« 好調ベトナム旅行分野 年次計画達成間近 | メイン | 丸紅、ベトナムに法人設立 »

2011年12月05日

ベトナム経済 翌年に持ち越される3課題


2011年に入って、ベトナム経済は様々な課題に直面している。
インフレの上昇、マクロ経済の不安定等々。


その状況に踏まえて政府は、
インフレ抑制・マクロ経済安定化・
社会安全保障に関する決定(決定No.11)を発布した。

これに続き、国家銀行は厳しい財政政策を実施、
資金貸付成長率を減らし、不動産や証券に対する資金貸付を制限した。
これら対策の影響で、銀行金利は高く引きあがり、
企業、不動産市場、証券市場には消極的な影響を与えることになった。

また政府は、インフレ抑制、マクロ経済安定化のため、
対策にもかなり力を入れたが、
2011年の営業環境は良くないと評価された。
以下は2011年の国内営業環境に対する
外国企業と国内企業の評価である。
各企業が別々の角度で評価することで、
2011年のベトナム営業環境に対する客観的な意見が表れている。

外国企業の評価:悪化、弱体化の一途

営業環境は、経済の競争力の表れである。
競争力こそ営業環境の現状を反映するものだ。

世界経済フォーラム(WEF)の競争力に関する3指数、
(基礎指数、効果アップ指数、改善指数)を柱に、
ベトナムの競争力を評価してみよう。
基礎指数は、体制、インフラ整備、マクロ経済、
基本教育・医療の4要素で構成される。
効果アップ指数は、ハイレベルの教育、市場の販売効果、
労働市場の効果、金融市場開発、技術整備、市場の需要の6要素。
改善指数は、改善と営業能力の2要素で構成されている。

それで見ると、2011年ベトナムの競争力は、
前年比6ランクダウンとなる。
中でも、改善指数が最も大きく下がり、
2010年の53位から今年は75位に落ちている。
この指数は、営業ネットワーク、裾野産業、
営業能力、営業戦略の質を反映している。
その他、効果アップ指数に対する評価も大きく落とし、
57位から66位に下がった。

改善と営業能力の指数も同じく落とし、
営業能力は23位を下回り、改善も17位を下回った。
また、労働市場に対する評価も15位、
技術に対する評価も14位を下回り、それぞれ前年より悪化する結果となった。

つまり、2011年のベトナム経済競争力は
営業環境の実状を正しく反映しており、
他の国と比べてもかなり弱くなっていると言える。

ベトナムの営業環境に対する世界銀行とIFCの評価は、
「2012年営業環境:健全な環境で企業経営を」
と言う報告書の中に掲載されている。
それによると、ベトナムは営業環境改善のために、
努力はしているものの、
ベトナム経済が2010~2011年にかけて
世界183カ国中98位となり、前年を8ランク下回る結果となった。
環境は徐々に改善されてきているものの、
他の国の改善スピードがベトナムを上回るため、
比較的時代遅れとなってしまっている。
特に、納税指数と清算能力が無くなった企業に対する処理指数が
一番大きく下がった。

つまり、世界銀行とIFCの報告では、
ベトナムの営業環境と競争能力が世界的にみれば弱くなっている、
という評価であった。

ベトナム企業:見通し暗い

2011年ベトナムはインフレが上昇、金利も高く、
借入が困難になっているため、
経営状況の見通しが暗いと答えた企業は40%、
従来と変わらないと答えた企業は44%、
良いと答えた企業は16%、という結果となった。

ただ、2012~2013年の経営環境の展望について、
良くなると考える企業の数は2倍増加となっており、
一方悪化すると答えた企業は16%となった。

政府管理分野と企業運営分野に関する企業の評価を見ると、
企業の生産販売活動に関する政府規定を
評価した企業は、全体の22%を占めた。
ただ、マクロ経済、インフレ抑制、
為替レートのコントロールに関する政府の動きについては、
44.5%の企業が弱いと評価した。

また、資金供給源の確保、USD購入、
土地の確保については、多くの企業が困難である、している。
それは2011年の経済状況をよく反映しており、
特に金利と外貨の影響を受けている。

金利についは、年初にインフレが上昇し、
政府が決定No.11を出した。
厳しい金融政策が実施され、資金貸付が制限され、
不動産投資に対する資金貸付が困難になった。
そのため、金利が高く上げられ、借入が非常に難しくなり、
企業は資金調達に苦慮することとなった。

外貨状況については、2011年、外貨市場は大きく変動し、
ある時、国家銀行がブラックマーケットの活動を抑制するため、
行政的対策を実施した。
制限のある外貨資金源、銀行のUSD/VNDの為替レートが
ブラックマーケットのレートより低くなり、
ブラックマーケットでの取引が厳しく監査されることで、
企業が外貨資金源を獲得するのはさらに困難となった。

その他、行政手続を改善不十分と評価した企業が37.8%を占め、
反対に良いと評価した企業は17.8%であった。
その他、交通インフラ整備の改善、企業の権利に関する政策、
資金源の確保、統計データの透明性の改善、
法律の実施状況に対しては、「非常に悪い」と評価された。

2011年の経済を見ると、多くの企業が、
ベトナム経済成長と経営環境に対して大きな影響を及ぼしたものとして、
インフレ上昇(32%)、
資金貸付のリスクと銀行の活動(13%)、
政府政策とマクロ経済の運営(18%)、
の3つの課題を挙げている。
これらの課題は、2012年以降も難問として繰り越しされる見通しだ。



Vef.vn  2011年12月5日

« 好調ベトナム旅行分野 年次計画達成間近 | メイン | 丸紅、ベトナムに法人設立 »

    ・本資料に記載された情報の正確性・安全性を保証するものではなく、
     万が一、本資料に記載された情報に基づいて
     皆さまに何らかの不利益をもたらすようなことがあっても 、一切の責任を負いません。
    ・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、
     投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。
    ・本資料の全部または一部を無断で複写・複製することを禁じます。

運営会社編集方針お問い合わせプライバシーポリシー