ベトナム、急増する国の借金
ベトナムの公的負債には、沢山のリスクがある。
最大のリスクは、国家負債の活用効果が低いこと。
また、国営企業の負債の大半が、
公的負債として統計されていないことである。
Vneconomy.net 2011年10月3日
最大のリスクは、国家負債の活用効果が低いこと。
また、国営企業の負債の大半が、
公的負債として統計されていないことである。
昨今、支出が大きさに比べ、投資の効果が低いことから、
ベトナムの公的負債が急増している。
以下はアメリカのFulbright教育プログラム研究担当社長-
Vu Thanh Tu An氏に行ったインタビューである。
Q:ここ数年、経済成長が鈍化しているのに対し、
ベトナムの公的負債の増加はむしろ加速している。
この状況についてご説明頂きたい。
A:政府の投資が国家予算をオーバーする場合、
借金をすることは仕方がない。
近年、ベトナムの投資は平均GDPの40~42%を占めているが、
その中で、公的負債は約45%を占めている。
比GDPの投資額は大きく、長年に渡って連続して増加しているため、
国家予算の支出超過がGDPの5%を超えることとなる。
それによって、政府はまた借金しなくてはいけない状況となる。
それも公的負債が増加している原因である。
Q:負債額が未だ正確に統計されていないと言う意見がある。
それについてどう考えるか。
A:ベトナムの公的負債は、政府の借金のみを指している。
しかしm、国際条例での公的負債とは、国営企業の負債も含まれる。
多くの国では国営企業は極めて少ないため、
政府の負債イコール公的負債とみなされる。
ただベトナムのように国営企業が多くある国で、
国営企業の負債を公的負債の統計から外すのはまずい。
国営企業が最終的に返済できなかった場合、
政府が代わりに返済を請け負うのだから、統計に組み込む必要がある。
例えば、中央経済研究所によると、
国営企業100社のうち、今年、22社の負債が350兆VNDに達し、
GDPの17%相当となっている。
国営企業100社を合わせた投資総額は莫大で、
その大半が負債である。
つまりベトナムの場合、公的負債の統計は
実際の数字よりもかなり低くなっているのだ。
Q:公的負債を正確に統計した場合、
具体的にどういった危険があるか。
A:私個人の意見では、現在の公的負債のリスクはかなり大きい。
最大のリスクは、公的支出と公的投資の効果が低いこと。
また、国営企業の負債が統計に加えられていないことで、
起こりうるリスクを充分に管理できない状況にあること。
さらに、公的負債が急増し、同時に国家予算の支出超過も大きいこと。
これは「今日の借金が明日の予算の余剰で支払われる」
と言う公的負債の基本原理に違反している。
Q:ベトナムのような新興国では、借金の役割が大きいこともあるのでは。
A:新興国では、投資需要が大きい反面、節約が余りできないため、
借金するのは当然のことである。
ただ、どの様に行えば投資効果を高めることができ、
マクロ経済の安定化に、悪い影響を与えないかを、考える必要は充分にある。
マクロ経済の安定化については、
長年のベトナム財政政策に、基本的なミスがある。
それは「周期に合わせる」ことである。
例えば、各経済セクターが積極的に投資する場合、
政府は公的投資活動を減らすべきであるのに、
ベトナムでは政府も積極的な投資を行った。
そのため、経済成長が鈍化すれば、余剰金がなく、
政府が経済引上げ政策用の予算を出せない状況となっている。
国家予算の支出超過も段々大きくなり、
VND安、インフレ上昇といった状況を生んでいる。
Q:現時点で公的負債切り下げの結果についてどう評価するか。
A:政府には公的投資を切り下げする向きがあるが、
実際、公的投資額はまだ増加している。
統計総局のデータによると、
年初9ヶ月で、国家予算からの投資総額は131.364兆VNDに達し、
前年同期比で約24%増加となっている。
それは公的投資に関する規定がまだ緩いためだろう。
その他、多くの場合で、公的投資の切り下げが
優先順位に沿って行われない、という問題もある。
重要案件で完成間近の計画が、突然に投資中止となることもある。
Q:なぜそういった状況になるのだろうか。
A:優先順位が、利益関係や権力者の意見に基づいて決められるためである。
その中では、国営企業の利益が一番尊重されているためだ。
ベトナムの公的負債が急増している。
以下はアメリカのFulbright教育プログラム研究担当社長-
Vu Thanh Tu An氏に行ったインタビューである。
Q:ここ数年、経済成長が鈍化しているのに対し、
ベトナムの公的負債の増加はむしろ加速している。
この状況についてご説明頂きたい。
A:政府の投資が国家予算をオーバーする場合、
借金をすることは仕方がない。
近年、ベトナムの投資は平均GDPの40~42%を占めているが、
その中で、公的負債は約45%を占めている。
比GDPの投資額は大きく、長年に渡って連続して増加しているため、
国家予算の支出超過がGDPの5%を超えることとなる。
それによって、政府はまた借金しなくてはいけない状況となる。
それも公的負債が増加している原因である。
Q:負債額が未だ正確に統計されていないと言う意見がある。
それについてどう考えるか。
A:ベトナムの公的負債は、政府の借金のみを指している。
しかしm、国際条例での公的負債とは、国営企業の負債も含まれる。
多くの国では国営企業は極めて少ないため、
政府の負債イコール公的負債とみなされる。
ただベトナムのように国営企業が多くある国で、
国営企業の負債を公的負債の統計から外すのはまずい。
国営企業が最終的に返済できなかった場合、
政府が代わりに返済を請け負うのだから、統計に組み込む必要がある。
例えば、中央経済研究所によると、
国営企業100社のうち、今年、22社の負債が350兆VNDに達し、
GDPの17%相当となっている。
国営企業100社を合わせた投資総額は莫大で、
その大半が負債である。
つまりベトナムの場合、公的負債の統計は
実際の数字よりもかなり低くなっているのだ。
Q:公的負債を正確に統計した場合、
具体的にどういった危険があるか。
A:私個人の意見では、現在の公的負債のリスクはかなり大きい。
最大のリスクは、公的支出と公的投資の効果が低いこと。
また、国営企業の負債が統計に加えられていないことで、
起こりうるリスクを充分に管理できない状況にあること。
さらに、公的負債が急増し、同時に国家予算の支出超過も大きいこと。
これは「今日の借金が明日の予算の余剰で支払われる」
と言う公的負債の基本原理に違反している。
Q:ベトナムのような新興国では、借金の役割が大きいこともあるのでは。
A:新興国では、投資需要が大きい反面、節約が余りできないため、
借金するのは当然のことである。
ただ、どの様に行えば投資効果を高めることができ、
マクロ経済の安定化に、悪い影響を与えないかを、考える必要は充分にある。
マクロ経済の安定化については、
長年のベトナム財政政策に、基本的なミスがある。
それは「周期に合わせる」ことである。
例えば、各経済セクターが積極的に投資する場合、
政府は公的投資活動を減らすべきであるのに、
ベトナムでは政府も積極的な投資を行った。
そのため、経済成長が鈍化すれば、余剰金がなく、
政府が経済引上げ政策用の予算を出せない状況となっている。
国家予算の支出超過も段々大きくなり、
VND安、インフレ上昇といった状況を生んでいる。
Q:現時点で公的負債切り下げの結果についてどう評価するか。
A:政府には公的投資を切り下げする向きがあるが、
実際、公的投資額はまだ増加している。
統計総局のデータによると、
年初9ヶ月で、国家予算からの投資総額は131.364兆VNDに達し、
前年同期比で約24%増加となっている。
それは公的投資に関する規定がまだ緩いためだろう。
その他、多くの場合で、公的投資の切り下げが
優先順位に沿って行われない、という問題もある。
重要案件で完成間近の計画が、突然に投資中止となることもある。
Q:なぜそういった状況になるのだろうか。
A:優先順位が、利益関係や権力者の意見に基づいて決められるためである。
その中では、国営企業の利益が一番尊重されているためだ。
Vneconomy.net 2011年10月3日