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2011年10月06日

日本人目線で見るベトナム経済と証券


ベトナム証券と東南アジア他国の証券PERを比較すると、ベトナム市場は
投資家にとって極めて魅力的である。


StockVoiceTV 、Yahoo!Finance 、MorningStar 、MoneyPost 等のサイトでは
常連として知られるベトナム経済証券専門家のImai Masayuki氏は以下のように
ベトナム経済と証券状況について分析した。

A. ベトナム経済と証券の概要

日本経済は成長緩慢、労働人材不足、人口の老化等の様々な大問題に直面しているが、
ベトナムの経済は逆にGDPの成長が高く安定しており、労働人材は若く裕福である。
そのため、日本の投資家は自国の証券や東南アジア他国の証券ではなくベトナムの
証券を選択している。

現在、ベトナムの証券市場は日本の投資家にとって中国市場に次いで人気が高い。

2007年には、フジテレビがベトナム証券市場の概要に関する番組を放送した。
また、それ以前に日本の雑誌、新聞では次々とベトナム証券市場の魅力が宣伝された。
このことで「ベトナム証券」のブームが起きて多くの日本人が高い関心を持っている。

日本の投資資金がベトナム証券市場に大量導入されたため、VN-Indexが高騰した。

「自分はベトナムが好きだからベトナムに投資する」というのがベトナムを訪れる
日本人の一般的な考え方である。

今のベトナム経済状況は1950年~1960年代の日本経済や1990年代の中国経済との
共通点が多い。その証拠としてベトナムは積極的な外国投資の誘致を実施しており、
工業化も進められている。ベトナムの所得が一人当たりで1,000USDを超えた年は
2008年、日本では1966年、中国が2001年である。ベトナム経済は過去の日本や
中国の経済状況と同様のプロセスをたどる可能性が高いため、そこからベトナム経済と
証券市場の成長を予想できるだろう。

ベトナムの経済構造も2002年から農業から工業に移り始め、現在では工業分野での
生産がGDP全体の25%を占めている。このような経済構造の移行はベトナムに進出した
外国企業の生産活動による貢献も大きい。ベトナムでは2010年末までで、940社の
日本企業が工場を建設した。その中にはパナソニック、キャノン、ホンダ等の
大手企業も含まれている。

しかし、まだベトナムは部品生産ができず、多くの部品と資材を中国等の国からの
調達に依存するため、超過輸入額が大きくなっており、特に中国との貿易では
多額の赤字となっている。

現在、徐々に日本の部品生産会社が中国からベトナムへと工場を移し、ベトナムの
裾野産業開発に貢献しており、ベトナムのアドバンテージが明らかになってきている。
ベトナムの有利な点は中国と比較して賃金が安く、巨大な消費市場である中国の隣に
位置しているということである。

B. ベトナムの経済現状(2011年9月)

現在、ベトナム経済における最も大きな3つの問題は、高インフレ、高金利、そして
貿易赤字である。

1. 高いインフレ上昇率

8月のCPI変動を見ると、ベトナムのインフレは上限一杯まで上昇し、徐々に下降を
示している。具体的に言うと8月のCPIは前年同期より23.02%を上昇したが、前月から
0.93%の上昇にとどまっており、2011年で最低となっている。これは、ベトナム政府の
インフレ抑制対策が効果をあげている証拠である。

2. 銀行金利の上昇

Nguyen Van Giau元国家銀行総裁の「厳しい金融政策の実施」とは逆の観点を持っている
Nguyen Van Binh新総裁は金利引き下げの対策を実施し、調達金利を年間14%、貸付金利を
年間17%~19%に下げる。この「緩やかな金融政策」に市場は短期間で反応を示した。

だが、多くの生産企業はこの優遇的な金利制度で借金できず、以前のまま月21%の金利を
支払わなければならない現状がある。銀行のVIPだけがこの金利制度の恩恵を受けられる。
このような現象には二つの理由がある。一つは金利の引き下げ前に銀行が高金利で資金を
調達し、この資金を完全に貸し付けていないことだ。そして二つ目は金利が14%に下がると
預金が少なくなり、逆に引き出しを希望する人が増えるため、予備資金が減るのである。

3. 貿易赤字(超過輸入)

2011年7月、28ヶ月連続の超過輸入だったベトナム貿易が黒字に転じた。これはベトナムの
経済にとって明るい要素だが、この理由は金の輸出成績である。金の輸出を除けば輸出額は
輸入額と変わらない。8月までで金の購入需要が増加を示したため、ベトナムは金の輸入を
追加した。しかし、購入時点では金の価格が世界レベルで高かったため、ベトナムは高額で
輸入した。これにより、ベトナムは今後引き続き超過輸入という「病気」に直面しなくては
ならなくなった。ただ、輸出額と輸入額の差は徐々に狭まってきている。

他にも、ベトナムで活動する外国企業の恒常的大量な機材の輸入が超過輸入に加担している。

C. ベトナム証券市場 2011年の状況

ベトナム証券市場の引き上げ

ベトナム政府は「インフレを抑制する厳格な財政政策」から「経済発展を中心とした政策」に
転換した。ベトナム経済を発展させる多くの積極的な政策が実施される予定となっている。
その中では証券取引に関する政策も実施される予定となっており、8月6日にはベトナムの
国会が2011年8月から2012年末までに、配当に対する税金を5%から0%に引き下げるとし、
証券取引税金の50%引き下げを決定した。

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世界の証券市場は暴落、ベトナムは上昇

2011年8月の経済統計によると、アメリカでの経済状況とヨーロッパの公的債務の問題は
全世界の証券市場に大きな影響を与えた。現時点でベトナムの証券市場は外国市場から
大きな影響を受けているが、今回は違うようだ。ベトナムの証券市場を引き上げた要素は
税金の削減、金利上限制度(14%)の適用、インフレの抑制の結果の3つである。

また、東南アジア諸国の証券と比べるとベトナム証券のPERは約10%だが、インドネシア、
マレーシア、フィリッピンでは1.5倍である。ベトナム証券は20%~50%安くなっており、
今後、上昇する可能性が高い。

CafeF.vn  2011年10月5日

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