ベトナム労働者 労働能力の低さを改善せよ
Dam Huu Dacベトナム社会労働傷病兵省副大臣は、
ベトナムの労働者について、労働力は潤沢だが、
他のアジア諸国に比べ、質が劣ることに警鐘を鳴らしている。
サイゴンエコノミックスタイムズ 2011年7月27日
ベトナムの労働者について、労働力は潤沢だが、
他のアジア諸国に比べ、質が劣ることに警鐘を鳴らしている。
それについて教育訓練省は、何のコメントも発表していない。
ベトナムでは教育省が社会労働省とも協力し、
人材育成に努めているにもかかわらず、
質が落ちていると言われるのは、何故なのだろうか。
Dam Huu Dac副大臣は、労働者について、
労働力が豊富にあるといっても、主力は一般労働者であり、
労働者の65.3%は、専門的な養成をされていない状況である。
数字的には、職業訓練はばっちり?
教育訓練省は、この10年で専修学校や大学の卒業者数が、
大きく増加したと伝えている。
例えば2000年時点では、
全国の高等学校・大学卒業者数が893,754人、
専修学校卒業者が182,994人であったのに対し、
2010年には、それぞれ1,935,739人と685,163人に大幅増加となった。
また、社会労働傷病兵省職業訓練関連局は、
この10年で全国の職業訓練学校のネットワークも開発が進み、
段階的に、経済発展などの需要に対応できるようになってきているという。
職業訓練学校のネットワークは急速に開発が進んでいて、
2009年11月までに、全国で265校の専修学校、
107校の高等専門学校、
684校の職業訓練学校が設立され、
その他にも約1,000件の職業訓練センターが設置されている。
また、職業訓練の規模も急速に拡大されており、
2001年には887,300人であったのが、
2008年には153.8万人を養成するまでになった。
そのため、職業訓練を終了した労働者比率は、
2008年の26%から、2009年には28%に増加している。
また、上記数字とともに、
教育訓練に対する国家予算も大幅に増加している。
2001年この分野に対する予算は15.609兆VNDであったのが、
2010年には104.775兆VNDに増加している。
ただ、問題なのは職業訓練を受けた労働者の質である。
労働者の能力の実態
統計総局は、職業訓練を受けた労働者が、
国の発展需要に充分に対応できていない状況である、
との評価を下している。
労働者や就職状況に関する2009年の調査によると、
訓練済みの労働者は労働人口全体の5分の1にも満たなかった。
具体的には、15歳以上の労働者のうち、
専門技術の教育を受けていたのはわずか17.6%であった。
この数字は教育訓練省の統計とは大きく異なる。
労働者の能力を他国と比較すると、
ベトナムの労働者の能力はインドネシアの10分の1、
マレーシアの2分の1、
タイの30分の1、
日本に至っては135分の1という評価が下されている。
Ho Duc Hung博士-ホーチミン市経済大学教授は、
「賃金の安いからといって、質の低い労働者ばかりを集めて、
国の強みであると考えるのは間違いである。
企業の売上向上の決定的な要素は労働者の能力である。」と述べた。
世界経済フォーラムの2009―2010年国際競争指数に基づいた場合、
ベトナムは労働能力の面で、
133カ国の中で75位というランクであった。
それに対し、シンガポールは3位、
マレーシアは24位、
タイは36位という位置づけであった。
Christian H.M. Ketels博士-Harvard戦略・競争研究学院最高顧問は、
「将来に向け競争力を向上させよう」というセミナーの中で、
「近年、ベトナムは安価な労働力を利用し、
工業生産分野に大きく投資してきたが、
労働能力の低さから、付加価値の低い商品しか
生産出来ない状況に陥っている。
結果として、FDIも労働能力が低くても問題のない分野にしか
投資を行わない傾向となる。」と分析した。
また、2020年までのベトナム社会経済開発の方針は、
良質の工業発展国となることで、
産業・サービス分野でGDPの約85%を、
農作労働者が社会全体の約30%を占めるという目標を立てている。
2011年4月19日、ベトナム政府は
決定No. 579/2011/QĐ-TTGで、
2011~2020年の人材開発戦略に関する懸案を認可した。
その中では、今後、職業訓練済みの労働者比率を、
2015年までに55%に引き上げ、
2020年までには70%に到達させる、という目標を掲げている。
あいまいな線引きの人材養成機関
現在、教育訓練省と社会労働傷病兵職業訓練総局の
二つの機関が人材養成分野を担当している。
職業訓練総局が教育訓練省と社会労働省の
どちらに属した方が良いのかは、協議中の状態である。
現在、労働養成分野は上記2省間で役割を分担している。
教育訓練省は専修学校、高等専門学校、
大学、大学院での教育を担当、
社会労働省は一般の職業訓練学校の教育を担当している。
ただ、専修学校と職業訓練学校は、その違いが曖昧であり、
労働者の養成管理は複雑化している。
ベトナムは子供の教育を非常に重視している国であり、
教育には、国も大きく投資しており、
ODAも職業訓練プロジェクトに大きな支援を行っている。
しかし、最近の調査では、職業訓練への投資資金が、
効果的に活用されていない、という結果が出ている。
ベトナムは今、職業訓練プログラムを
再度検討する必要に迫られていると言える。
職業訓練は、企業や生産施設と間で
密接に繋がっていくことが、重要な要素である。
企業だけで生産技術を刷新しても、
学校ではそのようなことはできない。
学校と企業が連携する仕組みはまだ計画の段階で、
法律や政策の整備は遅れている。
統計総局によると、職業訓練を受けていない労働者の失業率は
2007年の70%から2009年には74.8%に上がった。
訓練済みの労働者の中で、
失業したのは、主に専修学校卒業生であった。
(2007年 10.7%、2009年 7.7%)
こうした数値が明らかになるにつれて、
悪質の労働者に対する雇用需要は徐々に減少しつつある。
Christian H.M. Ketels博士は、
「ベトナムは、新しい労働者養成用の対策を実施しなければ、
経済発展の推進には繋がらない。」と評価した。
ベトナムでは教育省が社会労働省とも協力し、
人材育成に努めているにもかかわらず、
質が落ちていると言われるのは、何故なのだろうか。
Dam Huu Dac副大臣は、労働者について、
労働力が豊富にあるといっても、主力は一般労働者であり、
労働者の65.3%は、専門的な養成をされていない状況である。
数字的には、職業訓練はばっちり?
教育訓練省は、この10年で専修学校や大学の卒業者数が、
大きく増加したと伝えている。
例えば2000年時点では、
全国の高等学校・大学卒業者数が893,754人、
専修学校卒業者が182,994人であったのに対し、
2010年には、それぞれ1,935,739人と685,163人に大幅増加となった。
また、社会労働傷病兵省職業訓練関連局は、
この10年で全国の職業訓練学校のネットワークも開発が進み、
段階的に、経済発展などの需要に対応できるようになってきているという。
職業訓練学校のネットワークは急速に開発が進んでいて、
2009年11月までに、全国で265校の専修学校、
107校の高等専門学校、
684校の職業訓練学校が設立され、
その他にも約1,000件の職業訓練センターが設置されている。
また、職業訓練の規模も急速に拡大されており、
2001年には887,300人であったのが、
2008年には153.8万人を養成するまでになった。
そのため、職業訓練を終了した労働者比率は、
2008年の26%から、2009年には28%に増加している。
また、上記数字とともに、
教育訓練に対する国家予算も大幅に増加している。
2001年この分野に対する予算は15.609兆VNDであったのが、
2010年には104.775兆VNDに増加している。
ただ、問題なのは職業訓練を受けた労働者の質である。
労働者の能力の実態
統計総局は、職業訓練を受けた労働者が、
国の発展需要に充分に対応できていない状況である、
との評価を下している。
労働者や就職状況に関する2009年の調査によると、
訓練済みの労働者は労働人口全体の5分の1にも満たなかった。
具体的には、15歳以上の労働者のうち、
専門技術の教育を受けていたのはわずか17.6%であった。
この数字は教育訓練省の統計とは大きく異なる。
労働者の能力を他国と比較すると、
ベトナムの労働者の能力はインドネシアの10分の1、
マレーシアの2分の1、
タイの30分の1、
日本に至っては135分の1という評価が下されている。
Ho Duc Hung博士-ホーチミン市経済大学教授は、
「賃金の安いからといって、質の低い労働者ばかりを集めて、
国の強みであると考えるのは間違いである。
企業の売上向上の決定的な要素は労働者の能力である。」と述べた。
世界経済フォーラムの2009―2010年国際競争指数に基づいた場合、
ベトナムは労働能力の面で、
133カ国の中で75位というランクであった。
それに対し、シンガポールは3位、
マレーシアは24位、
タイは36位という位置づけであった。
Christian H.M. Ketels博士-Harvard戦略・競争研究学院最高顧問は、
「将来に向け競争力を向上させよう」というセミナーの中で、
「近年、ベトナムは安価な労働力を利用し、
工業生産分野に大きく投資してきたが、
労働能力の低さから、付加価値の低い商品しか
生産出来ない状況に陥っている。
結果として、FDIも労働能力が低くても問題のない分野にしか
投資を行わない傾向となる。」と分析した。
また、2020年までのベトナム社会経済開発の方針は、
良質の工業発展国となることで、
産業・サービス分野でGDPの約85%を、
農作労働者が社会全体の約30%を占めるという目標を立てている。
2011年4月19日、ベトナム政府は
決定No. 579/2011/QĐ-TTGで、
2011~2020年の人材開発戦略に関する懸案を認可した。
その中では、今後、職業訓練済みの労働者比率を、
2015年までに55%に引き上げ、
2020年までには70%に到達させる、という目標を掲げている。
あいまいな線引きの人材養成機関
現在、教育訓練省と社会労働傷病兵職業訓練総局の
二つの機関が人材養成分野を担当している。
職業訓練総局が教育訓練省と社会労働省の
どちらに属した方が良いのかは、協議中の状態である。
現在、労働養成分野は上記2省間で役割を分担している。
教育訓練省は専修学校、高等専門学校、
大学、大学院での教育を担当、
社会労働省は一般の職業訓練学校の教育を担当している。
ただ、専修学校と職業訓練学校は、その違いが曖昧であり、
労働者の養成管理は複雑化している。
ベトナムは子供の教育を非常に重視している国であり、
教育には、国も大きく投資しており、
ODAも職業訓練プロジェクトに大きな支援を行っている。
しかし、最近の調査では、職業訓練への投資資金が、
効果的に活用されていない、という結果が出ている。
ベトナムは今、職業訓練プログラムを
再度検討する必要に迫られていると言える。
職業訓練は、企業や生産施設と間で
密接に繋がっていくことが、重要な要素である。
企業だけで生産技術を刷新しても、
学校ではそのようなことはできない。
学校と企業が連携する仕組みはまだ計画の段階で、
法律や政策の整備は遅れている。
統計総局によると、職業訓練を受けていない労働者の失業率は
2007年の70%から2009年には74.8%に上がった。
訓練済みの労働者の中で、
失業したのは、主に専修学校卒業生であった。
(2007年 10.7%、2009年 7.7%)
こうした数値が明らかになるにつれて、
悪質の労働者に対する雇用需要は徐々に減少しつつある。
Christian H.M. Ketels博士は、
「ベトナムは、新しい労働者養成用の対策を実施しなければ、
経済発展の推進には繋がらない。」と評価した。
サイゴンエコノミックスタイムズ 2011年7月27日