世界企業で活躍するベトナム人CEO
昨今では、世界的大企業で活躍するベトナム人も増えてきた。
以下に挙げる人物は、中でもCEOとして辣腕を振るってきた、
ベトナムを代表する企業人である。
CafeF.vn 2012年1月30日
以下に挙げる人物は、中でもCEOとして辣腕を振るってきた、
ベトナムを代表する企業人である。
まず、Intelグループが10億USD規模のベトナム投資を行う際、
大きな役割を担ったThan Trong Phuc CEO、
約20年間に渡って、PepsiCoベトナムと同インドシナを
運営してきたPham Phu Ngoc Trai CEO、
Yahoo!のベトナム参入に大きく貢献したVu Minh Tri CEO。
彼らのこれまでの経歴と、現在を簡単に紹介したい。
Intel大規模投資の立役者
Than Trong Phuc氏はIntel工場の10億USD投資計画で、
一躍ベトナムビジネス業界でも、知られるようになった人物である。
Phuc氏はアメリカで約14年間働き、
その後、Intelベトナムとは、約10年に渡る付き合いを続けてきた。
Intel離職時、Phuc氏がIntelベトナムの営業PR担当のCEOであった。
2009年、Phuc氏は正式にIntelを辞め、
VinaCapitalのDFJV技術投資ファンドの専務取締役となった。
Phuc氏は、冗談でよく、
DFJVのCEOは「ヴァージョン2.0」、
Intelは「ヴァージョン1.0」と言っているという。
IntelベトナムのCEO就任時、Phuc氏は、
「今回の就任は自分にとって、幸運なチャンスだ。」と発言した。
帰国後最初の5年間(2000年~2005年)で、
Phuc氏指導のもと、Intelベトナムの売上は5倍増となった。
もちろん、国内でネットブームが起きたことも、
増加の大きな要因ではある。
2006年2月28日、Phuc氏の努力で、
Intelはベトナムに工場を建設することを決定した。
Intelの半導体チップ製造工場が、
ホーチミンハイテクパークで建設されたのだ。
4年後(2009年10月1日)、Phuc氏はIntelを辞め、DFJVに入った。
理由は「私はこれ以上Intelに貢献できない。
後任に道を譲った方が良い。アメリカではCEOの任期は2~3年が普通で、
それなのに、私は約9年もCEOとして勤めていた。
そのことがむしろ例外なのだ。」と語った。
この元IntelCEOは、ベトナム政府関係機関と特定のパイプを持っており、
さらに企業、情報通信業界等とも関係を持ち、
理論から実現までの経営の仕組みも熟知している。
Phuc氏は「Intelが国内売上目標を10億USDに設定していることについて、
まだ懸念している。この目標を達成するということは、
ベトナム家庭の半分にパソコンが普及するとうことである。
これが実行できるのは、少なくとも10年先のことだろう。」と述べた。
人材が、技術製造業からVenture Capitalに移ることは、
現在の一般的な傾向である。
技術を良く知っている人間は、ファンド運営者として企業の構造、
特に中小企業の構造を研究しやすい。
そのため、適切な投資戦略を提案することができる。
また、Intelのパートナーは、
ソフトウェアとハードウェアの会社しかないが、
DFJVの活動範囲はより広い。
DFJVの運営者は、複数の分野で活動する企業と、接する機会がある。
2006年から活動しているDFJVは、
当初の運営資金3,200万USDであったが、
現在、DFJVが技術分野、通信分野等の企業10社に投資を行っている。
例えば、Gapit(携帯電話のサービス提供会社)、
VON(TinNhanh.com.vn、YuMe.vn、Kiemviec.comの
3つのサイトを運営しているオンライン情報ゲート、
Chicilon Media (屋外宣伝会社)、
mobizCOM (携帯電話のサービス提供会社)、
Yeah1! TV (青少年対象のテレビチャンネル)等がある。
Phuc氏は「我々は、1社当たり100~200万USDを投資している。
早ければDFJVは、2012年から投資品目を売り出すことができる。」
と述べた。
Phuc氏がDFJVに来て2年、
技術業界内のIntelにおけるPhuc氏の成功の記憶は、
まだ色褪せない。
長期的な人材育成を夢見て
Phuc氏がIntel離職時に達成できなかった目標は、
売上10億USDだが、
Pham Phu Ngoc Trai氏にとっては、
PepsiCoの人材育成が、使命として残されている。
Trai氏にとって、優秀な若手の育成が本人の夢であり、使命でもある。
Trai氏の希望は、今後5~10年のうちに、
国内ハイレベルのマネジメントを、
30代のベトナム人が担うこと、である。
Trai氏はこれまで、PepsiCo会長兼PepsiCo東南アジア専務社長として勤務し、
PepsiCoの役員を務めた初のベトナム人となった。
在籍約20年の間、Trai氏はPepsiCoベトナムを育て上げ、
PepsiCo Globalの最高のDMK賞を授与された。
DMK賞はDonald M. Kendall-PepsiCo会長兼創立株主により
作られたものである。
2010年、Trai氏は定年を前にして、
PepsiCoを辞めて、ベトナムの民間企業コンサルティングの仕事に移った。
Trai氏は、国際営業コンサルティング会社
(Global Integration Business Consultants - GIBC) を設立し、
ベトナムの人材育成という夢の実現にまい進している。
これまで、Trai氏が抱えてきた不満の1つとして、
PepsiCoのベトナム人の優秀人材の育成について、というのがある。
CEOとして勤めていた時期、ハイポジションに就く
ベトナム人と外国人の割合は2:8であった。
Trai氏から見れば、外国人は確かに専門能力が高い。
しかし、ベトナム人であれば、自国の文化・政治・社会・
人々の心の動きが把握しやすい。
ベトナムで仕事をする以上、
国内の優秀な人材を育成するべきである、との思いは強まる一方だった。
PepsiCoが優秀な人材育成ができない理由について、
Trai氏は、近年のベトナム経済の発展が
早すぎることが原因である、と考えている。
市場経済政策の実施当初、
ベトナムに進出したFDI企業は、
現地人材の育成に大きく貢献してきた。
ただその後、証券市場と不動産市場が一気に過熱し、
ベトナム人の目はそれらの分野に向けられた。
Trai氏は「証券会社、不動産会社は、
FDI企業の優秀な人材をハンティングするために、
高い報酬を支払う傾向が強まった。
結果は、FDIセクターで、ハイレベルの人材が
大きく不足する状況となった。」と述べた。
Yahoo!ベトナム導入の功労者
上記のPhuc氏やTrai氏と比べると、Vu Minh Tri氏はまだ若い。
しかしその功績は大きく、Sony Ericsson、Yahoo!等の
海外大手企業での勤務経験を積んでいる。
Tri氏はYahoo!のベトナム参入に大きく貢献しており、
100%外国インターネット企業の設立ライセンス取得に初めて成功した。
活動開始から2年、Yahoo!Vietnamは
目標として売上300%成長を掲げるまでになり、
Tri氏は2010年にYahoo!を辞めて、
QualcommにインドシナCEOに就任した。
2010年4月、Tri氏とYahoo!の間で、新契約に関する問題が発生した。
主な理由は地域担当役員の変更により、
ベトナムでのYahoo!の投資戦略について意見が統一されなくなったというもの。
以前、アジア地域の元役員メンバーが、
数百万USDをベトナムの複数サイトに投資する計画に合意していた。
しかし、現在の役員がそれに反対意見を示したのだ。
時を同じくして、Qualcommがベトナムとインドシナの
インターネットと3G技術分野を開発できるCEOを募集した。
Sony EricssonとYahoo!の携帯電話と
インターネット営業の経験を持つTri氏は、
すかさず、Qualcommに移ることを決めた。
Tri氏は「Yahoo!の目標、売上300%成長がまだ達成されていないこの時期に、
Yahoo!を辞めることは、自分にとっても心残りだ。
しかし、CEOとして勤務した2年間で、
Yahoo!がオンライン広告市場で占める割合は50%にまでなった。」と述べた。
Phuc氏はIntelを辞めて投資ファンドに入り、
Trai氏は自分の会社を立ち上げるため、PepsiCoを辞めた。
一方Tri氏は、逆に海外企業で勤め続けている。
インドシナ地域のCEOとして、
ベトナムで3G携帯電話の技術を開発、その1年6ヶ月後、
Tri氏は、タイ市場も新たに担当することになった。
Tri氏によると、Qualcommは、
ベトナムを2012年、世界の6重点市場の1つに入れることを決定した、とのこと。
ベトナムが重点市場になることには、2つの理由がある。
まず、英国のWireless Intelligence会社の調査によると、
ベトナムで3G利用者が2011年初めの250万人から、
2011年末に2,200万人を増えたこと。
また、スマートフォン利用者も2011年初めの7%から、
年末には12%に増えたことが挙げられている。
そして、3Gのインフラ整備が充分にできたこと。
Qualcommの人材も良く育成されたことも評価の対象となった。
大きな役割を担ったThan Trong Phuc CEO、
約20年間に渡って、PepsiCoベトナムと同インドシナを
運営してきたPham Phu Ngoc Trai CEO、
Yahoo!のベトナム参入に大きく貢献したVu Minh Tri CEO。
彼らのこれまでの経歴と、現在を簡単に紹介したい。
Intel大規模投資の立役者
Than Trong Phuc氏はIntel工場の10億USD投資計画で、
一躍ベトナムビジネス業界でも、知られるようになった人物である。
Phuc氏はアメリカで約14年間働き、
その後、Intelベトナムとは、約10年に渡る付き合いを続けてきた。
Intel離職時、Phuc氏がIntelベトナムの営業PR担当のCEOであった。
2009年、Phuc氏は正式にIntelを辞め、
VinaCapitalのDFJV技術投資ファンドの専務取締役となった。
Phuc氏は、冗談でよく、
DFJVのCEOは「ヴァージョン2.0」、
Intelは「ヴァージョン1.0」と言っているという。
IntelベトナムのCEO就任時、Phuc氏は、
「今回の就任は自分にとって、幸運なチャンスだ。」と発言した。
帰国後最初の5年間(2000年~2005年)で、
Phuc氏指導のもと、Intelベトナムの売上は5倍増となった。
もちろん、国内でネットブームが起きたことも、
増加の大きな要因ではある。
2006年2月28日、Phuc氏の努力で、
Intelはベトナムに工場を建設することを決定した。
Intelの半導体チップ製造工場が、
ホーチミンハイテクパークで建設されたのだ。
4年後(2009年10月1日)、Phuc氏はIntelを辞め、DFJVに入った。
理由は「私はこれ以上Intelに貢献できない。
後任に道を譲った方が良い。アメリカではCEOの任期は2~3年が普通で、
それなのに、私は約9年もCEOとして勤めていた。
そのことがむしろ例外なのだ。」と語った。
この元IntelCEOは、ベトナム政府関係機関と特定のパイプを持っており、
さらに企業、情報通信業界等とも関係を持ち、
理論から実現までの経営の仕組みも熟知している。
Phuc氏は「Intelが国内売上目標を10億USDに設定していることについて、
まだ懸念している。この目標を達成するということは、
ベトナム家庭の半分にパソコンが普及するとうことである。
これが実行できるのは、少なくとも10年先のことだろう。」と述べた。
人材が、技術製造業からVenture Capitalに移ることは、
現在の一般的な傾向である。
技術を良く知っている人間は、ファンド運営者として企業の構造、
特に中小企業の構造を研究しやすい。
そのため、適切な投資戦略を提案することができる。
また、Intelのパートナーは、
ソフトウェアとハードウェアの会社しかないが、
DFJVの活動範囲はより広い。
DFJVの運営者は、複数の分野で活動する企業と、接する機会がある。
2006年から活動しているDFJVは、
当初の運営資金3,200万USDであったが、
現在、DFJVが技術分野、通信分野等の企業10社に投資を行っている。
例えば、Gapit(携帯電話のサービス提供会社)、
VON(TinNhanh.com.vn、YuMe.vn、Kiemviec.comの
3つのサイトを運営しているオンライン情報ゲート、
Chicilon Media (屋外宣伝会社)、
mobizCOM (携帯電話のサービス提供会社)、
Yeah1! TV (青少年対象のテレビチャンネル)等がある。
Phuc氏は「我々は、1社当たり100~200万USDを投資している。
早ければDFJVは、2012年から投資品目を売り出すことができる。」
と述べた。
Phuc氏がDFJVに来て2年、
技術業界内のIntelにおけるPhuc氏の成功の記憶は、
まだ色褪せない。
長期的な人材育成を夢見て
Phuc氏がIntel離職時に達成できなかった目標は、
売上10億USDだが、
Pham Phu Ngoc Trai氏にとっては、
PepsiCoの人材育成が、使命として残されている。
Trai氏にとって、優秀な若手の育成が本人の夢であり、使命でもある。
Trai氏の希望は、今後5~10年のうちに、
国内ハイレベルのマネジメントを、
30代のベトナム人が担うこと、である。
Trai氏はこれまで、PepsiCo会長兼PepsiCo東南アジア専務社長として勤務し、
PepsiCoの役員を務めた初のベトナム人となった。
在籍約20年の間、Trai氏はPepsiCoベトナムを育て上げ、
PepsiCo Globalの最高のDMK賞を授与された。
DMK賞はDonald M. Kendall-PepsiCo会長兼創立株主により
作られたものである。
2010年、Trai氏は定年を前にして、
PepsiCoを辞めて、ベトナムの民間企業コンサルティングの仕事に移った。
Trai氏は、国際営業コンサルティング会社
(Global Integration Business Consultants - GIBC) を設立し、
ベトナムの人材育成という夢の実現にまい進している。
これまで、Trai氏が抱えてきた不満の1つとして、
PepsiCoのベトナム人の優秀人材の育成について、というのがある。
CEOとして勤めていた時期、ハイポジションに就く
ベトナム人と外国人の割合は2:8であった。
Trai氏から見れば、外国人は確かに専門能力が高い。
しかし、ベトナム人であれば、自国の文化・政治・社会・
人々の心の動きが把握しやすい。
ベトナムで仕事をする以上、
国内の優秀な人材を育成するべきである、との思いは強まる一方だった。
PepsiCoが優秀な人材育成ができない理由について、
Trai氏は、近年のベトナム経済の発展が
早すぎることが原因である、と考えている。
市場経済政策の実施当初、
ベトナムに進出したFDI企業は、
現地人材の育成に大きく貢献してきた。
ただその後、証券市場と不動産市場が一気に過熱し、
ベトナム人の目はそれらの分野に向けられた。
Trai氏は「証券会社、不動産会社は、
FDI企業の優秀な人材をハンティングするために、
高い報酬を支払う傾向が強まった。
結果は、FDIセクターで、ハイレベルの人材が
大きく不足する状況となった。」と述べた。
Yahoo!ベトナム導入の功労者
上記のPhuc氏やTrai氏と比べると、Vu Minh Tri氏はまだ若い。
しかしその功績は大きく、Sony Ericsson、Yahoo!等の
海外大手企業での勤務経験を積んでいる。
Tri氏はYahoo!のベトナム参入に大きく貢献しており、
100%外国インターネット企業の設立ライセンス取得に初めて成功した。
活動開始から2年、Yahoo!Vietnamは
目標として売上300%成長を掲げるまでになり、
Tri氏は2010年にYahoo!を辞めて、
QualcommにインドシナCEOに就任した。
2010年4月、Tri氏とYahoo!の間で、新契約に関する問題が発生した。
主な理由は地域担当役員の変更により、
ベトナムでのYahoo!の投資戦略について意見が統一されなくなったというもの。
以前、アジア地域の元役員メンバーが、
数百万USDをベトナムの複数サイトに投資する計画に合意していた。
しかし、現在の役員がそれに反対意見を示したのだ。
時を同じくして、Qualcommがベトナムとインドシナの
インターネットと3G技術分野を開発できるCEOを募集した。
Sony EricssonとYahoo!の携帯電話と
インターネット営業の経験を持つTri氏は、
すかさず、Qualcommに移ることを決めた。
Tri氏は「Yahoo!の目標、売上300%成長がまだ達成されていないこの時期に、
Yahoo!を辞めることは、自分にとっても心残りだ。
しかし、CEOとして勤務した2年間で、
Yahoo!がオンライン広告市場で占める割合は50%にまでなった。」と述べた。
Phuc氏はIntelを辞めて投資ファンドに入り、
Trai氏は自分の会社を立ち上げるため、PepsiCoを辞めた。
一方Tri氏は、逆に海外企業で勤め続けている。
インドシナ地域のCEOとして、
ベトナムで3G携帯電話の技術を開発、その1年6ヶ月後、
Tri氏は、タイ市場も新たに担当することになった。
Tri氏によると、Qualcommは、
ベトナムを2012年、世界の6重点市場の1つに入れることを決定した、とのこと。
ベトナムが重点市場になることには、2つの理由がある。
まず、英国のWireless Intelligence会社の調査によると、
ベトナムで3G利用者が2011年初めの250万人から、
2011年末に2,200万人を増えたこと。
また、スマートフォン利用者も2011年初めの7%から、
年末には12%に増えたことが挙げられている。
そして、3Gのインフラ整備が充分にできたこと。
Qualcommの人材も良く育成されたことも評価の対象となった。
CafeF.vn 2012年1月30日