業生産・農業生産の発展が統一されていないため、
2010年、繊維輸出額が112.1億USDを達した一方で、
資材輸入額も91.59億USDに達する、
といった事態が引き起こされてしまうのだ。

上記のような例が国内で増加傾向となっており、
家畜飼料でも輸入飼料が大きな割合を占めるようになっている。
この割合は、2001年時点では10.1%であったものが、
2010年には32.7%に拡大しているのだ。

農業が発展し、安定して大量の農産物を
供給できるようになっている一方で、
農産物加工産業の発展が未熟であることから、
加工精度の低い農業加工品が輸出されている。
逆に、農産物加工産業が発展しているのに、
供給源が足りないこともある。
こうした状況の改善は、個人レベルでは難しく、
政府の、将来を見越した方向性の提示が求められる。



サイゴンエコノミックスタイムズ  2011年6月29日

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