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2011年09月09日

進まぬ裾野産業開発 国際競争力にも影響大


外国企業はベトナムで自国の部品を調達したがっているが、逆にベトナムは
外部に対する現地調達率を上げたくないと考えており、機材の製造分野に
投資している外国企業は利益拡大をもたらす現地調達率のアップが必須。
数百万ドルの投資案件がベトナムから撤退している理由はこの矛盾にある。


近隣諸国との競争不可能

ベトナム裾野産業促進のため、長年にわたって苦労したOhnoは任期終了前に
坂場在ベトナム日本国大使に任務の引き継ぎを行った。坂場大使は日系企業の
現地調達率が低いため、主に外国から部品を輸入しているという情報を聞き、
非常にショックを受けていた。

坂場大使は「現在、製造業の部品70%~80%が外国から調達され、ベトナムの
裾野産業開発はまだ穴の中という弱い立場。ベトナムの裾野産業が抱える実情が
日本企業のベトナムへ参入に大きな影響を及ぼしている」と述べた。

現在、日本に限らず多くの外国企業が同じ理由でベトナムに進出していない。
他の国で大規模な投資計画を立てている外国企業は調査後にベトナムではなく
ベトナムの近隣諸国に投資することを決定した。

2010年末、アメリカのフォードはタイで自動車工場に4.5億USDの投資を決めた。
当時、フォードベトナムの社長だったMichael Pease氏はタイを選んだ理由を
タイでは部品調達が簡単にできる上にBOI(タイ投資促進機関)の積極的な協力が
得られ、投資関係の政策が充実しており、生産や輸出のためのインフラ整備が
良好な状態になっている。また、タイに投資すればアジア地域の全体に製品を
販売することができると説明した。

タイは現在「アジアのデトロイト」として知られており、自分たちの強みである
自動車産業を開発した。さらに、自動車産業の部品生産活動も発展している。
(デトロイトはアメリカのゼネラルモータースやフォード、クライスラーの
生誕地である)

10年前までフォードはタイ、ベトナム、インドをアジアの新たな投資先として
選んでいた。ベトナムでは1.02億USDの合弁会社を設立され、そのうち75%を
フォードが出資した。活動が開始されてから15年が経過したが、この合弁会社は
2009年の時点で1,000万USDしか増資できなかった。今後に向けた投資計画も
提案されたが、規模にして数百万USDにとどまっている。

フォードの新しい投資計画ではタイに3つの自動車工場を建設し、投資総額が
10億USD以上となっている。さらに新工場の部品調達で年間8億USDの出資を
行う計画も立てている。

この数年、タイは政治面で不安定だが大手自動車会社から注目されている。
フォード以外にも日本の三菱が、タイで第3番目の工場に4.5億USDの投資を
決定めた。この工場は環境に優しい自動車を製造するものであり、生産能力は
年間5万台である。第1回目の出庫は2012年を予定している。
スズキも先ごろタイに2.25億USDを投資し、同様の小型車を生産し始めており、
1台目が2012年3月に誕生する予定となっている。ベトナムには世界的に有名な
自動車会社が進出しているが投資の規模は大きくない。最近の15年で各外国の
自動車会社がベトナムに投資した額は約10億USDにとどまっている。
これを見てもベトナム自動車産業をはじめベトナム工業があまり開発できておらず
アジアの生産拠点となるのはまだ遠いのが分かる。

裾野産業開発は双方にとってメリット

専門家によると、裾野産業が弱いと外国大手企業の投資を誘致できない。
これは特に電化製品、IT、自動車産業などに顕著である。

早稲田大学のTran Van Tho教授によれば、裾野産業を開発しないと機材製造分野に
FDIを調達できない。この分野は東アジアで大きく発展し、ベトナムが比較的に
強い分野でもある。

FDIの増加に伴って裾野産業の現地企業が続々と誕生するのは普通のことである。
FDI企業と早期に連携できる企業はFDI企業から技術提携を受けて急速に発展する。

政府の政策待ち

裾野産業は現地企業の経営や技術改善とともに発展する。輸入品と競争できる
工業製品を調達するため、政府は裾野産業の開発促進の政策を実施することが
必要であり、外国の中小企業に対する投資環境の整備も行うべきである。

外国企業は政府の中長期的な裾野産業開発政策と営業環境の安定性を睨んだ上で
参入する。裾野産業が発展しないと大規模なFDI案件が参入できず、例え大規模な
投資案件があったとしても撤退する可能性がある。

先ごろ、ベトナム商工会議所の所長はベトナムからのFDI企業撤退に危機感を示した。

商工会議所はベトナムに工場を持つ多くの外国企業がアセアン・中国自由貿易協定の
税金減免制度を得て現地調達ルートを利用することができない場合は、裾野産業が
開発された国に移転する可能性が高いとしている。最近、多くの大手FDI企業が
工場を原料調達地域に移す傾向がある。

ベトナムで活動している外国の自動車製造企業によると、2018年現在で現地調達率が
60%に達しない場合は他の国に工場を移転させる可能性がある。この影響によって
ベトナムは現地組立産業を確保する場合に大きな圧力を受けている。

現在、ベトナムでは外国企業が自国部品をベトナムに導入しており、現地調達率を
アップしようという動きは無い。これらの企業がベトナムに投資する目的は安い賃金、
優遇的な課税制度、土地使用制度等のメリットを利用することであり、ベトナムに
大きな価値を残そうという気持ちは見えない。

しかし、FDI企業は逆の意見を述べた。機材製造分野に投資する外国会社にとっては
現地調達率が高ければ高いほど利益を得られる。これはベトナム人と政策策定者が
認識していることと違っている。

裾野産業が全面開発できれば外国FDI企業は積極的にベトナムに投資しないだろう。

InfoTV.net  2011年9月9日

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