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2012年02月06日

外国自動車製造 ベトナム離れ進む


外国自動車製造会社がベトナムに進出して約10年、
国内の製造レーンは、まだ組立のみの状況で、
投資拡大の見込みは薄まってきている。
何社かの外国企業は、ベトナム撤退も視野に入れ検討しているという。


登録料引き上げは下策

車両の登録費用の増額が各都市で進んでおり、
ホーチミン市で15%、ハノイ市で20%UPとなり、
ナンバープレートの登録費用は、2012年1月1日以降で、
ハノイ市で1台当たり2,000万VNDに引き上げられた。

この政府決定により、自動車産業は再び困難な状況に直面している。
市場が狭まり、投資家に対する魅力も弱まることが懸念されている。

ベトナムFordの社長-Laurent Charpentier氏は、
ベトナム自動車産業協会(VAMA)の最大目標は、
国内自動車産業の発展と育成であり、
車両組立が到達点ではない、と話す。
VAMAはベトナム自動車産業全体を開発し、
多くの国民のニーズに対応し、
外国自動車部品の生産工場を積極的に誘致できるようになることを、
将来の展望として掲げている。

ただ、車両登録費用とナンバープレートの登録費用が、
大幅に引き上げられたことで、
自動車市場は今後さらに悪化する見通しとなった。
さらにこうした一連の動きから、
国内自動車産業開発政策の不安定さが浮き彫りとなった。

Tachibanaトヨタベトナム社長は今回の改定について、
ハノイ、ホーチミン両市は、ベトナム最大のマーケットであることから、
今後、市場が減退するのは明白である、と話している。
現方針が続く場合、
2012年のVAMAの売上は、約20%減となるとの予測が出ている。

過去、トヨタベトナムはInnovaの開発計画を立てた。
しかし、政府が断続的に政策を変更し、
追い打ちをかけるように、2009年4月1日から
特別所得税を適用したことから、
生産量は2010年に7,500台に減少、2008年より50%減となった。
トヨタはInnovaの現地調達率を上げることができずにいる。

市場撤退も進む

Tachibana社長は、2018年までに外国投資系の自動車会社が、
残っても3社ほどだろう、と語っている。
ただ多くの専門家は、3社でもまだ多い、と考えている。
場合によっては、電子製品生産会社と同様駐在事務所だけ残し、
輸入車販売しか展開しなくなる可能性も考えられる、というのだ。

車両輸入税は2014年には50%に下げられ、
2018年になると0~5%にまで引き下げられることになる。
そのため、このままでは輸入車の方が、
国内製造車より魅力的になってしまうのだ。

外国企業にとっては、大いに魅力のある話である。
現在、全ての外国自動車合弁会社が、
輸入車販売の項目を営業内容に追加している。
このままいけば、ベトナム自動車市場の将来は、
外国自動車合弁会社に完全に掌握されることになるだろう。
しかもその時点で、合弁会社がベトナムで
製造・組立作業続けているかどうかも怪しい。
タイ、インドネシア等の国から車両を輸入し、
販売活動だけを行うことも可能性としては、高いのだ。

トヨタベトナムは2009年以降、
Innovaの現地調達率を上げるための投資を中止した。
他の自動車会社もベトナムへの投資額を増資しない状況となっている。
2010年から現在までに、14社の外国自動車合弁会社の投資額は、
合わせても約1,000万USDしか増資されていない。

トヨタベトナムは、2012年に組立レーンの生産能力を
20%引き上げる予定としている。
現在、トヨタベトナムの生産能力は年間3万2千台で、
今後、年間3万8千台にまで引き上げる予定であるとのこと。
しかし、2012年、トヨタベトナムは1円の増資計画もなく、
基本的に既存の組立レーンの能力を最大に活用するつもりとなっている。

Ford ベトナムも、トヨタ同様2012年の投資計画はない。
現在、Fordの組立レーンは1日1交代制で稼働しており、
生産能力は年間9千台である。
2交代制で動かせば、年間1万6千台が生産可能である。
2011年、Fordの販売業績は8千台であったため、
現時点で生産能力を引き上げる必要はない。
2012年Fordは、新たにPick up Ranger モデルのみを
ベトナム市場で販売する予定である。

GM Vietnam、Honda Vietnam、Suzuki Vietnam等
他の外国自動車合弁会社も、
2012年に新規投資計画を実行する予定はない。

ただ、Suzukiなどはインドネシアでの
300億円の車両エンジン生産工場への投資計画を発表した。
現時点でSuzukiは工場用地として130ヘクタールの土地の買収に成功している。
この工場で生産されたエンジンは、
インドネシアで製造される予定の四輪車に使用され、
東南アジアで販売される予定となっている。
Suzukiは引き続き、インドネシアで四輪車製造を拡大するため、
200億円の投資計画を発表している。

Fordもアジア・太平洋地域で大規模の開発計画を立てている。
2010年Fordはタイの第3自動車工場に、10億USDを投資した。
2011年9月にも、インドのGujarat州で、10億USDの第2工場を起工している。
Fordアジア太平洋地域担当会長-Joe Hinrichs 氏によると、
現在、アジアで新たに7つの工場を建設する計画があるが、
候補地にベトナムは含まれていないという。

つい最近、トヨタがInnovaモデルを開発するため、
インドネシアに追加で2.5億USDを投資した。
この投資計画は元々ベトナムで実行される予定があったが、
インドネシアに移転する運びとなった。

三菱も、ベトナムでは部品を輸入し、
年間数千台の組立のみを行っているが、
2010年末には、インドネシアで
自動車製造活動に4億USDを追加で投資している。

世界の大手自動車会社は、東南アジアやインドで、
自動車製造に対する投資額を連続して増資している一方で、
このまま、ベトナムへの投資は拡大しないのだろうか?
ベトナムは2020年までに人口は1億人を突破し
大きなマーケットとなる。
経済も急速発展し、消費の需要もどんどん増加し、
賃金も安い、にもかかわらず、
なぜ外国自動車会社はベトナムへの投資を差し控えるのだろうか?

トヨタベトナムマーケッティング担当社長-Kijimotor氏によると、
インドネシア等の人口の多い国では、
政策策定者が国民の就労に高い関心を示しており、
毎年、数百万人が雇用されている。
これらの国は、労働人材を沢山確保できる産業を中心に開発を行っている。
自動車産業もその一つで、自動車産業が裾野産業、
鉄、電気製品、化学品、プラスチック等の生産業を引っ張る形となっている。
計算によると、年間50万台の生産能力を有する自動車産業が
毎年100万人以上の労働者を新たに雇用しており、
関連企業も数千社に及ぶという。

ベトナムが、自動車産業で再び勝ち組となるには、
政府の安定した政策が欠かせないのは、間違いないだろう。



Vef.vn  2012年2月6日

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