ベトナムハイテク分野の成長と課題
政府は現在、ハイテク分野への大規模投資を奨励している。
中には成功した案件もあるが、
投資許可を回収され、中止となった案件も少なからずある。
こうした事実を踏まえ、政府は今後、
国内ハイテク分野への投資調達活動に対して、
慎重に審査すべきである、との声が大きくなっている。
Vef.vn 2012年1月30日
中には成功した案件もあるが、
投資許可を回収され、中止となった案件も少なからずある。
こうした事実を踏まえ、政府は今後、
国内ハイテク分野への投資調達活動に対して、
慎重に審査すべきである、との声が大きくなっている。
相次ぐ投資計画の中止
2011年の年初、アメリカFirst Solarグループの太陽電池生産工場が、
ホーチミンに建設された。当初の投資額は12億USDで、
2012年より稼働予定となっていた。
ただ、投資活動は8ヵ月後に中止となった。
First Solar は世界的な太陽エネルギー利用の
需給バランスが取れないことから、生産中止に追い込まれたのだ。
投資家側は、国際市場のニーズの変動を見ながら、
活動再開を検討する、としている。
中止されている間、First Solarは工場だけは竣工させ、
職員の求人と設備の輸入は、活動再開確定後、行う予定にしている。
この計画が中止になった原因としては、
First Solarが、太陽エネルギーに対する
国際市場のニーズを見誤ったことが挙げられている。
同社は、太陽電池が世界的にブームになると考え、
ベトナムでの工場建設を決定したものの、
予想していたほど、ニーズの急激な上昇は見られなかったようだ。
また、同社が採用した技術が、最新ではなかったことも、
計画中止の一因らしい。
First Solarの計画再開がいつになるかは、全くの白紙である。
ベトナムにとっては失望を隠せない。
その他、Thu Thiemソフトウェアパーク建設計画も、
投資許可発給から2年後、回収されてしまった。
この計画は、当初投資額は12億USDで、
完成すれば、ASEAN最大ソフトウェアパークとなるはずであった。
予定通り完成できれば、2012年から稼働予定であった。
しかし、この計画の投資ライセンスは、2011年末に回収されてしまった。
その理由は、活動の実施が遅いこと、
特に土地使用料(約100万USD)と
発生した金利の清算が遅いこと、であった。
ある情報では、海外の財政状況の悪化が影響している、との声もある。
成功例もあるにはある
一方で、成功裏に実施された案件もある。
例えば、Samsung Electronics Vietnam有限会社(SEV)は、
2009年10月28日、第1工場を稼働させた。
この工場の投資総額は7億USD、
国内最大規模の携帯電話生産工場であり、
世界でも第2位の大規模工場となっている。
この工場で生産された製品は、世界中に供給されている。
現在、SEV製品の95%はヨーロッパとアジア各国に輸出されている。
その中で、Galaxy SII等の携帯電話の輸出率は99%で、
端末の加工・組立だけではなく、
SEVが30件のアクセス計画を実行し、
それらの投資額は2.5億USDに上った。
現在、Samsungはアクセス会社200社を集める計画を進めている。
その中の50%がベトナムの会社である。
これらの会社がSEV工場から部品を調達することになる。
先日、Samsung Vina会社は、
Bac Ninh省Yen Phong工業団地に、携帯電話機生産用の第2工場を竣工させた。
この工場の生産能力を合わせると、
2012年のSEVの生産能力は、1億台に達すると予測されている。
前年Samsungの輸出総額は50億USDに達した。
Samsungは既に、投資額を6.7億USDから15億USDに
増資することを決定しており、
ベトナムの電化製品分野における最大の海外投資家となった。
その他、Intelの中で、最大のチップ加工・検査工場が、
ベトナムに設けられている。
この工場は、2010年10月29日に竣工し、
PC、携帯設備、CPU等の最新Chipsetが加工されることになっている。
この工場もベトナム最大規模である。
現在、Intel Vietnam工場の製品は世界中に輸出されている。
Paul Otellini会長・専務社長は「世界中のIntelの顧客が、
ベトナム工場で生産された製品を利用している。」と述べている。
この2年、Intelは技術者を含む150人のベトナム人職員を、
研修のために、マレーシアや中国、アメリカに派遣している。
この人材が、やがてベトナムの将来の発展に、
貢献していくことになるだろう。
Canonは、画像・光学分野の製品(カメラ、印刷機、コピー機等)
を生産する日本の一流企業である。
Cannonは世界中に進出しており、ベトナムもその1つである。
現在、Thang Long工業団地、Que Vo工業団地(Bac Ninh省)、
Pho Noi A工業団地(Hung Yen省)などに工場を置いている。
同社はこれまでに、ベトナムに約3億USDの投資を行っている。
Que Vo工業団地には世界最大の、Laser印刷機生産工場がある。
この工場の生産能力は月70万台で、グループ全体の80%を占めており、
輸出市場のニーズの35%に対応している。
2011年Canonベトナムの輸出額は10億USDに達した。
Panasonicもベトナムに進出する日系企業の大手である。
近年、連続してベトナムへの投資規模を拡大しており、
全国に子会社を設立している。
2011年8月時点で、Panasonicベトナムは
親会社1社、生産会社4社、ハイテク研究センター(PRDCV)一カ所を持ち、
社員数は延べ8,200人に上る。
また今年は、Thang Long2工業団地(Hung Yen省)で
洗濯機の生産レーンを稼働させる予定。
このレーンの生産能力はアジア最大規模で、
2015年までに年間70万台を生産する目標を立てている。
同社は、生産工場の整備とともに、R&Dセンターを建設した。
これはHung Yen省に置かれ、
国内消費者のニーズに合った電化製品の、
研究・開発を主に行うことになる。
R&Dセンターのオープン後、現地で1,000人の職員を雇用する予定。
他にも同社は、ベトナムでハイテク製品の生産を促進させる計画もある。
2011年第3四半期、Thang Long工業団地で
電子部品生産工場の建設を開始した。
この工場は2012年8月に竣工予定で、完成すれば、
国内3番目のハイテク製品生産工場となる。
Shinichi Wakita-Panasonicベトナム社長は、
こうした投資活動の拡大により、
Panasonicが長期的にベトナムに投資していく姿勢を示している、と語った。
2011年- 2015年までの年間成長目標、平均10%以上を達成させるため、
今年Panasonicは、国内で10億USDの売上を目指している。
工場移設は喜ばしいが
先日、Kyocera Mitaグループが、
ハイフォン市で、印刷機・コピー機、多目的使用機材、
事務用設備等の生産工場の建設を開始した。
完成すれば、工場の生産能力は年間300万台となり、
輸出額は年間約10億USD達成を目指している。
計画の投資額は2億USD近くで、5,000人の労働者を募集している。
この工場は、中国工場に次ぐ、
Kyocera Mitaの第2位の大規模の工場である。
来年末には活動を開始する予定となっている。
世界有数の携帯電話会社、Nokiaもベトナムへの投資を決定した。
当初の投資額は約2.8億USDで、
2012年の前半には稼働する予定である。
ベトナムがインドネシアやタイ、マレーシアを差し置いて、
投資先に選ばれるのは、海外から、魅力的な投資先として
認識されているから、と考えられる。
Tran Quang Hung-ベトナム電子製品生産家協会会長は、
海外企業が、電子部品生産工場を、
中国や他の東南アジアから、ベトナムに移す傾向があることに言及している。
理由はいくつかあるが、
工業用地が広いこと、国の位置が電子部品生産には便利な場所にあること、
賃金が安いこと、などがあげられる。
その他、電子部品生産がハイテク分野として、
国から投資の優遇措置を受けられることもある。
自国技術者育成の具体策を
ただ現在、海外企業がベトナムに求めるのは、
土地と労働力のみに留まる。
現地調達できる部品が少なく、部品が主に輸入で賄われ、
ベトナムでは組立作業しか行わないため、
ベトナムとしての付加価値は、まだまだ低い。
Hung会長はこうした流れについて、
ベトナムは、自国の電子部品産業を開発させる機会得たことになるが、
生産だけではなく、質の高い技術者と設計者を
育成することも重要である、と語っている。
こうした面では、ベトナムの評価はまだまだ低い。
ある調査によると、この10年で、国内電子部品生産分野における
設計者の育成はできていない状況である、とのこと。
人材の育成は、加工レーンの管理、修理、
メンテナンスに留まっている。
ベトナム大学で行われているのは、
海外企業のニーズに対応するための教育カリキュラムで、
設計者の育成プログラムは設置されていない。
しかし、専門的な技術者が育たなければ、
自国の製品の質的向上は、絶望的である。
2011年の年初、アメリカFirst Solarグループの太陽電池生産工場が、
ホーチミンに建設された。当初の投資額は12億USDで、
2012年より稼働予定となっていた。
ただ、投資活動は8ヵ月後に中止となった。
First Solar は世界的な太陽エネルギー利用の
需給バランスが取れないことから、生産中止に追い込まれたのだ。
投資家側は、国際市場のニーズの変動を見ながら、
活動再開を検討する、としている。
中止されている間、First Solarは工場だけは竣工させ、
職員の求人と設備の輸入は、活動再開確定後、行う予定にしている。
この計画が中止になった原因としては、
First Solarが、太陽エネルギーに対する
国際市場のニーズを見誤ったことが挙げられている。
同社は、太陽電池が世界的にブームになると考え、
ベトナムでの工場建設を決定したものの、
予想していたほど、ニーズの急激な上昇は見られなかったようだ。
また、同社が採用した技術が、最新ではなかったことも、
計画中止の一因らしい。
First Solarの計画再開がいつになるかは、全くの白紙である。
ベトナムにとっては失望を隠せない。
その他、Thu Thiemソフトウェアパーク建設計画も、
投資許可発給から2年後、回収されてしまった。
この計画は、当初投資額は12億USDで、
完成すれば、ASEAN最大ソフトウェアパークとなるはずであった。
予定通り完成できれば、2012年から稼働予定であった。
しかし、この計画の投資ライセンスは、2011年末に回収されてしまった。
その理由は、活動の実施が遅いこと、
特に土地使用料(約100万USD)と
発生した金利の清算が遅いこと、であった。
ある情報では、海外の財政状況の悪化が影響している、との声もある。
成功例もあるにはある
一方で、成功裏に実施された案件もある。
例えば、Samsung Electronics Vietnam有限会社(SEV)は、
2009年10月28日、第1工場を稼働させた。
この工場の投資総額は7億USD、
国内最大規模の携帯電話生産工場であり、
世界でも第2位の大規模工場となっている。
この工場で生産された製品は、世界中に供給されている。
現在、SEV製品の95%はヨーロッパとアジア各国に輸出されている。
その中で、Galaxy SII等の携帯電話の輸出率は99%で、
端末の加工・組立だけではなく、
SEVが30件のアクセス計画を実行し、
それらの投資額は2.5億USDに上った。
現在、Samsungはアクセス会社200社を集める計画を進めている。
その中の50%がベトナムの会社である。
これらの会社がSEV工場から部品を調達することになる。
先日、Samsung Vina会社は、
Bac Ninh省Yen Phong工業団地に、携帯電話機生産用の第2工場を竣工させた。
この工場の生産能力を合わせると、
2012年のSEVの生産能力は、1億台に達すると予測されている。
前年Samsungの輸出総額は50億USDに達した。
Samsungは既に、投資額を6.7億USDから15億USDに
増資することを決定しており、
ベトナムの電化製品分野における最大の海外投資家となった。
その他、Intelの中で、最大のチップ加工・検査工場が、
ベトナムに設けられている。
この工場は、2010年10月29日に竣工し、
PC、携帯設備、CPU等の最新Chipsetが加工されることになっている。
この工場もベトナム最大規模である。
現在、Intel Vietnam工場の製品は世界中に輸出されている。
Paul Otellini会長・専務社長は「世界中のIntelの顧客が、
ベトナム工場で生産された製品を利用している。」と述べている。
この2年、Intelは技術者を含む150人のベトナム人職員を、
研修のために、マレーシアや中国、アメリカに派遣している。
この人材が、やがてベトナムの将来の発展に、
貢献していくことになるだろう。
Canonは、画像・光学分野の製品(カメラ、印刷機、コピー機等)
を生産する日本の一流企業である。
Cannonは世界中に進出しており、ベトナムもその1つである。
現在、Thang Long工業団地、Que Vo工業団地(Bac Ninh省)、
Pho Noi A工業団地(Hung Yen省)などに工場を置いている。
同社はこれまでに、ベトナムに約3億USDの投資を行っている。
Que Vo工業団地には世界最大の、Laser印刷機生産工場がある。
この工場の生産能力は月70万台で、グループ全体の80%を占めており、
輸出市場のニーズの35%に対応している。
2011年Canonベトナムの輸出額は10億USDに達した。
Panasonicもベトナムに進出する日系企業の大手である。
近年、連続してベトナムへの投資規模を拡大しており、
全国に子会社を設立している。
2011年8月時点で、Panasonicベトナムは
親会社1社、生産会社4社、ハイテク研究センター(PRDCV)一カ所を持ち、
社員数は延べ8,200人に上る。
また今年は、Thang Long2工業団地(Hung Yen省)で
洗濯機の生産レーンを稼働させる予定。
このレーンの生産能力はアジア最大規模で、
2015年までに年間70万台を生産する目標を立てている。
同社は、生産工場の整備とともに、R&Dセンターを建設した。
これはHung Yen省に置かれ、
国内消費者のニーズに合った電化製品の、
研究・開発を主に行うことになる。
R&Dセンターのオープン後、現地で1,000人の職員を雇用する予定。
他にも同社は、ベトナムでハイテク製品の生産を促進させる計画もある。
2011年第3四半期、Thang Long工業団地で
電子部品生産工場の建設を開始した。
この工場は2012年8月に竣工予定で、完成すれば、
国内3番目のハイテク製品生産工場となる。
Shinichi Wakita-Panasonicベトナム社長は、
こうした投資活動の拡大により、
Panasonicが長期的にベトナムに投資していく姿勢を示している、と語った。
2011年- 2015年までの年間成長目標、平均10%以上を達成させるため、
今年Panasonicは、国内で10億USDの売上を目指している。
工場移設は喜ばしいが
先日、Kyocera Mitaグループが、
ハイフォン市で、印刷機・コピー機、多目的使用機材、
事務用設備等の生産工場の建設を開始した。
完成すれば、工場の生産能力は年間300万台となり、
輸出額は年間約10億USD達成を目指している。
計画の投資額は2億USD近くで、5,000人の労働者を募集している。
この工場は、中国工場に次ぐ、
Kyocera Mitaの第2位の大規模の工場である。
来年末には活動を開始する予定となっている。
世界有数の携帯電話会社、Nokiaもベトナムへの投資を決定した。
当初の投資額は約2.8億USDで、
2012年の前半には稼働する予定である。
ベトナムがインドネシアやタイ、マレーシアを差し置いて、
投資先に選ばれるのは、海外から、魅力的な投資先として
認識されているから、と考えられる。
Tran Quang Hung-ベトナム電子製品生産家協会会長は、
海外企業が、電子部品生産工場を、
中国や他の東南アジアから、ベトナムに移す傾向があることに言及している。
理由はいくつかあるが、
工業用地が広いこと、国の位置が電子部品生産には便利な場所にあること、
賃金が安いこと、などがあげられる。
その他、電子部品生産がハイテク分野として、
国から投資の優遇措置を受けられることもある。
自国技術者育成の具体策を
ただ現在、海外企業がベトナムに求めるのは、
土地と労働力のみに留まる。
現地調達できる部品が少なく、部品が主に輸入で賄われ、
ベトナムでは組立作業しか行わないため、
ベトナムとしての付加価値は、まだまだ低い。
Hung会長はこうした流れについて、
ベトナムは、自国の電子部品産業を開発させる機会得たことになるが、
生産だけではなく、質の高い技術者と設計者を
育成することも重要である、と語っている。
こうした面では、ベトナムの評価はまだまだ低い。
ある調査によると、この10年で、国内電子部品生産分野における
設計者の育成はできていない状況である、とのこと。
人材の育成は、加工レーンの管理、修理、
メンテナンスに留まっている。
ベトナム大学で行われているのは、
海外企業のニーズに対応するための教育カリキュラムで、
設計者の育成プログラムは設置されていない。
しかし、専門的な技術者が育たなければ、
自国の製品の質的向上は、絶望的である。
Vef.vn 2012年1月30日